6話 萎え男
このペースでいくと超長編の物語になるかも
はい、お店に着きました。
貴族の御方がお使いになられることもあるらしいので、このお店はそこそこ豪華。お忍びで来ることも多いからそこまで煌びやかな感じではないけどね。
さあ、早速受付と会話。
そいつはなんか覇気のないヘラヘラとした奴だけど、多分店主は違うだろう。違うと信じてる。
来い、テンプレ来い。気難しいけど技術は確かな隠れた職人の店主来い!
そんな気持ちは表にださず、
「よお、初めまして。道化師のウグレツチツォだ。」
適当に挨拶をする。
なんで偽名なんだって?特に意味は無い。
強いて言うならヘンゴの驚く顔が見たかった。それだけ。
「いらっしゃいやせ。ウヌレッチオ様。本日はどういった物をお求めで?」
さりげなく名前間違いやがって、ヘラ男め。店員の練度は低いな。でも、きっと店主は大丈夫。何故ならここは異世界だからだ。
「心機一転ってやつだ。道化師に必要な装備1式を買いに来た。」
「へえ、了解しやした。どの程度の物に致しやすか?」
初っ端から良い装備を整える必要は無いだろう。
てか道化師にとっての良い装備とか使える気がしない。
「そこそこの物で構わない。」
「了解しやした。」
今更だけど話し方が小物っぽいな、こいつ。店主もこんな奴をどうして貴族御用達の店に雇ったんだ?
「具体的な装備はどうしやすか?」
「あー、とりあえず木製のステッキとタキシード1式で、頼む。ああ、後仮面もくれ。変えが欲しい。」
木製ってのは譲れないな。
「了解しや…、お客さん。その仮面、もしかして…?ちょっと見せてもらってもよろしいでしょうか?」
「ん?構わないが?」
なんだ?急に雰囲気が変わったな。
「ちょっとばかし、貸して貰っても?」
「ああ、ほらよ。」
顔を突き出す。
「…外れないので?」
「勿論。」
これを見て店員は、はァとため息をつき、
「どう考えても呪いの品でございやしょう?」
と聞いてきた。
馬鹿だろうかこいつは。
「だからこそ、いざという時に大変な事があるかもしれないだろ?だから変えが欲しいと言っているんだよ。」
ん?どうしたこいつ。ポカーンとしやがって。
「お客さんは道化師ですよね。それなのに、お客さんは呪いの仮面と一生を共にするつもりではないんですか?」
「?する気は無いが?」
「なら、解呪の方法がおありで?」
「いや、無いぞ」
「……なら何故付けた?」
おいおい、敬語はどうした。こんな事で敬語すら使えなくなるとは…最近の若者はなってないな…
「便利だからだ。」
「…………は?」
何驚いてるんだ?
「こいつは硬い上に顔から剥がれづらい。いいことずくしじゃないか。」
「何言ってんだあんた!それはもう一生外れねぇぞ!覚悟決めてねぇのに、何をそんなに呑気に話してやがる!アイツみたいな被害者はもう…」
「そうだぞ、頭おかしいのは知ってたが、さすがにここまでとは…」
ヘンゴまで…
一体何言ってるんだ?
「取れないわけじゃないだろ?」
「ああ、確かにそうだ!顔の皮膚どころじゃなく、眼球に鼻、脳の表面まで一緒に剥がれるがな!」
「そうだろうな。」
確かに、顔に根を張られてるような妙な感じはしてた。
「だから?」
「だからじゃねえよ!もう一生剥がれないと言っても間違いは…」
「あるよ。とってやろうか?」
「やれるもんならな!」
全く、激高しすぎだ。店員失格。店長もさすがにもう期待出来ないな。
顔を仮面に添えて、
「フンっ!!」
ブチブチブチブチブチブチブチブチ!
全力で引きちぎった。
仮面をとる時に顔の表面が全部引きちぎられるなら、顔の呪いも誤魔化せるね!
さすがレン君!




