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18話 堅牢

ゴブリンの王は錫杖を大きく振り上げた


「ヘンゴ、覚悟決めろよ!」

「あぁもう!わかったよ!やってみせる」


ヘンゴは俺を信じてゴブリンの王へと走って近づく


俺は魔力にまかせて、付近の洞窟全てを塗り替えるほどに樹を張り巡らせる


ゴブリンの王がヘンゴに向けて思い切り杖を振り下ろすが、

バアアンと音を立てて俺が一瞬のうちに成長させた樹に防がれた

しかし、俺の樹も同時に崩れ落ちてしまった

こいつをヘンゴが受けたら肉片になってしまいそうだ


間違いなく、コキュイネーのただの振り下ろし方が破壊力はある

だけど、やはりゴブリンの王は天道虫より振りが速い

だから強度のある壁を作れない

樹の硬化はゆっくりと行うものだからな

ヘンゴを全部壁で守ったら本末転倒だし、こいつは想像以上に綱渡りだ


しかも、王の行動を阻害するレベルまで壁を作っていたら多分「拘束」扱いされて止められるだろうな…


本当に、ヘンゴを生きて返せるかだろうか…?



ヘンゴはフェイントも考えずに相手の脇腹めがけて棍棒を振る


ただ、脇腹が痛むのだろう、洞窟侵入の最初程の勢いがない



しかしそれでも多少効果はあったのか、王は顔を顰めた

やったぞ相手の顔を顰めさせた!


うん、体はノーリアクションだね


見ると、体にできていたのは擦り傷だった


あれ、ヤバくね



王は今度は横振りをしてきた

急いで俺は天井から地面へ爆速で伸びる氷柱のごとく柱を伸ばす

錫杖が柱とぶつかり、先のように柱は壊れ王の攻撃は止まった


ヘンゴは再び傷口に棍棒を振る

さっきよりかは肉を抉れたようで血が滲んできた


よし、それだけ傷ができれば多少は毒が入るはずだ


しかし俺とは対照的にヘンゴは傷口を見て顔を青くしていた

攻撃が上手く通らない。多分、力のあるヘンゴには初めての経験だったのだろう


王は三度目の攻撃を仕掛ける

また、上段からの振り下ろしだ


今度は筋肉がピキピキといっている

多分、壁ごと叩き潰すつもりだ


俺はヘンゴの前に例えるなら鳥居のような壁を作る

今度は、少しでも早く硬くするために魔力を多めに込めていく


すると、王が壁にぶつかる直前で錫杖の振り下ろしを勢いそのままに壁を避け、横薙ぎに変更してきた


フェイントか!

にやりと笑う王にいらつきながら俺は鳥居の片方の足を崩し、斜めにして地面とがっちり固定する

前よりも硬質なバギイインという音が鳴る

ギリギリ間に合って防ぐことができた

しかも今度はちゃんと壁が残ってくれた


ヘンゴの顔は完全に引きつっている

当然だろう

あんなに間近で自分が一撃死しかねない攻撃を見ているのだから


それでも、まだ恐怖に耐えているのか、ヘンゴは棍棒を傷口に更に打ち付け始める



王も流石に攻撃が効いたのか追撃はせずに一旦後ろにジャンプで下がる



待ってました!

