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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第4章「聖王教会編」
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第79話「三つの核」

巨大な異形の腕が振り下ろされる。


ドォン!


地面が砕け、衝撃波が地下空間を走った。


「散れ!」


レオの声に、全員がそれぞれの方向へ飛び退く。


三つの頭を持つ異形がゆっくりと顔を上げた。


中央の頭がレオを見る。


右の頭がカイとセイルを見る。


左の頭がミナとローディンを見る。


まるで、それぞれの相手を認識しているかのようだった。


ガイアが低い声を漏らす。


『三つの意識……まだ残ってる』


レオは異形の胸を見る。


そこには三つの黒い核が重なっていた。


「一つずつ壊すんじゃない」


セイルが続ける。


「三つ同時に攻撃する必要がある」


「なら、俺たちも三組に分かれる」


レオが指示を出す。


「俺と守護者は中央」


「俺とセイルは右!」


カイが即答する。


ミナも杖を構えた。


「ローディンと私は左!」


ローディンが頷く。


「それでいこう」


ヴァルドが叫ぶ。


「気をつけろ! 融合したことで、三体それぞれの能力が強化されている!」


「分かってる!」


レオが走り出す。


「行くぞ!」


三方向から一斉に攻撃を開始した。


中央へ向かったレオの前に、巨大な腕が伸びてくる。


「《死者の鎖》!」


鎖が腕へ絡みつく。


ギギギッ!


異形が力任せに鎖を引っ張る。


「くっ……!」


レオの身体が前へ引きずられる。


守護者が横から飛び込み、腕を殴りつけた。


ドン!


異形の腕が揺らぐ。


「助かった!」


守護者が再び踏み込む。


白い光をまとった拳が異形の胸を狙う。


しかし中央の頭が口を開いた。


黒い霧が吐き出される。


「守護者!」


守護者が腕で防ぐ。


だが、白い光が少しずつ削られていく。


「……!」


レオはすぐに鎖を伸ばした。


「《死者の鎖・盾陣》!」


死者たちの力が守護者の前に集まる。


黒い霧が鎖の壁にぶつかる。


ギギギギッ!


「今だ!」


守護者が霧を振り払い、中央へ突進する。


レオも続く。


「核は……あそこ!」


三つの核のうち、中央の核が強く脈動していた。


「《境界断ち》!」


白い力をまとった鎖が核へ向かう。


しかし――


ガキィン!


別の腕が割り込んだ。


「なっ!」


中央の頭だけではない。


右の頭がこちらへ顔を向けていた。


異形は三方向を同時に見ている。


「三つの意識が全部繋がってる……!」


一方、カイとセイル。


「来るぞ!」


巨大な腕が二人を薙ぎ払う。


カイが跳ぶ。


セイルが滑り込む。


「《境界杭》!」


ドン!


黒い杭が床へ突き刺さる。


異形の右側が一瞬だけ硬直する。


「今だ、カイ!」


「おう!」


カイが走る。


「《裂空斬》!」


斬撃が右側の胸を切り裂く。


しかし、深く入らない。


「硬すぎる!」


セイルが異形の動きを見る。


「核は胸の奥だ!」


「じゃあ、そこまで斬る!」


カイが再び踏み込む。


異形の腕が襲いかかる。


ガキィン!


剣で受ける。


腕の力に押され、カイの足が床を滑る。


「ぐっ……!」


「カイ!」


セイルが斬り込む。


「《境界断》!」


異形が腕を引く。


カイが体勢を立て直す。


「助かった!」


「礼は後だ!」


セイルが核を見る。


「一度だけ隙を作る」


「どうする?」


「私が止める」


セイルが剣を構える。


「お前が核を斬れ」


カイが笑う。


「任せろ!」


セイルが異形へ突っ込む。


「《境界杭・連》!」


一本。


二本。


三本。


黒い杭が次々と床へ突き刺さる。


異形の右側が拘束される。


「今!」


カイが跳ぶ。


「《裂空斬・二連》!」


一撃目。


二撃目。


同じ場所を正確に斬り込む。


バキッ!


