呼ばれた先に待つもの
前回に続き王族一行の来訪回です。
新たな人物や伏線が少しずつ動き始めますので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
「レリーナは、私の娘なのです」
「「「……はぁっ!?」」」
ローゼス以外が衝撃を受けていた頃――
ゼイン、ミリ、リゼは魔法の特訓をしていた。
「リゼリアちゃんは相変わらず魔力の扱いが上手ね」
「ミリちゃんこそ、使える魔法がすごく増えてるね!」
ミリとリゼは、お互いを褒め合いながら和気あいあいと話していた。
一方、俺はというと――
「うーん……」
一人、考え込んでいた。
「ゼインくん、さっきからずっと考え込んでるけど、どうしたの?」
リゼが不思議そうに尋ねる。
「いや、母さんに教えてもらった【ホウンセンス】なんだけど、もう少し改良できないかと思ってさ」
「改良?」
「そう。感覚が研ぎ澄まされるのはいいんだけど、鋭くなりすぎると余計な情報まで入ってきて、逆に反応が遅れちゃうんだ」
「例えば?」
「例えば、アンデッド系モンスターが相手なら、弱点を一発で狙うために視力や勘を強化するだろ?」
リゼは「うんうん」と頷く。
「でも、アンデッド特有のあの臭い。ただでさえキツいのに、感覚を研ぎ澄ませた状態で嗅いだら……考えるだけでも恐ろしい」
「確かに……あの臭いが何十倍にもなると思うと……」
リゼはぶるっと身震いした。
「でも母さんが最初に言ってただろ? 大切なのはイメージだって。だから何とかできないかと思ってるんだけど」
「ゼインくんは色々と器用だから、何かきっかけがあれば思いつくんじゃないかな?」
「きっかけか。そうだね。焦らず考えてみるよ」
そんな話をしていると、
「ねぇ、ゼインくん、リゼリアちゃん」
ミリが声を掛けてきた。
「どうしたの? 姉さん」
「どうしたの?」
二人で尋ねると、ミリは真剣な表情で話し始めた。
「私たち、だいぶ特訓してきたと思うの」
「そうだね」
「私もそう思う」
俺とリゼは頷く。
「だから今の私たちが、どこまでできるのか試してみたいの」
「試すって、十分使えるようになってるじゃないか」
「そうだよ、ミリちゃん」
俺とリゼはいまいち何を言いたいのか分からなかった。
「ううん。普段の練習じゃなくて、実戦形式で試してみたいの」
「「実戦形式?」」
二人の声が重なる。
「そう。魔法も、いざという時に使えなかったら意味がないから」
「……そうだね」
俺は深く頷いた。
ヴァッシュに連れられて初めて森へ行き、モンスターと戦った時のことを思い出していた。
「あの時みたいに、実戦は練習とは全然違うもんね」
「でも魔法で実戦って、どうすればいいのかな? 私たちだけじゃ危ないし」
リゼが首を傾げる。
「そうなの。私たちだけだとケガをしてしまうかもしれないし、いい方法が思いつかなくて」
ミリも困ったように考え込んでいた。
「できるか分からないけど、一つ方法はあるよ」
「本当?」
俺の言葉にミリが顔を上げる。
「うん。ダメ元だけど、ガレルさんたちやラミネさんにお願いしてみるのはどうかな?」
それを聞いたミリはハッとした表情になる。
「確かに。ガレルさんたちは経験豊富だし、ラミネさんも元々すごい冒険者だったみたいだし。お願いしてみるのはアリかも」
「でも今回は王子様の護衛だから、ガレルさんたちは難しいかもしれないけどね」
「ママだったら協力してくれると思う。私からもお願いしてみるね!」
「リゼリアちゃん、ありがとう。じゃあ、もう少し練習したらおやつにしましょうか」
「「はーい!」」
それからしばらく練習を続け、三人でおやつを食べた。
おやつの後ものんびり話をしていると、
トントントンッ。
玄関からノックの音が響く。
「はい」
俺が扉を開けると、そこには先ほど話題にしていたラミネが立っていた。
「ゼインくん。今、大丈夫かしら?」
「はい、大丈夫ですよ。どうぞ、中でお茶でも」
「いえ。急で申し訳ないんだけど、三人とも、うちに来てほしいの」
「僕たちですか?」
そのやり取りを聞いて、ミリとリゼもやって来た。
「王子様や辺境伯様とのお話は終わったんですか?」
ミリが尋ねる。
「いえ。まだ終わってはいないんだけど、あなた達……特にゼインくんとミリちゃんに聞いてほしい話があるの」
「「?」」
俺とミリは顔を見合わせ、首を傾げた。
なぜ王子や辺境伯がいる場に、知り合いでもない俺たちが呼ばれるのだろうか。
(漫画とかだと、こういう時ってあんまり良いことがないんだよな……)
俺たちは顔を見合わせて少し相談し、代表してミリが答えた。
「分かりました。準備をしますので、少しお待ちいただいてもいいですか?」
「ええ、もちろん。でも特別な準備はいらないわよ。服もいつも通りで大丈夫だから」
「分かりました」
ミリが返事をすると、ミリとリゼはミリの部屋へ、俺は自室へ向かった。
王族と辺境伯に会うのだから服装も気になったが、普段通りでいいと言われたのはありがたい。
五分ほどして、三人ともラミネの待つリビングへ戻る。
「準備できたようね。じゃあ行きましょう」
ラミネを先頭に、俺たちはリゼの家へ向かった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回はここで一区切りです。
次回はゼイン達も王子達との話に加わり、大きな真実が明かされます。
次回もよろしくお願いいたします。




