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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第87話「魂の反撃」

黒い空間。


レオは巨大な核を見上げていた。


その周囲には、無数の魂が漂っている。


魂と核を繋いでいた黒い鎖は、レオの《死者の鎖》によって一部が切断されていた。


しかし――


まだ多くの魂が捕らわれている。


『……無駄だ』


黒い核から声が響く。


『死者は力になる』


「違う」


レオは鎖を握り直す。


「死者は道具じゃない」


黒い影がレオへ襲いかかった。


「《死者の鎖》!」


青白い鎖が黒い影の腕を受け止める。


ギィン!


「ぐっ……!」


黒い影の力が強い。


鎖が少しずつ押し込まれる。


『お前も同じだ』


「何?」


『死者の力を使っている』


黒い影が笑うように揺らめく。


『ならば、お前も我らと同じだ』


レオは黙った。


確かに、レオは死者の力を借りている。


だが――


「俺は、死者から奪ってない」


鎖に力を込める。


「力を貸してくれって頼んでるんだ!」


その瞬間。


周囲の魂たちが一斉に輝いた。


『そうだ……』


『俺たちは……』


『自分の意思で……』


青白い光がレオへ集まってくる。


黒い影が後退した。


『馬鹿な……』


レオの鎖がさらに強くなる。


「みんな!」


レオが叫ぶ。


「自分の力を取り戻せ!」


魂たちが一斉に動いた。


黒い鎖を掴む。


『返せ!』


『俺たちの魂を!』


『もう……お前には渡さない!』


魂たちが黒い鎖を引き始める。


ギギギギ……。


黒い鎖に亀裂が入る。


一つ。


二つ。


次々と鎖が砕けていく。


黒い影が叫ぶ。


『やめろ!』


「今だ!」


レオが鎖を振るう。


「《死者の鎖・解放》!」


青白い鎖が一気に走る。


バキィン!


大量の黒い鎖が砕け散った。


解放された魂たちが光へ変わっていく。


だが――


黒い核が激しく脈打った。


ドクン!


空間全体が揺れる。


レオが踏ん張る。


「まだ終わってない……!」


核の表面に亀裂が走った。


そこから大量の黒い触手が伸びてくる。


『ならば……全てを喰らう』


触手が魂たちへ向かう。


「させるか!」


レオが前へ出る。


《死者の鎖》が何重にも重なり、巨大な壁となった。


ドガガガガッ!


触手が鎖へ突き刺さる。


レオの身体に激痛が走る。


「ぐあっ……!」


『レオ!』


ガイアの声が聞こえる。


『無理するな!』


「まだ……!」


レオは膝をつきながらも鎖を維持する。


「まだ、みんなが残ってる!」


その頃、外。


森の主が咆哮を上げていた。


「グオオオオオッ!」


巨体が暴れ、木々が次々となぎ倒される。


カイが攻撃をかわす。


「くそっ! レオはまだ戻らないのか!」


ミナが魔法を放つ。


「《炎槍・連撃》!」


炎槍が巨獣の脚へ集中する。


「少しでも動きを止める!」


だが、森の主は炎を振り払い、ミナへ突進する。


「ミナ!」


カイが割り込む。


剣で爪を受け止める。


「ぐっ……!」


そのまま地面を滑る。


「カイ!」


守護者が横から飛び込む。


白い光をまとった拳が森の主の身体へ叩き込まれた。


ドンッ!


巨獣がよろめく。


ガイアが叫ぶ。


『胸の黒い核だ!』


「分かってる!」


カイが立ち上がる。


「でも、レオが中にいる!」


『だから直接壊せない!』


ミナが森の主を見る。


「じゃあ、どうすれば……」


ガイアが考える。


『黒い力を弱めながら、レオが戻れる道を作る』


カイが笑う。


「それならやることは決まったな」


ミナも頷く。


「私たちで時間を稼ぐ」


守護者が一歩前へ出る。


白い光がさらに強くなる。


ガイアが続ける。


『俺はレオとの繋がりを維持する』


カイが剣を構える。


「なら俺たちは、こいつを抑える!」


ミナが杖を掲げる。


「行くよ!」


三人と二つの力が同時に動いた。


カイが正面から斬り込む。


「《裂空斬・弐》!」


ミナが左右から炎を放つ。


「《炎界》!」


守護者が森の主の前脚を受け止める。


ガイアの力がレオへ繋がる。


その瞬間。


黒い空間にいたレオの前へ、一筋の光が現れた。


「……みんな?」


光の向こうから仲間たちの気配を感じる。


カイ。


ミナ。


ガイア。


守護者。


レオは拳を握った。


「そうか……」


黒い核を見る。


「俺は一人じゃない」


レオの周囲へ、解放された魂たちが集まってくる。


『行け』


『俺たちも手伝う』


『あの核を壊してくれ』


レオは頷いた。


「分かった」


無数の魂がレオの鎖へ宿る。


青白い光が、今までとは比べ物にならないほど強くなる。


黒い影が叫ぶ。


『やめろォォォッ!』


レオが踏み込む。


「これが――」


鎖を振り上げる。


「死者と共に戦う力だ!」


「《死者の鎖・魂連撃》!」


無数の鎖が一斉に黒い核へ突き刺さった。


ドゴォォォン!


核に大きな亀裂が走る。


外の森の主も同時に咆哮した。


「グオオオオオオオッ!」


胸の黒い光が激しく揺らぐ。


カイが目を見開く。


「効いてる!」


ミナが叫ぶ。


「レオ!」


その声が届いた。


「聞こえてる!」


レオは答える。


黒い核が砕け始める。


だが――


核の奥から、巨大な黒い腕が伸びてきた。


レオの顔から笑みが消える。


「……まだいたのか」


黒い腕がレオへ迫る。


その腕の奥から、あの声が響く。


『……こちらへ来い』


レオは鎖を構える。


「行くわけないだろ!」


――第87話・完――

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