1話 旅立ちの日に
「…ピクピク…」
「おーー、お前、可愛いところあんなーー。」
「ピクッ…」
「そこは弱いのかー、ならここはどうだ?」
「ビクッッ」
「ここか、ここがいいのかぁ?」
「ビクッ…ビクゥッッ」
「レン様、お時間でーす。」
「はーーい」
俺はエビをいじっていた手を止め、入って来た兵士の案内についていった。
*
兵士がコンコン、とノックする。
「入れ」
久々にこの声聞いたなー。
ガラガラしているようで良く通る声だ。
「失礼いたします」
そう声を出して中へ入ると、中にはこの国の王様がいた。
「よく来たな、と言っておこう。」
「なんでそんなに投げやりなんですか。もっと心から歓迎してもらいたいです。
こっちは久しぶりの再会だから身だしなみを綺麗に整えたりして来たのに。
「無駄な話ばかりだと気が滅入るだろう。」
「いやそうでもな…
「簡潔に伝える。わかったな?」
「はい」
なにこのおっさん。
もっとコミュニケーション取ろうぜ?人脈は大切なんだぞ。
「お前は、余りにも狂気が強すぎた。
仕方がない事とは言え、勇者としておくには問題が多すぎた。」
仕方無いってなんだよー。お前ん家の娘が狂わせたんだぞー。
「よって、冒険者として動いてもらうこととなった。」
「冒険者って、あの?」
魔物狩ってお金稼ぐロマンティックな仕事の方々?
「そうだ。勇者では解決が難しい部分に関わってもらう。聖議国などの問題だ。」
え?絶対無理。俺にそういうの求めちゃいけない。
「でも、私にそんな事できますかね。頭も良くは無いし…」
うちの学校は偏差値46だったっけ。
「ああ、だからしばらくは普通に生活してくれ。そして上手く定着してきたら、色々と依頼をする。しかし、そこまで難しいことは頼まない。あくまで勇者という立場では難しい事を頼むだけだ。」
つまり、まずは普通に冒険者して、その後少しずつ依頼されて行くってことか。
ハードルはちょっと下がったけど、やっぱ嫌だなー。
ん?いや待てよ。それって、実質国から解放されるという事では?多分監視はつけられるだろうけど、偶に来る依頼さえこなせば普通に暮らせるのか?
なにそれ最高じゃん。もう拷問とはおさらばだ…!
「やらせて下さい!」
「ああ。ただ、問題があってな。お前は強すぎるんだ。只の冒険者としては余りにも。だから、その…」
王様が俺の顔を指す。
「呪いを使ったんだ。」
ああ、この顔の呪いはアレヌの趣味じゃないのね。
この呪いは、所謂腐食の呪いで、傷口から腐っていくというもの。
顔の左側の頰あたりから眉毛のあたりまで広がっていている。
また、俺の再生の力と呪いの肉体を崩壊させる力は釣り合っているため、回復しきることは無い。俺に解呪とかは無理だしな。
そのせいで俺の魔力はアホみたいに少なくなってる。
具体的には今監視花つくったら1つでぶっ倒れるくらいだ。
まあ、もともとあれは一般的にはかなり魔力を使う類の術なんだけどね。昔の俺の魔力が多すぎたんだよな…
ちなみに、呪いは放射状に腐食の力が弱まっていくから、少し放置して崩壊が広がっても今の状態までは再生できるが、逆にこれ以上再生するとなると少しの間ならできるがしばらくしたら呪いに押し戻される。という面倒な代物だ。
さらに呪いの強さは俺の魔力にも比例するため、俺の魔力回復ブースト術で魔力を昔と同じくらいまで回復させるのは不可能だ。
さらに比例するといっても魔力0=呪い0ではないため気絶したら死ぬ。うかつに寝ることもできない。
悪意しか感じられない仕様である
後見た目が物凄く悪い。
「この呪いがあればお前の力は大分制限される。それなら普通の冒険者としてやっていけるだろう。」
いや、普通の冒険者よりは弱いと思います。
これの後の理由は俺が暴走した時の対策かな?うん、多分そうだ。
無言を肯定と受け取ったのか、王様はまた話始めた。
「最後にこれをやろう。」
俺に皮袋を手渡した。
「必要な物が全て入ってる。好きなように使ってくれ。」
手にはずっしりとした感触が。
「ありがたき幸せ。」
「頑張ってこいよ。」
王様…!
「失礼致しました。」
こうして、俺は冒険者になった。
ダメだ…話を繋げるのが難しすぎる…
回収してないフラグも多すぎて見苦しいですよね…すみません。
てか何が起こってるかすら理解できないでしょうし…いっそ完全に趣味に走ってしまおうか…




