積み重ねた日常(魔法修行)
今回はレリーナとの魔法修行です。
ゼインだけでなく、ミリやリゼの成長も描いてみました。
「じゃあ3人とも。初級の【ライト】からね」
「ライト!」
3人が一斉に魔法を唱えると、各手の平に野球ボールほどの光の玉が浮かんだ。
(なんだか、神様に会った時のことを思い出すな)
レリーナは全ての光球を確認して、
「うん!みんな良くできてるわ!」と拍手した。
「じゃあ次は明るさを変えてみて」
3人はそれぞれ明るさの調整にかかる。
暗くしたり、明るくしたり、各々調整ができていた。
その中でも一際凄かったのはリゼリアだった。
「リゼリアちゃん、凄い!こんなの私だって簡単じゃないのよ!」
「えへへ、いっぱい練習したの!」
感嘆するレリーナと照れるリゼリア。
リゼリアの光球を見ると、半分は暗く、半分は明るさを増していた。
「すごい!リゼリアちゃん!どうやってるの?」
ミリも興奮している。
「うーん、説明は難しいけど、右手で流す魔力を増やす分、左手は減らすイメージかな」
「分かった!」
ミリもやってみるが、全体の明るさしか変わらず、苦戦する。
「むー、難しい!」
「ミリお姉ちゃんも頑張ればできるよ」
「うん!頑張る!」
ミリに新たな目標ができたようだ。
「でもリゼは凄いよ。よくこういうこと思いついたね」
「なんか練習してる内に、もしかしたらって思ったの」
リゼは照れた笑いを浮かべる。
「ウォーミングアップも終わった事だし、各自の中級スキルを見せて貰うわよ」
「はーい!」
レリーナの言葉に、3人が元気よく返事をする。
「じゃあまずはミリからね」
「うん!じゃあゼインくん!」
「よし!」
ミリは支援魔法の相性が良く、稽古のたびに俺がスキルを受けている。
「いくよ!【ロストアイ】」
俺は身構えるが、特に変化はない。
(もしかして失敗か?)
「ねぇ、姉さん…あれ?」
ミリの姿が消えていた。
「さっきまでいたはずなのに。リゼ、知らない?」
リゼに尋ねると、リゼの姿も消えていた。
「どういうことだ?」
(もしかしてこれがさっきのスキルの効果か…)
少し考え込むと、
「ゼインくん、どうだった?」
声のする方を見ると、ミリとリゼも元の場所に戻っていた。
「…どうなってるの?」
「上手にスキルが使えたみたいね。ゼインもお疲れ様」
レリーナが声をかける。
「母さん、姉さんとリゼの姿が見えないと思ったら急に出てきたんだけど」
「【ロストアイ】は掛けた相手から認識されにくくなるものなの」
「認識されにくくなる…でも支援魔法なの?」
「相手の能力を削ることも、仲間を支援することの一つでしょ?」
「なるほど」
「ゼインの反応を見るに、上手に掛けられていたみたいね。ミリ、よく頑張ったわね」
「ミリちゃん、凄い!」
「えへへ、ありがとう!」
リゼとハイタッチして喜ぶミリ。
「じゃあ次はリゼリアちゃん」
「はい!…スー、ハー」
リゼは深呼吸して、
「【エリアヒール】」
リゼを中心に3mほどの碧色の円が地面に映された。
「失礼するわね」
レリーナが円の内側に入る。
しばらくして
「うん、ちゃんと発動してるわ。もう少し安定すれば完璧よ」
「ありがとうございます」
レリーナが説明する。
「術者を中心に円を描いて、その中にいる人達を回復させる魔法よ」
「リゼ、大丈夫?疲れてそうだけど」
「ありがとう、ゼインくん。大丈夫よ」
リゼはニコッと笑い手を振った。
「治癒魔法はMPも集中力も使うの。慣れるまで苦労したわ」
「でもリゼは魔力の扱いが上手だから、すぐに克服できるわ」
「はい!ありがとうございます!」
「じゃあ最後はゼイン。やってみて」
「はい!」
(まずはこれを試そう)
「【ノーモーション】」
