16話 脱走
むかし、かみさまがうみのうえにきをうえました
きはどんどんおおきくなって、やがてたくさんのみをつけました
きのみはおおきくなったらうみにおち、ぜんぶおちたらきはかれました
おちたきのみからはぜんぶちがったものがうまれました
ひとや、まものや、いろんなものがうまれました
しかし、ひとつだけなにかがうまれるまえにくさってしまったみがありました
しばらくすると、それはうごきだしてほかのいきものをおそいだしてしまったのです
かれたきのうえでくらしていたいきものたちはとてもこまりました
それはきをくさらせてしまうのです
なので、いきものたちはまほうをつかってゆうしゃをよびだしました
ゆうしゃはとてもつよく、くさったみとたたかい、ついにかったのです
しかし、そのあとにとつぜんあらわれたまおうは、まものをしたがえてゆうしゃをおそい、ころしてしまいました
かみさまは、それにおこりまものにのろいをかけ、まおうにはかめんをつけました
せいぎのかめんをつけられたまおうはたたかうことができなくなり、とうとうひととあたらしいゆうしゃにふういんされたのでした
「いのちのかじつ」 第一部 はじまりのせかい
作者・不明
聖議国都市ニーレアのカル商会より出版
歴史学者により概ねは事実であるとされている
*
「お、おい、レン。何が起きてるんだ?
お前が急に殴ってきたと思ったら直前で止めて、かと思ったら仮面を顔ごと投げ捨ててそしたら一瞬で回復するし顔の呪いは気持ち悪いし俺をもう一度殴ろうとしたら仮面が飛んできて張り付くしもうだめだ意味わからない」
ヘンゴに質問されてようやく現実に戻ってきた
この仮面の正体はあまりにも衝撃だった
なにせこれは国宝だ
なんで俺なんかに…。いや、そこを考えていたら流石に時間が勿体ない
「ヘンゴ、俺の仮面はさっき言っていた生命の果実の本に出てくる仮面そのものだ。さっきはそれを確かめた。それだけ」
「な、な、な、何がそれだけ!?えだってそれ神器ってことっしょ!?なにがそれだけなの!?てかありえなくない!?」
「だって状況的にそれしかないだろ」
「まじかよ。似た効果の別物とかじゃないの?」
「さあ?俺は聞いたことないけどな」
「え、え、じゃあどうすんの?こっからどうすんの?」
「逃げる。さっき崩れたところの真横ぶっ壊して逃げるぞ。もし相手が罠張ってるなら今はそこが死角になってるはず。まあ自然に崩れた可能性もあるけど。
てかお前キャラ壊れてるぞ。落ち着け」
「は?は?いや無理。だって、ね、え?それ神が作ったものかそれに近いものなんでしょ?なんでお前はそんなに平然としてるわけ!?」
「切り替えの早さは俺の長所だ」
「え?洞窟入る前とかめっちゃ言い訳してなかった?それで『切り替えの早さは俺の長所だ(キリッ)』とか言うわけ?」
「…時間勿体ないから早く行くぞ」
「逃げたな!…、まあでも確かにすぐ逃げるのが得策かもな。よし行こう。話は脱出してからだ」
*
外をヘンゴに確認してもらう
本当なら監視花を使いたかったがこの集中力の中で使える気がしなかった
魔術師をやめた影響から魔術の精度が落ちてるのもあるな
ヘンゴが手招きをした
外には何もいなかった、ということか
入口に2人で張り付き、同時にロケットスタートをきめる
最初以外は見つかっても良い。スピードに乗れたらあとは見つかってもひたすら入口に向かってダッシュするつもりだ
が、
ブオオオォォォ、という角笛の音が後ろから鳴り響いた
振り返ると半透明のゴブリンかこちらを睨みつけていた
「な、ヘンゴ!どういうことだ!」
「あれは、透明化の魔法!?動かないと透明でいられるあのめっちゃ高位の魔法!?」
「チッ。やっぱりただのゴブリンの巣じゃなかったか!
