3話 赤鉈森へ
ゴブリンとの戦闘から30分歩くと(常人の全力疾走レベル)、見えてきた。
真っ赤な森だ。
葉だけなら美しい紅葉にも見えたかもしれない。
だが、そこは全てが真っ赤だった。葉、幹、枝、さらには土や水まで。明らかに人が入るべきでないと表している。
しかも良く見ると木の葉が刃物のようになっているし、土から所々カッターの刃のようなものが突き出している。
「ここは地獄かい……?」
海堂が呟く。
「ああ、これは………まるでこの世の終わりだ…」
俺も呟く。
「これの中のどれくらいが血なのかしら?」
恐ろしい事を呟く委員長。
「えっと………なんかやばいな!」
語彙力のない森山。
「ええと、うーんと、ケチャップ見たい!」
頑張って例えようとしている香山。可愛い。
委員長が最初に気を取り直す。
「みんな、これからあの森に入るわよ。一応ステータスチェックしておいて」
ああ、確かに最近してなかったなー。
「あの森の注意事項を確認するわよ!
一つめ、あの赤色は毒だから不用意に触らない事。私の魔法で防ぐけど、想定外は起きるかもしれないわよ。
二つめ、相手のほとんどは赤色、あの中では保護色になるわ。奇襲に気をつけて行動して。
三つめ、あの『鉈』は切れ味はあまりないけど切り傷程度は簡単にできる。戦闘中に気をつけるのはもちろんだし、万が一キズができたら速攻で治すか縛るかして、毒が入らないようにする事。
4つめ、赤蟻には絶対に手を出さない。特に紅毒にかかった後は。刺激して万が一を起こしたら大変よ。
ほかに何かあるかしら?」
みんなが首を振る。
「なら、行くわよ!」
そして委員長は進み出す。
よし、行くか!
ってダメだ。ステータスチェックを忘れるところだったぜ。
行きつつ見るか。
「ステータス」
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レン ムラカミ
種族 ヒュノムマナツリー
職業 魔術師
スキル B 樹木魔術
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うん、特に問題は無いな。
偶にスキルレベル低下などの呪いがかかってたりするからな。そういったものはステータスチェックで気づける。
今は大丈夫なようだが。むしろどっちかと言うと調子いい。
そこでポッケがぴくぴく動いた。
なんだ、お前、こっちのポケットにいたのか。
しかし俺も良くこんな奴と一緒にいるなあ。
水の中でも無いのに生きてるとこだけはすごいけど。
*
「さあ、本番よ!」
おおう。委員長、もうですか。
前を見ると視界全てが真っ赤。なんかもうこれだけで嫌になる。
血の匂いが漂う森に足を踏み入れた。
*
そこはまさに地獄だった。
むせ返るような血の匂い。光沢のある枝に突き刺さる数多の魔物の死体。トレントだからわかる異様なほどの土の中の養分。
そんな中を海堂、森山、委員長があたりを警戒しながらゆっくりと進む。
本来なら俺も加わりたいが、植物を使った監視(俺は監視花と呼んでいる)は歩きながらの警戒と相性が悪い。
使うにはどこかの植物を変化させる必要があるが、それは監視カメラを設置するようなもの。
一応動かせることには動かせるが、おつむのできの良くない俺は、俺自身の視界と固定した監視花映像の処理でいっぱいいっぱいだから、無理に動かそうとすると映像の処理能力の限界を超えて気絶する。
そして監視花の設置にはそこそこ魔力が必要で、一回二回でどうこうというわけでは無いが、回数を重ねるとかなりの魔力を消費する。
なので今俺はただのお荷物である。香山?可愛いからいいんだよ。
「まだ何も出てこないなー?」
話し出すのはいつだって森山。
「警戒されてるのかしら。」
「そりゃそうだよ、委員長。ここで赤く無いのは目立っても生き残れる者だけ…」
バガアオオオオォォォォォンンンンン
突然響く爆発音。
そして視界に映った青色。
「レン、お前何フラグ立ててんだよ………」
「やりたくてやった訳じゃねぇよ。」
なんでこんなに悪運が強いんだ!
心の中で悪態を吐く。
現れたのは巨大な天道虫だった。
地味な変化がチラホラと…




