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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第4章「聖王教会編」
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第77話「三体との死闘」

黒い霧が、ゆっくりと薄れていく。


裂け目との繋がりを失った三体の異形。


それでも、三体とも消えることなく立っていた。


レオは荒い息を吐きながら、鎖を握り直す。


「……まだ戦えるのか」


ヴァルドが頷く。


「奴ら自身が持つ力だけで動いている」


アシュレイが異形を睨む。


「ならば、今までよりは弱い」


「弱くなったからって、油断はできない」


カイが剣を構える。


「さっきまでよりは、ずっと戦いやすいはずだ」


セイルも剣を構えた。


「それでも触れれば力を奪われる」


ミナが杖を握る。


「じゃあ、距離を保ちながら戦う」


ローディンが頷いた。


「それがいい」


三体の異形が同時に動いた。


「来る!」


レオの声と同時に、戦闘が再開した。


中央の異形がレオと守護者へ迫る。


レオが鎖を伸ばす。


《死者の鎖》


異形の腕を狙う。


しかし、異形は身体を捻ってかわした。


「速い!」


そのままレオへ接近する。


守護者が割り込む。


ガンッ!


拳と腕がぶつかる。


二人が同時に後退する。


レオは鎖を地面へ打ち込んだ。


「《死者の鎖・拘束》!」


鎖が床を這い、異形の足へ絡みつく。


ギシッ!


異形の動きが止まった。


「今だ!」


守護者が突進する。


白い光をまとった一撃が、異形の胸へ叩き込まれた。


ドンッ!


異形が吹き飛ぶ。


だが、空中で身体を捻り、着地した。


「やっぱり硬い……!」


レオが息を整える。


「なら、もっと強く!」


死者の気配が集まる。


鎖の数が増える。


三本。


五本。


十本。


一斉に異形へ向かう。


異形が腕を振る。


何本かの鎖が弾き飛ばされる。


それでも残った鎖が身体へ絡みつく。


「捕まえた!」


レオが力を込める。


異形が鎖を掴む。


黒い霧が鎖へ流れ込む。


「……!」


レオは即座に鎖を切り離した。


「危なかった……」


だが、その一瞬の隙に異形が接近する。


腕がレオの顔へ迫る。


ガキィン!


守護者が受け止める。


「助かった!」


守護者が押し返す。


レオはその背後から鎖を伸ばす。


今度は異形の腕ではなく、胴体を狙う。


「《死者の鎖・縛陣》!」


鎖が何重にも巻き付く。


異形の動きが止まった。


守護者が拳を握る。


白い光が集中する。


「今だ!」


ドンッ!


強烈な一撃。


異形の胸が大きくへこんだ。


黒い霧が噴き出す。


「効いた!」


しかし――


異形は倒れない。


身体を震わせながら、ゆっくり立ち上がる。


「……まだか」


その頃、右側ではカイとセイルが激しい攻防を繰り広げていた。


「セイル、右!」


「分かっている!」


異形の腕が振られる。


二人が同時にかわす。


カイが踏み込む。


「《裂空斬》!」


ザンッ!


肩を斬り裂く。


セイルが反対側から斬り込む。


「《境界断》!」


二人の攻撃が同時に入る。


異形がよろめく。


「今だ!」


カイが追撃する。


しかし異形が突然身体を低くした。


「なっ!」


長い腕がカイの足を狙う。


セイルが剣で弾く。


ガキィン!


「無茶をするな!」


「悪い!」


カイが距離を取る。


セイルが異形を観察する。


「こいつ、学習している」


「学習?」


「同じ攻撃を繰り返すたび、こちらの動きを読んでいる」


カイが苦笑する。


「厄介な奴だな」


「なら、同じ攻撃をしなければいい」


「それ、簡単に言うけど……」


カイが剣を構え直す。


「やってみるか!」


カイが走る。


異形も迎え撃つ。


カイは斬らない。


一歩踏み込み、すぐに後退。


異形が腕を振る。


そこへセイルが斬り込む。


「《境界断》!」


異形が腕で防ぐ。


カイがその腕を蹴り上げる。


「今!」


セイルが身体を回転させる。


「《環断》!」


斬撃が異形の脇腹を捉えた。


黒い霧が噴き出す。


「効いた!」


異形が後退する。


カイが笑う。


「やっぱり連携だな!」


左側ではミナとローディンが異形を追い詰めていた。


「ローディン、動きを止めて!」


「任せろ!」


ローディンが正面から斬り込む。


異形が腕を振る。


剣で受け流す。


「今!」


ミナが杖を振る。


「《炎槍・連撃》!」


複数の炎槍が異形へ飛ぶ。


一発目。


二発目。


三発目。


異形がかわす。


だが、四発目が足元を捉えた。


「そこ!」


ローディンが踏み込む。


「《聖断》!」


斬撃が胸を切り裂く。


異形が大きく後退した。


ミナが息を吐く。


「あと少し……!」


だが、異形の身体から黒い霧が一気に噴き出した。


「えっ?」


霧の中から腕が伸びる。


ローディンがミナを突き飛ばした。


「伏せろ!」


ガキィン!


腕がローディンの剣を弾き飛ばす。


「ローディン!」


異形の手が迫る。


ミナが杖を握る。


「させない!」


「ミナ、撃つな!」


ローディンが叫ぶ。


「魔力を吸われる!」


「分かってる!」


ミナは杖を異形ではなく床へ向けた。


「《炎壁》!」


異形の足元から炎の壁が立ち上がる。


視界を奪われた異形が一瞬止まる。


ローディンが剣を拾う。


「今だ!」


二人が同時に動く。


「《聖断》!」


「《炎槍》!」


光と炎が重なる。


ドォン!


異形が吹き飛ぶ。


「やった!」


しかし、三体の異形はまだ倒れていなかった。


三体とも、身体中に亀裂を走らせながら立ち上がる。


レオが三体を見渡す。


「……強いな」


カイが笑う。


「お前がそれ言うか?」


「俺たちだけじゃない」


レオは仲間を見る。


「みんなで戦ってるから、ここまで来られてる」


ガイアが笑う。


『うん。それでいいんじゃない?』


レオは頷いた。


「もう一度いくぞ!」


全員が構える。


その瞬間。


三体の異形が、突然動きを止めた。


「……?」


黒い霧が三体の身体から漏れ出す。


そして三体が互いに近づいていく。


「まさか……」


ヴァルドが青ざめる。


「まだ何かするつもりか」


三体の身体が触れ合う。


黒い霧が一つになる。


「まずい!」


セイルが叫ぶ。


「離れさせろ!」


レオが鎖を放つ。


《死者の鎖》


三体を引き離そうとする。


しかし――


ガキン!


鎖が弾き飛ばされた。


三体の周囲に黒い渦が生まれる。


「何だ……これ」


レオが後退する。


渦の中心で、三体の力が一つに集まっていく。


そして裂け目の奥にある巨大な黒い目が、ゆっくり閉じた。


まるで、次に現れるものを待っているように。


ヴァルドが呟く。


「……三体を倒すだけでは終わらない」


アシュレイが構える。


「奴らは最初から……」


三体の姿が黒い霧に包まれていく。


「一つになることを前提に動いていた」


レオは鎖を握り締める。


「だったら……」


黒い渦を睨む。


「一つになる前に止める!」


レオたちは再び戦闘態勢に入った。


しかし、黒い渦の中心から巨大な腕が伸びてくる。


――第77話・完――

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