こんな状況下でも解説を忘れないお前の脇役根性に敬意を評してやるよ!」
「なんの話だぁ!」
音に反応したのだろう
いく人かのゴブリンが前の通路に現れ、背の高いバリケードらしきものを置き、何かをしてから消えていった
「迂回するぞ、レン!」
「いや待て、俺に任せとけ」
「?、わかった」
バリケードを張ったゴブリンはどこかへ消えていったからな
好都合だ
正義の仮面については初代魔王が研究し尽くしてる
そして俺はそれについてはしっかり学んだ
初代魔王は滅んだとはいえ、俺達の最終目標は魔王達の討伐だ
狂わされた俺にだって魔王の情報はほとんど回ってきている
まあこの仮面は贋作かもしれないが、それでも魔王のものより高性能ということはないだろう
で、その研究結果によれば人に攻撃する意思が無ければ攻撃の動作はいくらでもできる
壁の破壊なんかは造作も無いはず
壁の反対に人がいれば当然巻き込むが、それに気づいてなければ禁止されないらしい
そのせいで魔王は他人を巻き込むためにいちいち何かをするときはほかを巻き込めるくらいの力で行動する癖をつけていたらしいからまあ仮面はある意味世界の荒廃を更に招いたわけだけど
バリケードの元まで走りより、地面に杖を突き立てそこから根を伸ばし棘樹根を生やす
それを振りかぶり、バリケードに叩きつける
バアアンと音が鳴り、バリケードが半壊する
もう一回やれば壊れるはず
思い切り振りかぶりもう一度叩きつけると、
バガアアアアアアン!!と先程よりもとても大きな破裂音が響き、爆風が発生した
俺は地面に突き立てた杖にしっかりとつかまり、足からも根を伸ばし直立不動で耐えきったいたが、ヘンゴは軽く吹き飛ばされてしまった
まさかとは思ったがバリケードに爆弾がしかけられていたらしい
遠くから魔法なんかで壊されてら役に立たないだろうによくやるよ
「ヘンゴ!生きてるか!?」
「…ゴホッゴホッ、…い、生きてる!ただ脇腹の辺りが、少しだけ…痛い」
脇腹か。大事無ければいいのだけれど
余り役に立つかはわからないが木をヘンゴに絡みつかせて即席の防具を作ってやった
ヘンゴは皮の防具を付けてはいるが、爆発を防ぐには余りにも薄い
結構時間が立ってしまった
今のところゴブリンが襲ってくる雰囲気は無いがさっさと逃げたほうが良さそうだ
「この先にあるバリケードはここから壊してやるよ」
ということで根を伸ばし棘樹根をもう一度生成
叩きつけると、今度はプシューという音が鳴り何かが腐ったような臭いがしだした
見た目は無色だが完全に毒ガスだろう
「ヘンゴ…毒ガスだ」
「あいつら、完全に行動を読んでるな」
ここまで完璧に行動を読むということは、角笛の鳴る位置または種類でバリケードのパターンも変わるのだろう
本当に賢いやつらだ
胸ポケットにしまっていたハンカチをヘンゴに渡して前へと進む
エビ臭くてごめんよ
ん?俺?
俺はそんなに呼吸必要じゃないから
はい?普通に人種ですけどなにか?
ヘンゴとともに急いで半壊したバリケードを乗り越える
すると先には何重にも折り重なったバリケードが現れ、後ろからは何かで濡れた布を口元に巻いたゴブリンの集団が現れた
「はっはっはっ!、完璧な作戦じゃないか、ゴブリンども!称賛に値するよ!
なあヘンゴ。こりゃ迂回してても地獄だったかもな」
「ああ、そうだな!で、どうすんだ!」
「バリケードをぶっ壊す」
後ろと前に赤蟻との戦いで使った壁を作りだす。これでゴブリンは爆弾でも使わなきゃ突破できないだろう
次にバリケードと壁の間に棘樹根を先程のように生み出し、
さらにそれを太く厚く硬くしなやかにしていく
2倍くらいの大きさになったところで、それを真横に傾けて、バネのようにねじり力を溜めていく
それが限界に達したところで
一気に開放する
さっきまでのバアアンという音ではなくドオオンと腹に響く重い重低音を出してバリケードが崩れ落ちる
ここまでで呪いのせいでかなり魔力を消費したが、今回のは更に消費したな
そういやこの技は王城で使って以来だったな。上手くいって良かった
ちなみに名前は破城螺旋根。どうだ珍しく多少はまともなネーミングだろう
バリケードの爆発とかを警戒して壁を作っていたが特にギミックはなかったようだな
おそらくはひたすらに硬い、時間を稼ぐためのものだったのだろう
それを一撃で破壊した俺、TUEEEE
生き物に当てられないのが残念でならない
「上手くいったぞ!ただ、もう魔力が半分くらいまで減っちまった!」
「わかった、良くやったぞレン。次は早く壁をどかしてくれ!」
「あいよ!」
ゴブリン達が後ろで壁をどうにか壊そうとバンバンやっているのをBGMに自分で作った壁をどかしていく
けっこう重いためどかすのに時間がかかってしまう
ゆっくりとギ、ギ、ギ、ギ、と音を立てて壁が扉のように開いていく
すると
遠くに明らかにヤバイオーラを纏ったゴブリンが現れた
伝えるのを忘れてましたが、道化師の解説を2章5話に追加してあります
簡単に言うと、普通の職業は対応するスキルがあってそれに補正がかかるけど、道化師はそういうスキルがなくて(確定)道化師っぽいスキルの使い方に補正がかかる(推定)ということです
ちなみにですが、思ってたよりは2章は短くなりそうです
安心安心




