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積み重ねた日常(修行)

日常(修行)ということでヴァッシュとの修行を描きました。ゼインも少しずつ成長している様子を描いております。

ヴァッシュやレリーナに稽古をつけてもらい、約4年が過ぎ、俺は8歳になった。

今日はヴァッシュとの剣の稽古の日だ。

「よしっ。準備運動おわり」

「おっ、ゼイン。また記録更新だな!」

ヴァッシュは嬉しそうに俺の頭を撫でる。

稽古を始めたばかりの頃は村を5周するのがやっとだったが、今では目標としていた30周を余裕で走りきれるようになり、最近では50周もこなしている。

(ほぼ毎日走って、ヴァッシュと稽古してたら嫌でも体力つくよ……)

そう思いつつ、ヴァッシュとの稽古に移る。

「じゃあ。今日は打ち合いをするぞ。今まで教えたスキルは必ず1回ずつは使うこと」

「分かったよ」

「よし。じゃあ、来なさい!」

ヴァッシュの合図で打ち合いが始まった。

「【スラッシュ】!」

まずは初級スキルで様子を見る。

「よっと。だいぶ良くなってきたな」

ヴァッシュは軽く受け流す。

「【バスターブレード】!」

これも初級スキルだが、【スラッシュ】よりは強めの技だ。

しかし…

「おっ、前より腕を上げたじゃないか」

称賛しつつも、また軽く受け流す。

「くっ!なら【ファストステップ】!」

素早さを上げて一気に間合いを詰める。

「【ダブルスラッシュ】!」

現在、唯一使える中級スキルを繰り出す。

「よっと」

ヴァッシュは上に飛び、斬撃を避ける。

「今のも良かったぞ。もう少し狙いを悟らせないようにすれば十分に通じるはずだ」

「ありがとう。でも一撃も当てられないのは悔しいな。しかも父さん、左手しか使ってないし」

そう。最初からヴァッシュは剣を利き手ではない左手で使って、俺の技を受け流していた。

「さすがに差がありすぎるからね。じゃあこっちからも行くぞ」

「!!」

ヴァッシュはあっという間に俺の間合いに入って横一閃に木剣を振るう。

「んぎっ!」

さすがに受け流すことはできないが、受けることはできた。

もちろん本気ではないだろうが、重い一撃だった。

「【ファストステップ】」

素早くヴァッシュから離れて距離を取る。

「良い判断だ。近接戦で力量差がある場合はまず離れること。ちゃんと守れてるな」

息を整え、再度ヴァッシュに向けて構える。

「よし。じゃあ中級スキルの一つを見せるぞ。もう少し剣を上に構えて、足を踏ん張れ」

ヴァッシュの言う通りに構える。

「よし、行くぞ。【エアスラッシュ】!」

ヴァッシュがその場で木剣を縦一閃に振る。

振るった幅とほぼ同じ斬撃が飛んでくる。

斬撃は俺の剣で防がれた。

(斬撃を飛ばせるってマジかよ……)

「今のが中級スキルの一つ。【エアスラッシュ】だ。斬撃を飛ばす技で、距離を取られた場合に有効だ」

「確かに。相手が離れようが自分が離れようが距離を取って攻撃できるなら便利だね」

「あぁ。でも射程距離は10mほど。ちょうどこのくらいの距離だな」

(10mか。強敵相手なら心許ない気もするけど、されど10mだ)

「じゃあ父さん。新しいスキルを見せてくれたお礼に僕もお披露目するよ」

「ん?父さんが教えたものとは違うのか?」

「うん。稽古しているうちにできるようになってたんだ」

「へぇ!それは面白い!さっそく見せてくれ!」

俺は剣を腰に構え、足を肩幅より広く開き腰を下ろす。

「なんか独特な構えだな」

ヴァッシュは不思議そうに見ている。

「じゃあ父さん。お願い」

「だ、大丈夫か?防御が間に合うとは思えないが」

「多分、大丈夫」

「…そうか。じゃあ行くぞ。【エアスラッシュ】!」

ヴァッシュの斬撃が飛んでくる。

(大丈夫。落ち着け。もう少し。あとちょっと)

目で斬撃を捉え、

(今だ!)

「【居合い】」

腰に構えた剣を横一閃に振り抜き、飛んできた斬撃を斬った。

切られた斬撃はその場で霧散した。

(消えた。斬撃は真空波のように空気を切ったから消えたのかな……)

「ゼイン!凄いな!なんだ今のスキル?!」

ヴァッシュが興奮気味に近づいてくる。

「【居合い】っていうスキルだよ」

「【居合い】?初めて聞くな。どんなスキルなんだ?」

「簡単に言うと、自分の剣の間合いに入ってきたものを素早く斬るスキルかな」

「へぇ!それは攻撃にも防御にも使えるな!あの独特な構えが必要なのか?」

「今回は下半身の力を効率よく使うためにああしたけど、絶対に必要ってわけではないよ」

「なるほど。どんな構えからでも反応できるってことか」

「僕はまだ力が未熟だから、しばらくはあの構えが必要だけどね」

「なるほど…。ゼイン」

ヴァッシュの声色が変わる。

「ど、どうしたの?父さん」

「そのスキルは中級、いやもしかしたら上級に分類されるかもしれない」

「じょ、上級?」

唾を飲む。

「上級スキルは身体への負担が大きい。まだ多く使わない方がいいだろう。それと無闇に人前で使わないこと」

「どうして?」

「上級スキルは基本、ジョブの恩恵で授かるもの。それを自分で発現させたとなれば、どんな輩が近づいてくるか分からないからね」

(なるほど。悪目立ちするわけにはいかないな)

「分かったよ、父さん」

「よし。今日はこれまでにしようか」

「うん」

ヴァッシュとの剣の稽古を終え、家に帰ると

「あら、ゼイン。お帰りなさい」

「ゼインくん、おかえり」

レリーナとミリ、そしてリゼが迎えてくれた。

リゼもあの日から魔法の稽古を頑張っている。

「汗を流したら、僕も参加するよ」

「あら、剣の稽古で疲れてるでしょう?無理はいけないわよ」

「大丈夫だよ。じゃあちょっと行ってくる」

汗を流してレリーナ達の元へ戻ると、ちょうど座学を終えて庭で実践に移るところだった。

ゼインも段々と力をつけてきましたね。

次回はレリーナとの魔法修行を描いていきます。

これからもゼインの成長を見守って頂けると嬉しいです。

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