仮面の効果が及ばないもの、それは前にも言ったが罠の作成

そして当然だが、罠は作ったからには放置はできる

設置は阻害されてしまうが…作った場所に放置して、()()()()相手がひっかかるのは阻害されない


そのためには俺は罠を作っているだけ、という自己暗示が必要だが得意分野だ


ということで有刺樹線とでも呼ぶべきものを王の背後にばら撒いておいた

当然、毒付きで



今度は明らかに痛そうな反応をしてくれた

そりゃあの重そうな体で踏んだら痛いだろう


硬さは勇者お墨付きのものを用意してございます



また、王が下がったことで後ろの逃走経路も見えた

まだ走って抜けるのは厳しそうだが、ヘンゴには希望の道に見えるだろう

タペストリーみたいなものが大量に飾られた通路、間違いなく行きで通った場所だ

…もっと入口付近で避難すりゃ良かったのになぁ

未知の襲撃者に気を使いすぎた



さて、まんまと罠にかかってくれたからプライドの高そうなあの王様はお怒りになってくれるかもしれない

俺の魔力が多い内に奥の手なんかがあるなら受けておきたいからぜひキレてもらいたいものだが…


「貴様ラ…私ヲ怒セルト後悔スルゾ………」

意外にもまだ冷静な様子で王は言った

仕方ない。煽ろう

「おやおや、まだ怒らないなんて器広いねぇ。尊敬しちゃいそう。余裕しゃくしゃくな態度そのままでポックリ死んで頂けたらもっと尊敬できるのになぁ」

「ピエロ風情ガァ!」


挑発に反応したのか、王は何かをボソボソと呟き出した

絶妙に何言ってるかわからない

だが、おそらくは魔法の詠唱だろう。というかそれ以外考えられない


しかしビックリだなぁ

魔法の詠唱は相手に悟らせないように聞き取ることのできない特殊な技法で行われることがある。が、それはこの閉塞されたゴブリンの巣では例外だ

…と思っていたのになぁ

一体どこから学んだんだあの技術



「沼ノ底デ悔イルガイイ!」


沼ってなんだ?と思う暇も無く、王の体が発光し始める


げ、マジかよ

あれ光魔法じゃん


「ヘンゴ!とりあえずこっちに!」


正直、光魔法なんて何してくるか全く想像できない

もっと普通に火魔法とかなら俺の弱点でありながらも打つ手はあるのに…



まあウジウジしても仕方がないからとりあえずビームや爆発の警戒でヘンゴを呼んで…

あれ?ヘンゴ君?どうしてこっちに来ないんだ?


「…いや、まさか。でもあれは家の…ゴブリンが……光…?」


なんか棒立ちでボソボソ呟いている

すっかり緊張は抜けきって自分の世界に入ってるみたいだ


何故だ

このピンチでどうしてそんなに考えこめる



まあ、ああなってるものは仕方がない

俺が運ぶか


ツタを伸ばしてさっと絡めとろうとして

体がピタリと止まる



違うんです仮面さん!誘拐とか拘束じゃないんです信じて下さい!

そう、これは緊急避難。映画でよくある「伏せろ!」とかそういうやつなんです!



どうにか自己暗示をかけてヘンゴをこちらに引き寄せる

そして、背丈の半分くらいの壁を作り全力で硬く厚く肉厚にしていく

実のところ集中力と職業補正のせいか昔程の硬さは作れていないのだが、多分問題無いはず


流石に意識が戻ってきたヘンゴを隠れさせて王の様子を伺う




どうやら腕に光を集め始めたようだ

俺からしてもそこそこの強さを感じる魔力が溜まっていっている


数秒それをすると、今度はそれを構えてこちらに向けた

さらに手のひらに光は収束し、白くより強く発光しだした


あぁ、透ハーレムズに見せてもらったあのクッソ威力のある一発屋のエネルギー弾系の技か

しかも勇者以外では見たことないくらいまで魔力の濃度が高まってるわ

後、良く考えるなら俺らの避難を見逃したてことは多分相当な高威力




やべぇじゃん

必死に壁を増築していく

王からは姿が見えなくなるほどに


「イクラ隠レヨウト無駄ダ。王ノ光ノ中デデ息絶エルガイイ!!」


スッと無音で光の巨大な束が放たれる

洞窟内は目の焼けるような明るさになり、張り巡らされた樹は表面が炭と化した

硬さ度外視で大量に作った壁は役に立つことは無く後ろの壁にまだ張り付いていたゴブリン達ごと貫通し、この通路は炭で彩られた少し狭い新しい道となった

あれ?おかしいな。こんなに苦戦する敵では無かったはずなのに

自分までどうやって勝つんだこれ?と思い始めてしまってる

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