俺が唱えた瞬間、
「え!?」
ミリとリゼが驚く。
「ゼインくんが消えちゃった!」
「ゼインくん!」
無事を知らせるため手を振ると、2人とも驚く。
「ゼインくん、凄い!」
「【ノーモーション】は動かない間だけ姿を消せる魔法なんだ。ただ動くと解除されるから、使い道は難しいけどね」
「ずっと動かないって疲れちゃうよね」
「組み合わせ次第ではそうでもないよ」
「さっきの【ノーモーション】に掛け合わせるの?」
「そういうこと。じゃあやってみるね。【ノーモーション】、【グラビティ】」
俺は連続で魔法を唱え、再び姿を消す。
10分後
「ゼインくん、まだ出てきませんけど…10分も動かずにいられるものですか?」
「ふふっ、それは【グラビティ】のおかげかも。じゃあそろそろ出てきて」
「はーい」
身体を動かし魔法を解除する。
「ねぇゼインくん、さっきはどういうことなの?」
「【グラビティ】は本来、相手に重さを加えて動きを遅くする魔法なんだ。それを自分に掛けて、岩のようになったんだ」
「石像のイメージでいいのかな?」
「そんな感じだね」
「じゃあもうひとつ。【シャドウダイブ】」
俺が唱えると身体は地面に沈む。
「ゼインくんが沈んじゃった!」
「こんな魔法は私も初めてね」
レリーナも驚く。
「どう?ビックリした?」
「ゼイン?この魔法はどうやったの?」
「【シャドウダイブ】は影の中に隠れる魔法だよ。今のところ、自分の影の中だけだけどね」
「それでも魔法を自分で作ったってことよね?凄いわ、ゼイン!」
「ゼインくん、凄い!」
3人とも感心している。
「じゃあ3人とも、私が教えられる基礎は全て教えたわ。これからは自分達で訓練していってね。分からないことがあればいつでも相談して。頑張ってね」
レリーナの言葉で魔法の修行は終わった。
「母さん」
「ゼイン、どうしたの?」
「僕にも【ホウンセンス】を教えて欲しいんだ」
ずっと知りたかった魔法。
「【ホウンセンス】…私、あなた達の前で話したことあったかしら?」
(あっそうか。ライネさんに聞いた時のことだ)
少し考えて
「実は母さんの持ってる古代魔法の本を読んだ時に見つけたんだ」
「あらあら、そうだったの。難しくなかった?あれは特別な言語で書かれてるから」
「なんとか時間をかけてね」
実際はすぐに読めた。
なぜならその言語は前の世界で使っていた日本語だったからだ。
(転生者が残したんだろうな)
レリーナは少し考えて
「分かったわ。お父さんから剣術も習ってるし、【ホウンセンス】があれば目標にも届くはず」
「ありがとう!母さん!」
「じゃあ早速、レリーナメソッドの開始よ!」
「うん!」
意気揚々とメソッドを始める。
数日後
「【ホウンセンス】」
自分に魔法を掛ける。
「じゃあ行くわよ。【ファイヤ】【アイスニードル】【ウィンドバレット】」
レリーナの攻撃が仕掛けられる。
「はぁぁ!」
(見える!)
技の動きや空気の揺れ、相手の動きまでも把握できる。
「はぁぁ!」
剣術修行で身につけたい身のこなしで躱すことができた。
「ゼイン、どうだった?」
「うん、なんとか。でも少し疲れたかな」
「【ホウンセンス】は感覚の感度を上げるから最初は身体が付いてこないの。慣れるまで時間がかかるわ。あとは訓練次第ね」
「うん、分かったよ」
これで俺の本当の意味での魔法修行は終わった。
レリーナが復活させた古代魔法【ホウンセンス】も習得したゼイン。
これからも修行を積み重ねて、さらに自分のものにしていくでしょう。
しかし【居合い】や【シャドウダイブ】など自分で技や魔法を編み出したゼイン。
それは才能か、それとも他の要因があるのか。
そのことについてもこれからの物語触れていければと思います。




