↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第4章「聖王教会編」
PR
78/173

第78話「異形融合」

巨大な黒い腕が、黒い渦の中心から伸びてくる。


レオは反射的に飛び退いた。


「全員、下がれ!」


ドォン!


腕が地面を叩き潰す。


石床が砕け、無数の破片が飛び散った。


カイが剣で破片を弾きながら叫ぶ。


「なんだよ、あれ!」


セイルは黒い渦を睨みつけた。


「三体の身体が……混ざっている」


渦の中で、三体の異形が一つに重なっていく。


腕。


脚。


胴体。


本来なら別々だった身体が黒い霧によって繋ぎ合わされていた。


ミナが息を呑む。


「融合してる……」


ローディンが剣を構える。


「融合が完成する前に止めるぞ!」


「分かってる!」


レオが両手を広げる。


「《死者の鎖》!」


無数の鎖が一斉に飛び出した。


黒い渦を包み込む。


ギギギギッ!


鎖が渦を締め上げる。


「止まれぇ!」


レオが力を込める。


死者たちの声が周囲に響いた。


『押さえろ』


『まだだ』


『力を貸す』


鎖がさらに増える。


しかし――


バキッ!


一本。


また一本。


鎖が砕かれていく。


ガイアが叫ぶ。


『レオ! 無理に抑え込まないで!』


「でも、このままじゃ……!」


『あれは力を外から受けるほど、融合を進めてる!』


レオの表情が変わる。


「……外からの力を利用してるのか」


ヴァルドが頷く。


「その通りだ」


アシュレイも続ける。


「奴らは攻撃を吸収するだけではない。融合そのものに、周囲の力を利用している」


レオは鎖を見た。


「じゃあ、俺の力も……」


「利用される可能性がある」


一瞬、沈黙する。


カイが剣を下ろした。


「だったら、力をぶつけなきゃいい」


レオが振り向く。


「カイ?」


「さっきまでと同じじゃない」


カイは剣を握り直した。


「力で押し切るんじゃなくて、あいつらを直接引き離す」


セイルが頷く。


「理にかなっている」


「セイル、あの三体……いや、今は一体か。どこを狙えばいい?」


セイルは黒い渦を観察する。


「中心だ」


「中心?」


「三つの力が重なっている場所がある。そこを断てば融合を阻止できる」


カイが笑う。


「よし。それなら俺たちの出番だ」


「私も行く!」


ミナが前へ出る。


ローディンも並ぶ。


「俺たちも援護する」


レオは頷いた。


「俺は融合そのものを抑える」


守護者がレオの隣に立つ。


白い光が身体から滲み出した。


「守護者……頼む」


守護者が静かに頷く。


レオが再び鎖を伸ばす。


今度は黒い渦そのものを縛らない。


三体が重なっている中心だけを狙う。


「《死者の鎖・一点縛》!」


鎖が渦をすり抜ける。


そして中心へ。


ギュッ!


一瞬、融合の動きが止まった。


「今だ!」


カイとセイルが同時に走る。


「《裂空斬》!」


「《境界断》!」


二つの斬撃が交差する。


しかし――


ガキィン!


黒い腕が二人の前に割り込んだ。


「くっ!」


カイが後退する。


セイルも距離を取る。


異形の身体から、さらに二本の腕が生える。


「腕が増えた……!」


ミナが驚く。


ローディンが前へ出る。


「数が増えただけだ!」


斬撃を繰り出す。


一撃。


二撃。


三撃。


異形が腕で受け止める。


ローディンの剣が押し返される。


「ぐっ……!」


異形の腕が振り下ろされる。


ミナが炎を放つ。


「《炎壁》!」


炎の壁が二人の前に立つ。


腕が炎を突き破る。


「まだ!」


ミナが杖を振る。


「《炎槍・連射》!」


炎槍が異形の腕へ突き刺さる。


一発。


二発。


三発。


腕が止まる。


「ローディン!」


「任せろ!」


ローディンが踏み込む。


「《聖断》!」


光の斬撃が腕を切り裂いた。


黒い霧が噴き出す。


その隙にカイとセイルが再び中心へ向かう。


「今度こそ!」


カイが跳ぶ。


「《裂空斬》!」


セイルも続く。


「《境界杭》!」


二つの攻撃が中心へ迫る。


しかし――


異形の胸から巨大な口のような裂け目が開いた。


「なっ……!」


その裂け目が二人を飲み込もうとする。


セイルが空中で身体を捻る。


「カイ!」


「分かってる!」


カイがセイルの身体を蹴り飛ばす。


セイルが後方へ飛ぶ。


その直後、カイの身体が黒い裂け目へ引き寄せられた。


「カイ!」


レオが叫ぶ。


カイが必死に剣を地面へ突き刺す。


「くっ……!」


身体が少しずつ引きずられていく。


「レオ!」


「今行く!」


レオが鎖を伸ばす。


だが、ガイアが叫ぶ。


『待って!』


「何だ!」


『あれに直接鎖を入れたら、カイまで一緒に吸われる!』


レオが止まる。


カイが叫ぶ。


「レオ! 俺は大丈夫だ!」


「でも!」


「考えろ!」


カイが剣を握る。


「お前はいつも、死者の力だけで戦ってるわけじゃないだろ!」


レオの目が見開かれる。


「……!」


カイは笑った。


「俺たちを頼れ!」


レオは拳を握る。


「……分かった!」


レオは鎖をカイへ直接伸ばさなかった。


代わりに地面へ打ち込む。


「《死者の鎖・地縛》!」


鎖が床を這う。


カイの足元を通り、地面そのものを固定する。


「これなら!」


カイが剣を引き抜く。


「助かった!」


セイルが叫ぶ。


「カイ、中心はまだ狙える!」


「当然!」


二人が再び構える。


その時だった。


異形の身体が大きく震える。


ドクン。


ドクン。


黒い渦が膨張する。


ヴァルドが叫ぶ。


「まずい!」


アシュレイが顔を上げる。


「融合が最終段階に入った!」


黒い霧が一気に吹き飛ぶ。


レオたちは腕で顔を覆った。


そして――


霧の中から、一つの巨大な影が姿を現した。


三体だった異形。


その姿は完全には一つになっていない。


三つの頭。


六本の腕。


異なる形の脚。


そして胸の中心には、三つの黒い核が重なっている。


ガイアが呟く。


『……完全な融合じゃない』


レオが息を呑む。


「三つの核が……まだ別々に存在してる」


セイルが剣を構える。


「つまり、まだ切り離せる」


カイが笑う。


「なら、やることは決まったな」


ミナも杖を構える。


「三つの核を同時に攻撃する」


ローディンが頷く。


「全員で合わせるぞ」


守護者が前へ出る。


レオは鎖を握り締めた。


「俺たち全員の力で……」


巨大な異形が咆哮する。


地下空間全体が震える。


レオが叫んだ。


「三つを、もう一度引き離す!」


巨大な腕が振り下ろされる。


全員が散開した。


本当の死闘が始まった。


――第78話・完――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。