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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第91話「地下遺跡の戦い」

地下遺跡に、黒い光が走った。


三人の黒衣の男たちが一斉に動く。


「来るぞ!」


カイが前へ飛び出した。


キィン!


剣と黒い短剣がぶつかる。


「速い!」


黒衣の男は一歩下がると、身体を低く沈めた。


「遅い」


次の瞬間、カイの懐へ潜り込む。


「っ!」


ガキン!


守護者が割って入り、黒い短剣を腕で受け止めた。


「助かった!」


守護者は答えない。


ただ、男を睨みつける。


その横では、ミナが二人目の男と対峙していた。


「《フレイム・ランス》!」


炎の槍が一直線に飛ぶ。


男は黒い霧を纏い、横へ飛んだ。


炎槍が石壁を貫く。


「避けた……!」


「魔法だけでは、私たちは倒せない」


男の両手から黒い刃が伸びる。


ミナが杖を構え直した。


「だったら――」


炎が杖の先で渦を巻く。


「近づけさせなければいい!」


炎の壁が広がった。


男が足を止める。


その隙に――


「《死者の鎖》!」


レオの鎖が床を走った。


男の足へ絡みつく。


「捕まえた!」


だが――


バキッ!


黒い力が鎖を砕いた。


レオの目が見開かれる。


「……普通の黒い力じゃない」


ガイアが低く告げる。


『気をつけろ。あいつらは黒い力を身体に取り込んでる』


「つまり……」


『死者の魂を使った森の魔物と似ている』


レオの表情が険しくなる。


「同じ力を使っているのか?」


『そこまでは分からない』


三人目の男が、レオへ向かって手を伸ばした。


「お前の力も――」


黒い光が集まる。


「奪わせてもらう」


「させるか!」


カイが横から斬り込む。


男は短剣で受け止める。


だが、カイはそのまま力を込めた。


「うおおおっ!」


男の身体が後ろへ吹き飛ぶ。


壁に叩きつけられる。


「今だ!」


レオが鎖を放つ。


《死者の鎖・拘束》


大量の鎖が男の身体へ絡みついた。


「ぐっ……!」


男の動きが止まる。


「カイ!」


「任せろ!」


カイが踏み込む。


だが――


「させない」


ミナと戦っていた男が割り込んだ。


炎の壁を突き破り、カイの前へ現れる。


「なっ!」


黒い刃が振り下ろされる。


ガキィン!


守護者が再び受け止めた。


男と守護者が激しく押し合う。


「守護者!」


レオが叫ぶ。


守護者は一歩も退かない。


白い光と黒い力がぶつかり、地下遺跡が揺れる。


「この力……」


黒衣の男が初めて動揺した。


「三百年前と同じ……」


レオが聞き逃さなかった。


「三百年前?」


男は黙る。


「お前たちは三百年前のことを知っているのか!」


レオが鎖を引く。


「答えろ!」


拘束された男が笑った。


「知っているさ」


「なら教えろ!」


「教えてほしければ――」


男の胸に黒い紋章が浮かび上がった。


「生き残ってみろ」


ドンッ!


凄まじい黒い衝撃波が放たれた。


レオの鎖が一斉に弾き飛ばされる。


「レオ!」


カイが叫ぶ。


レオの身体が後方へ吹き飛ぶ。


「ぐっ……!」


床を転がり、壁に背中を打ちつけた。


ミナが駆け寄る。


「大丈夫!?」


「……ああ」


レオは立ち上がる。


「まだやれる」


ガイアが周囲を見る。


『レオ、見ろ』


「?」


地下遺跡の床。


先ほどの衝撃で、一部の石板がずれていた。


その下から――


大量の黒い文字が現れている。


ミナが目を見開いた。


「隠されてた記録……!」


レオも気づく。


戦っている場合ではない。


この遺跡には、まだ何かある。


だが黒衣の男たちは、それを守るように立っている。


「なるほど……」


レオが鎖を構える。


「お前たちがここに来た理由が分かった」


男が笑う。


「何が分かった?」


「黒い欠片を取り戻すだけじゃない」


レオの視線が床へ向く。


「この記録を消すつもりなんだろ」


三人の男が一瞬だけ沈黙した。


その反応を見て、レオは確信する。


「図星か」


男の表情が変わった。


「……やはり、お前は厄介だ」


「だったら――」


レオの周囲に無数の鎖が浮かぶ。


カイも剣を構える。


ミナが炎を纏う。


守護者が前へ出る。


ガイアの声が響いた。


『五人で行くぞ』


レオが頷く。


「ここにある記録は、絶対に渡さない」


黒衣の男たちも構える。


地下遺跡の中央で――


再び、四つの力が激突した。


そしてその瞬間。


遺跡の最深部から――


ドン……。


巨大な音が響いた。


全員の動きが止まる。


ドン……。


今度は、さらに大きい。


「……何だ?」


カイが振り返る。


地下深くから、何かが動いている。


黒衣の男の一人が呟いた。


「……目覚めたか」


レオが男を見る。


「何が?」


男は答えなかった。


ただ、恐れるように地下の奥を見つめていた。


――第91話・完――

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