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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第81話「冥夜の旅団」

聖王教会本部を離れて、数時間。


レオたちは街道を歩いていた。


レオの隣にはカイとミナ。


その少し後ろを、守護者が静かについてくる。


そして――


『ようやく教会から離れたな』


ガイアの声が響く。


「そうだな」


『あそこは長居する場所じゃない』


カイが振り返る。


「ガイア、まだ教会嫌いなのか?」


『好きになる理由がないだろ』


「まあ、それはそうか」


ミナが小さく笑う。


「でも、ローディンは悪い人じゃなかったよね」


「そうだな」


レオも頷く。


ローディンは聖王教会の騎士だった。


レオたちを監視する役目を与えられていたが、戦いでは何度も共に戦った。


それでも、彼は教会側の人間だ。


今はそれぞれの道を進んでいる。


セイルも同じだった。


境界監視者の一員として、死界の門を見守り続ける。


ヴァルドとアシュレイも、三百年前の事件を背負いながら、それぞれの目的へ向かっていった。


今、レオたちと共にいるのは――


レオ。


カイ。


ミナ。


ガイア。


そして守護者。


五人だった。


カイが突然、口を開く。


「なあ、レオ」


「ん?」


「俺たちって、正式な名前あったっけ?」


「名前?」


「そう。教会の騎士でもないし、冒険者のパーティってわけでもない」


ミナも考える。


「確かに、ずっと『レオたち』だったね」


『俺も名前があったほうがいいと思うぞ』


ガイアが口を挟む。


レオが苦笑する。


「ガイアまで?」


『俺だって仲間だからな』


「それは分かってる」


カイが笑う。


「じゃあ、五人の名前を決めようぜ」


「五人……」


レオは歩きながら考える。


自分。


カイ。


ミナ。


ガイア。


守護者。


それぞれ違う。


生きている者。


契約によって繋がる者。


そして境界に存在する者。


共通しているのは、同じ道を歩いていることだった。


「……冥夜」


レオが呟く。


カイが振り返る。


「冥夜?」


「夜のような暗い場所でも、前へ進む」


レオは空を見る。


「俺たちが歩いてきた道は、明るいものばかりじゃなかった」


死者。


死界。


教会。


黒き境界派。


何度も危険に遭遇した。


それでも、歩みを止めなかった。


「だから……冥夜の旅団」


ミナが微笑む。


「いい名前だね」


カイも頷いた。


「俺も賛成」


『俺も異論はない』


ガイアが答える。


守護者も静かに頷いた。


レオが三人と一体を見る。


「今日から俺たちは――」


一拍置く。


「冥夜の旅団だ」


カイが拳を握る。


「決まりだな!」


ミナも笑う。


「五人の旅団」


『ようやく俺も正式に数えられたな』


「最初から仲間だろ」


レオが笑う。


守護者は何も言わない。


ただ、レオたちの隣へ歩み寄った。


その姿を見て、カイが笑った。


「こいつもちゃんと旅団の一員だからな」


レオが頷く。


「ああ」


五人は再び歩き始める。


しばらくすると、街道の先に町が見えてきた。


カイが目を輝かせる。


「まずは飯だな!」


ミナが呆れた顔をする。


「そればっかり」


『俺も腹が減った』


「ガイアまでかよ!」


レオが笑う。


「じゃあ、今日はゆっくり休もう」


五人が町へ向かう。


その時だった。


町の入口付近から、一人の男が走ってきた。


「頼む! 助けてくれ!」


レオたちが足を止める。


男は息を切らしながら訴えた。


「森に魔物が出たんだ!」


カイの表情が変わる。


「魔物?」


「何日も前から出ている。最初は一匹だったのに、今では数が増えてるんだ!」


ミナが尋ねる。


「被害は?」


「家畜を襲われた。それだけじゃない。森へ入った人間も戻ってきていない」


レオは町の向こうに広がる森を見る。


守護者も森を見つめている。


『レオ』


ガイアの声が低くなる。


「……分かってる」


「何か感じるのか?」


カイが聞く。


レオは森から視線を離さない。


「まだ分からない」


そして、男を見る。


「森へ案内してくれ」


男は目を見開いた。


「引き受けてくれるのか?」


「困っているなら、放っておけない」


カイが剣を抜く。


「旅団最初の仕事だな」


ミナも杖を握る。


「うん」


ガイアが笑う。


『結成したばかりで、さっそく仕事とは忙しいな』


レオは守護者を見る。


守護者は静かに森へ視線を向けている。


「行こう」


五人は森へ向かって歩き出した。


冥夜の旅団。


その名を掲げてから、最初の戦いが始まろうとしていた。


――第81話・完――

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