↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
PR
96/179

第96話「森に残る黒い力」

地下遺跡が崩壊してから、しばらく。


森には静けさが戻っていた。


レオたちは、崩れ落ちた入口の前に立っている。


「……完全に塞がったな」


カイが崩れた岩を見つめる。


ミナも周囲を確認する。


「さっきまで感じていた黒い気配も、かなり弱くなってる」


レオは手にした石板を見る。


「でも、完全には消えてない」


ガイアが低く答えた。


『俺も感じる』


「どこだ?」


『森の奥だ』


守護者が同じ方向を指差す。


「やっぱりか」


レオは石板を懐にしまった。


「行こう」


カイが振り返る。


「また森の奥かよ」


「原因を残したまま帰るわけにはいかない」


「分かった」


ミナが杖を握る。


「今度こそ全部終わらせよう」


五人は森の奥へ進んだ。


しばらく歩くと、木々の様子が変わり始めた。


葉が黒く変色している。


地面にも、細い黒い筋が走っていた。


「……これ」


ミナがしゃがみ込む。


「魔力?」


レオも地面を見る。


「違う」


指先を近づける。


すると黒い筋が、まるで生き物のように動いた。


「!」


レオがすぐに手を引く。


ガイアが警告する。


『触るな』


「分かってる」


黒い筋は地面を這い、森の奥へ伸びている。


カイが剣先で軽く触れる。


ジュッ。


剣の表面が黒く変色した。


「うわっ!」


カイが慌てて剣を離す。


「危ねえ!」


レオが目を細める。


「この力……生きている」


ミナが驚く。


「黒い魔力が、自分で動いてるの?」


「たぶん」


その時。


森の奥から、かすかな声が聞こえた。


『……たすけて……』


レオが振り向く。


「今、声がした」


ガイアが周囲を見渡す。


『死者の声だ』


レオは走り出した。


「待て、レオ!」


カイたちも後を追う。


声を追って進んだ先。


一本の巨大な木が立っていた。


その幹には、黒い亀裂が走っている。


そして木の根元には――


一人の男が倒れていた。


「人間!?」


ミナが駆け寄る。


男は傷だらけだった。


まだ息がある。


「大丈夫ですか!」


男がゆっくり目を開ける。


「……に……逃げろ……」


「何から?」


男は震える手で森の奥を指差した。


「……黒い……木……」


レオが木を見る。


「この木のことか?」


男が首を横に振る。


「……もっと……奥……」


その直後。


ズズズ……。


地面が揺れた。


巨大な木の根が、ゆっくりと動き始める。


カイが剣を抜く。


「木が動いたぞ!」


黒い亀裂から、黒い霧が噴き出す。


レオが鎖を展開する。


「全員、離れて!」


ドンッ!


黒い根が地面から飛び出した。


カイが斬り払う。


「《裂空斬》!」


根が切断される。


だが――


切断された根から、さらに二本の根が伸びてくる。


「増えた!?」


ミナが炎を放つ。


「《フレイム・ランス》!」


炎が根を焼く。


黒い根は燃えながらも動き続ける。


ガイアが叫ぶ。


『普通の植物じゃない!』


「分かってる!」


レオは死者の鎖を伸ばす。


《死者の鎖・拘束》


根をまとめて縛り上げる。


「止まれ!」


しかし――


鎖に触れた黒い根から、逆に力が流れ込んできた。


「っ……!」


レオの身体に黒い光が走る。


『レオ! 切れ!』


ガイアの声。


レオは即座に鎖を解除した。


「今のは……」


ガイアが答える。


『あいつは、お前の死者の力まで食おうとした』


レオは木を睨む。


「魂を食うだけじゃない」


黒い亀裂が大きくなる。


「力そのものを食ってる……」


守護者が前へ出た。


白い光が広がる。


黒い根の動きが止まった。


だが、完全には消えない。


むしろ――


木の幹の奥から、無数の声が響き始めた。


『……苦しい……』


『……出して……』


『……ここから……』


レオの顔色が変わる。


「魂がいる」


ミナが木を見る。


「この木の中に?」


「そうだ」


レオは一歩前へ出る。


「まだ囚われてる」


カイが止める。


「待て。さっきみたいに力を吸われるぞ」


「分かってる」


レオは拳を握る。


「でも、助ける」


ガイアが静かに言った。


『なら、今回は俺も一緒に行く』


レオが振り返る。


「ガイア?」


『お前一人で魂の中へ入るより、俺が外側から支える』


守護者もレオの隣に立つ。


カイが笑う。


「俺たちは外で木を抑える」


ミナが頷く。


「中のことは任せる」


レオは仲間たちを見る。


「……ありがとう」


五人の役割が決まった。


カイとミナが前へ出る。


守護者が白い光で木の動きを抑える。


ガイアはレオの魂へ意識を繋ぐ。


そしてレオは――


木の黒い亀裂へ手を伸ばした。


「行くぞ」


黒い亀裂の中へ、レオの意識が引き込まれる。


次の瞬間。


目の前に広がったのは――


真っ暗な空間。


その中心に、無数の魂が黒い根に縛られていた。


「……また、こんなに……」


レオの前方。


巨大な黒い根がゆっくりと動く。


その奥から、あの声が響いた。


『……また来たか……』


レオの目が鋭くなる。


「お前……」


聞き覚えのある声。


死界の門の向こう。


黒い核。


そして地下遺跡。


何度も聞いた声だった。


『……鍵……』


レオは鎖を構える。


「今度こそ、正体を教えてもらうぞ」


巨大な黒い根が一斉に動き出した。


――第96話・完――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。