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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第88話「黒核崩壊」

黒い空間。


レオの目の前には、巨大な黒い腕が迫っていた。


「……!」


レオは身体を横へ飛ばす。


ズガァン!


黒い腕が地面を叩き、黒い衝撃波が走る。


「くっ……!」


レオは転がりながら立ち上がった。


腕の先には、何もない。


身体も顔もない。


ただ、黒い核の奥から伸びている巨大な腕だけだった。


『こちらへ来い』


声が響く。


『お前なら……境界を越えられる』


「断る!」


レオは《死者の鎖》を構える。


「俺は、ここにいる魂たちを連れて帰る!」


『愚かな……』


黒い腕が再び迫る。


レオが鎖を振るう。


「《死者の鎖・魂連撃》!」


無数の鎖が黒い腕へ絡みつく。


ギギギギ……。


腕の動きが止まった。


『死者の力……』


黒い腕が鎖を握る。


『それだけでは足りぬ』


黒い力が鎖へ流れ込む。


鎖が徐々に黒く染まっていく。


「ぐっ……!」


レオの腕にも激痛が走る。


『レオ!』


ガイアの声が響く。


『一人で受けるな!』


「ガイア……!」


『俺たちもいる!』


その瞬間。


レオの背後に光が集まった。


カイ。


ミナ。


守護者。


そして――


解放された無数の魂。


レオは振り返る。


「みんな……」


カイの声が聞こえた。


『レオ、まだ終わってないぞ!』


「……ああ!」


ミナの声も重なる。


『こっちからも力を送る!』


守護者から白い光が流れ込む。


ガイアの力も重なる。


五人の力が一つになる。


黒く染まりかけた鎖が、再び青白く輝き始めた。


「これが……俺たちの力だ!」


レオが鎖を引く。


「《死者の鎖・境界連結》!」


バキィン!


黒い腕が弾き飛ばされた。


その直後。


巨大な黒い核に、さらに亀裂が走った。


「今だ!」


レオが核へ向かって走る。


黒い影が立ちはだかる。


『させぬ!』


「どけ!」


「《死者の鎖》!」


鎖が影の身体を貫く。


影が大きく揺らぐ。


『なぜ……』


「俺には守る仲間がいる!」


鎖を引く。


影が崩れ始める。


『ならば……覚えておけ……』


黒い影が消えていく。


『境界の向こうには……お前が知らぬものが……』


レオが目を細める。


「何だ?」


しかし、答えは返ってこなかった。


影が完全に消える。


そして――


黒い核が激しく脈打った。


ドクン!


ドクン!


「……まずい」


レオが後退する。


「みんな、離れろ!」


黒い核に無数の亀裂が走る。


バキッ。


バキバキッ。


そして――


ドゴォォォォン!


核が崩壊した。


大量の黒い力が一気に弾け飛ぶ。


レオの身体も吹き飛ばされる。


「うわあああっ!」


しかし、白い光がレオを包んだ。


守護者の力だった。


「守護者……!」


そのままレオの意識が遠のいていく。


一方、外。


森の主の胸にあった黒い核にも亀裂が入っていた。


「グオオオオオッ!」


カイが叫ぶ。


「ミナ、下がれ!」


「分かった!」


二人が後退する。


守護者の身体から白い光が放たれた。


黒い核が砕ける。


パァン!


黒い光が消えた。


森の主の巨大な身体が、ゆっくりと倒れる。


ドォン……。


静寂。


カイが息を切らしながら巨獣を見る。


「……終わったのか?」


ミナが近づく。


「まだ分からない」


森の主は動かない。


しかし、胸からは黒い煙が少しずつ抜けている。


その煙の中から――


無数の小さな光が浮かび上がった。


魂だった。


『ありがとう……』


『助かった……』


『ありがとう……』


光はゆっくりと空へ昇っていく。


ミナが微笑む。


「……帰れたんだね」


カイも剣を収めた。


「レオは?」


二人が振り返る。


地面にはレオが倒れていた。


「レオ!」


カイが駆け寄る。


「おい、レオ!」


反応がない。


ミナが膝をつく。


「息はある」


「よかった……」


ガイアの声が響く。


『レオは大丈夫だ』


カイが振り返る。


「ガイア、本当か?」


『ああ。ただ、かなり力を使った』


守護者もレオの隣に座る。


静かにレオを見つめている。


しばらくして――


レオの指が動いた。


「……う……」


カイが笑う。


「おい!」


レオがゆっくり目を開ける。


「……ここは?」


「森だよ」


ミナが笑う。


「終わったよ」


レオが身体を起こす。


「……魂は?」


「全部、解放された」


レオは空を見上げた。


小さな光が消えていく。


「……そうか」


ガイアが静かに言う。


『これで、少しは眠れるだろうな』


レオは頷いた。


しかし――


森の奥。


黒い核があった場所に、一つだけ黒い欠片が残っていた。


誰も気づいていない。


その欠片に――


小さな黒い紋章が浮かび上がる。


そして、森のさらに奥へ向かって、ゆっくりと転がっていった。


――第88話・完――

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