胸の表面に亀裂が入った。


「入った!」


だが、核そのものには届かない。


「あと一歩……!」


その時、右の頭がカイへ向いた。


口が開く。


黒い霧が集中する。


「カイ、避けろ!」


セイルが叫ぶ。


しかし、カイは動かない。


「ここで逃げたら、次がない!」


剣を両手で握る。


「だったら……!」


霧が迫る。


「正面から行く!」


カイが踏み込んだ。


一方、左側。


ミナとローディンは炎と聖なる力を使いながら異形を追い詰めていた。


「ローディン、左!」


「了解!」


異形の腕をローディンが受け止める。


「ぐっ……!」


ミナが炎を集中させる。


「《炎界・収束》!」


炎が一つの槍へ変わる。


「今!」


ローディンが腕を弾く。


ミナが放つ。


「《炎槍・穿》!」


炎槍が胸へ突き刺さる。


ズドン!


左側の核が露出した。


「見えた!」


ローディンが走る。


「《聖断》!」


斬撃が核へ迫る。


しかし異形が身体を捻った。


斬撃が核の横を通り抜ける。


「くっ!」


ミナが叫ぶ。


「もう一度!」


「時間を稼ぐ!」


ローディンが正面に立つ。


異形の腕が何度も襲ってくる。


一撃。


二撃。


三撃。


ローディンは剣で受け流し続ける。


「まだだ……!」


腕が肩をかすめる。


血が流れる。


「ローディン!」


「気にするな!」


さらに一撃。


ローディンの膝が沈む。


「ぐっ……!」


それでも立ち上がる。


「今度はこちらの番だ!」


剣を振り上げる。


「《聖断・裂》!」


斬撃が異形の腕を切り裂いた。


ミナが走る。


「ありがとう!」


杖を両手で握る。


「今度こそ……!」


炎が渦を巻く。


「《炎槍・極》!」


炎の槍が左の核へ突き進む。


ズドォン!


核の表面に大きな亀裂が走った。


「あと少し!」


その瞬間。


三つの核が同時に光った。


「……何?」


ミナが動きを止める。


異形の胸から黒い衝撃波が放たれた。


「伏せろ!」


ローディンがミナを抱えて倒れ込む。


衝撃波が二人の頭上を通り抜ける。


そして中央。


レオも衝撃波を受け、吹き飛ばされた。


「ぐあっ!」


地面を転がる。


守護者がすぐに駆け寄る。


「大丈夫だ……!」


レオは立ち上がる。


「三つの核が……互いに守ってる」


ガイアが答える。


『一つに攻撃すると、残り二つが力を送ってるんだ』


レオが三つの核を見る。


「だから、同時に攻撃しなきゃいけない」


セイルが叫ぶ。


「全員、準備しろ!」


カイが黒い霧を振り切りながら立ち上がる。


「準備ならできてる!」


ミナも杖を構える。


「私も!」


ローディンが血を拭う。


「まだ戦える」


守護者がレオの隣に立つ。


レオは三組の仲間を見る。


そして――


「三つ同時に叩く」


鎖を構える。


「次の一撃で、核を壊す!」


しかし、その瞬間。


三つの核が激しく脈動した。


ドクン。


ドクン。


ドクン。


黒い霧が地下全体を覆っていく。


ヴァルドの顔色が変わった。


「待て……」


アシュレイが振り返る。


「どうした?」


ヴァルドは震える声で答えた。


「これは……奴らが攻撃するための準備じゃない」


「じゃあ何だ?」


ヴァルドが裂け目を見る。


「……向こう側から、力を引き込もうとしている」


巨大な黒い目が、再び裂け目の向こうに現れた。


今度は目だけではない。


その奥に、何か巨大な影が立っている。


レオは鎖を握り締めた。


「……あいつまで関わってくるのか」


ガイアが答える。


『レオ……急いで』


「分かってる」


レオが仲間へ叫ぶ。


「全員、次の一撃に全部を込めろ!」


三組が同時に構える。


巨大な異形も、三つの核を激しく輝かせる。


互いの力がぶつかる。


そして――


決着へ向けた一撃が始まった。


――第79話・完――

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