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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第97話「黒い森の魂」

暗闇の中。


レオは一人、立っていた。


周囲には無数の魂。


白く淡い光を放つ者。


苦しそうにうずくまる者。


黒い根に絡め取られ、身動きできない者。


「……こんなに」


レオが周囲を見渡す。


『……助けて……』


『……苦しい……』


『……もう、眠りたい……』


声が重なっていく。


レオは拳を握った。


「待ってろ」


《死者の鎖》


鎖が伸び、魂を縛る黒い根へ絡みつく。


だが――


バチィッ!


鎖が弾き飛ばされた。


「くっ!」


黒い根がレオへ向かって伸びる。


レオは横へ飛んだ。


ドンッ!


地面を黒い根が突き破る。


「やっぱり、簡単にはいかないか」


背後からガイアの声が聞こえる。


『レオ、聞こえるか』


「ああ」


『外ではカイとミナが木を抑えている。守護者も持ちこたえてる』


「どれくらい?」


『長くは持たない』


レオは黒い根を見る。


「なら、急ぐ」


再び鎖を展開する。


今度は一本ではない。


数十本の鎖が周囲へ伸びる。


《死者の鎖・群縛》


黒い根を次々と拘束していく。


「今だ!」


鎖を引く。


ギギギ……。


黒い根が軋む。


しかし――


黒い根から黒い光が鎖へ流れ込んだ。


「っ!」


レオの腕が震える。


『吸われてるぞ!』


「分かってる!」


鎖を解除しようとした瞬間。


一つの魂がレオの前へ飛び出した。


「待って!」


レオが手を伸ばす。


「その力を使って!」


魂がレオを見る。


『……私たちも……戦える』


「え?」


『私たちは……奪われた』


『だから……返してほしい』


レオは目を見開く。


魂たちが次々と立ち上がる。


『私たちの力を……』


『私たち自身のために使わせて』


レオの胸に力が流れ込む。


温かい。


今までとは違う。


奪った力ではない。


魂たち自身が差し出している力だった。


「……分かった」


レオは鎖を握る。


「一緒に取り戻そう」


白い光が鎖へ宿る。


《死者の鎖・魂連結》


今度は黒い根が鎖を吸収しようとしても、逆に押し返されていく。


「これなら……!」


レオが走る。


黒い根の中心へ向かう。


その奥に巨大な黒い塊が見える。


まるで心臓のように脈動している。


ドクン。


ドクン。


「これが……黒い力の中心か」


ガイアが叫ぶ。


『レオ、そこだ!』


「分かってる!」


黒い塊から無数の根が飛び出す。


レオは鎖を振る。


「《魂連結・連鎖撃》!」


バシュッ!


一本。


二本。


三本。


黒い根が次々と切断される。


だが――


黒い塊の奥から、巨大な黒い腕が現れた。


『……邪魔をするな』


レオの動きが止まる。


「またお前か」


『……鍵……』


「俺は鍵じゃない」


『……鍵だ』


「違う!」


レオは鎖を構える。


「俺はレオだ!」


黒い腕が迫る。


「俺の仲間も――」


鎖が光る。


「俺が救う!」


ドンッ!


黒い腕と鎖が激突した。


衝撃でレオの身体が後ろへ吹き飛ぶ。


「ぐっ!」


その瞬間。


魂たちが一斉にレオを支えた。


『立って』


『まだ終わってない』


『私たちはここにいる』


レオはゆっくり立ち上がる。


「……そうだな」


黒い腕を睨む。


「俺一人じゃない」


外からも声が聞こえた。


『レオ!』


カイだ。


『こっちは任せろ!』


ミナの声も続く。


『絶対に負けないで!』


さらに――


『レオ』


ガイア。


そして守護者の白い光が、暗闇の奥まで届いた。


レオは笑った。


「……みんな、ありがとう」


黒い腕が再び襲いかかる。


今度は避けない。


レオは鎖を両手に握る。


「お前が何者なのかは、まだ分からない」


鎖が無数に分裂する。


「でも――」


魂たちの光が集まる。


「この魂たちは渡さない!」


《死者の鎖・魂連撃》


無数の鎖が黒い腕へ殺到した。


ドドドドドッ!


黒い腕が大きく揺れる。


『……なぜ……』


レオが叫ぶ。


「死者は、お前の力じゃない!」


最後の鎖が黒い腕を貫く。


「俺たちの仲間だ!」


バキィィン!


黒い腕に亀裂が走った。


しかし――


黒い塊そのものには、まだ傷一つない。


そして黒い塊の奥から、別の気配が生まれる。


レオの表情が変わった。


「……まだいる?」


ガイアの声が低くなる。


『レオ……』


「分かってる」


黒い塊の奥。


そこに――


巨大な一つの目が開いた。


――第97話・完――

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