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2話 初・戦・闘

俺たちは街道を外れることなく進んできたし、事実ここは安全だ。定期的に衛兵が見回りをしている。だからこそ俺たちは隊列も組まず進んできた。

それなのに敵が出たのは何故か?簡単な話だ。そいつらは人にとって敵になり得ない、ということだ。


「ゲギィギャギャギャアアアアア」


汚い鳴き声で飛び出してきたのは緑の肌に大きい鼻を持った全裸の小人達。所謂『ゴブリン』達だ。


人間に敵意を持って襲ってくる割にとてつもなく弱い。訓練されていれば子供でも一対一で殺れる。

おまけに足が遅く、逃げられないことはほとんどない。

『私がゴブリンに殺されるには、猛毒を飲み、全身の骨を折り、弱体化の魔法を30回はかけなければならない。』というのは有名な冒険者の言葉だ。

が、生殖能力に極振りしたような奴らで増え方は半端ないため、定期的に刈らねばならならない。

ただ、ほとんど同じ見た目のゴブリンソルジャー達は、武装した一般人の男と同レベルの実力があるため、注意が必要だ。


訓練(地獄の日々)での授業を思い出しかけ、意識を引き戻す。

こいつらは弱いが、それでも今からするのは戦闘だ。頰を叩いて集中する。


「ゴブリン13体、危険度1。

赤鉈森の前の最後の動きのチェックと思って行動して!絶対に気を抜かないで!」


委員長が叫ぶ。そんな事言われたら頑張るしかない。


「やってやる!」

声に出して決意を固める。絶対に、委員長に、いいとこを見せる!


「行くぞ!」

森山の声で戦闘が開始する。


俺の体は普段より一割くらい軽くなった。

*



「フッッ」

海堂が飛び上がり、鎖鎌を振り回す。適当に振っているように見えて、全てのゴブリンがそちらを向くように、かつ殺しはしないように調節している。

上手い。さすがCランク鎖鎌術。


それと同時にあたりに芳しい香りが漂い始める。香山の香りだ。それを嗅いだゴブリン達は息を荒くし、しきりに何か叫び出す。錯乱状態にあるのだ。

と、一匹がフッと消える。意識していなければ気づけないほど自然に消えた。勿論、錯乱しているゴブリンは全く気づかない。香り奏者香山と暗殺者森山のコンビネーションだ。さらに一体ずつ、減っていく。


おっと、石を投げようとしてるのがいるな。ダメでちゅよ、ゴブリンちゃん。ナイナイしましょうね〜。

同期していた草を伸ばし、大きくし、ゴブリンの投げた石をふんわりキャッチ。ついでに別のゴブリンの足に草を絡めて転ばす。




そうして俺たちが時間稼ぎをしていると、パンパン!と音がなる。合図だ、と察した俺たちは戦闘していた場所から飛びのく。そして委員長がついに魔法を放つ。


「我、ここに願いたり。邪なる者どもを消し去りたまえ!」


あたりに光が満ちる。心地よさすら感じるが、ゴブリンにはそうではない。声を上げるまもなく跡形もなく消え去った。



*



戦闘、終了。

みんなはやはり力を全て出すわけでもなく、あくまで動きを確認するためだけに戦ったに過ぎないが、やはり達成感が出てくる。自分でいうのもなんだが、サポート完璧すぎなかったか?


「お疲れ様、レンくん。」

「お疲れさん、委員長。」

「スミレでいいのに……」

「いや、これが慣れちゃって」

「そう…」


やめて委員長勘違いしちゃう!

実は、上からはまだ勇者として発表しない、と言われており、勇者とはバレないようにしなければいけないのだ。その一貫として、この世界では貴族でもないものは名字を持たないということで名前呼びが推奨されている。

忘れてたわ、そういえば。


ただ、俺には荷が重い!委員長を名前呼びとかファンクラブ鉄の掟で禁止されてるし、絶対呼べない!


「モエも、おつかれ。」

とりあえず香山にも声をかけておく。

名前は(もえ)であってるはず。


「う、うん、お疲れ。」

「今回も良かったよ。ただ、種族の能力の方も使った方が節約できるんじゃないかな?」

「そ、そうだね!次はそうする。」


香山は結構愛嬌がある。だから思わず構ってやりたくなってしまい、ついつい余計な口を挟んでしまう。

ただ、種族が近いこともあり、結構余計な口は役に立つそうだ。俺も度々香山からアドバイスを貰ったりするため、自然と仲が良くなった。




さて、動きも良さそうだし、赤鉈森、乗り込みますか!

レン君の能力は植物を操ったり変質させることです。割と普通でしょう?

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