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ラブ・シック・ゲーム  作者: 久楼逢栖
7/7

第6話 浴びて深呼吸した

少年?は私たちの顔を覗きこみ、大丈夫かと声をかけてきた。


正直、鬱陶しいと思い顔を上げ少年?を睨み付けた。

その瞬間、少年?からいろんなイメージが映像のように頭の中に流れ混んできたのだ。


少年?の後ろには3つの気があったのだ。普通の人間であれば1つの気が当たり前。たまに、多くて2つといったところだ。

だが、この少年?からは3つの気が感じられる。

目を凝らし、注意深く少年?の後ろに目を向けると、一人目の黒髪黒目の痩せ細った少女がいた。

次の二人目は藍色のロングヘアーに赤い瞳の少女。こちらは幸薄そう儚げ少女といったところか。そして、最後に三人目は同じく藍色のショートヘアーに赤い瞳をした少女?のわりにはキラキラと輝く宝塚のような立ち振舞いだ。


私と千歌は口をポカーンと開けたまま固まってしまった。こんなことってあるの?と聞きたいが聞いたところで明確な答えが帰ってくるわけでもなく、うなだれていると少年?は自らを語りはじめたのだ。


「あれ、キミたち類ちゃんと同じ転生者?」


転生者?何を言い出すのかと思えば全くわけのわかならないことを言う少年?ってか少女だったんだと思った。


「おっかしーな、てっきりそうなんじゃないかと思ったんだけどなぁ」

「そもそも、転生者って何?」


当たり前の質問をすると「そうだったー」と自分のおでこにぺちんっと手を当てた。


「類ちゃんの名前は御影みかげ るいって言うんだー。そしてねどうやら類ちゃんは生まれ変わりみたいなんだー」


と、呑気に語ってくれた。生まれ変わり?そんなことありえるのかと思ったが、先程みた映像が確かなら本当に彼女は生まれ変わりであるのだろうか。

確認してみたいと思ったが、ふと、気付き黙ってしまった。


もし、私の考えていることを言えばきっと彼女も不気味な顔するのだろうか。

隣の千歌も私と同じようになかなか言い出せずにいる。私も千歌もこれ以上否定されるのが怖いのだ。両親でさえ私たちを拒絶するというのに見知らぬ少女から拒絶なんてたいしたことないと自分を鼓舞し、話してみた。


「あなたから3つの気が感じられるの……。

黒髪黒目の少女の気と藍色ロングヘアーで赤い瞳をした少女の気、そして同じく藍色ショートヘアーの赤い瞳をした少女気が……」


言っててだんだん声が震え、小さくなっていた。

たまらず下を向き、目を閉じている。


きっとこの少女も私のこと不気味だと思ったんだと思うと、堪らなく涙が生まれ初めて出そうになった。


両親の時でさえ、気丈にいられたのに。

たった言葉を交わした少女の方がきついなんて思ってもみなかった。

千歌と繋ぐ手にも両方の力がはいり、痛い。

この時間が長く感じた時、思いもよらない声が聞こえた。


「すっごいよー!!えっ、超能力者?初めて見たよ!!」


彼女は興奮が治まらないのか私にぐいっと顔近づけてきた。


「御影 類って言います!!」

「……さっき、聞いた」

「貴女たちのお名前はなんて言うの?」

「……唐桐とうぎり音子ねこ。それから双子の弟の千歌ちか

「音子ちゃんに千歌君か、よろしくね!!」

そう言って私たちの前に手を差し出した。


「……貴女は私たちのこと不気味に思わないの?」

「えっ、何で?」

「な、何でってそりゃお前……」

「だってそれが二人の当たり前何でしょ?類ちゃんが可愛い女の子をナンパするのも当たり前だし、超能力が二人の当たり前なんだよ」

「「あ、当たり前?」」

思わず千歌とハモってしまった。

「そうそう当たり前。当たり前なんだから悩んでも仕方ないよ」


彼女の言葉が私たちの中にストンと落ちてきた。

【当たり前】そんなの今まで意識したことがなかった。

何気ない言葉に私たちを囲っていた世界にヒビが入った。

そして、そのヒビが穴に変わり二人だけ世界に風が吹いた。


それからというもの、どうやら私たちが思っている以上に彼女の存在が大きくなっていった。

初めは私と千歌の世界に新しい友達、いや、親友の類が加わったけど私たちの世界が一気に広くなった。


私たちは御影《キミという光》 類を手に入れた。


そして、類が前世の記憶を失うのは別の話。

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