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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第4章「聖王教会編」
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第61話「聖王教会本部襲撃」

 聖王教会本部。


 地上へ戻ったレオたちの目に飛び込んできたのは、黒煙に包まれた中庭だった。


 教会騎士たちが走り回っている。


「敵は正門だけじゃない!」


「東側にも現れたぞ!」


「負傷者を治療室へ!」


 怒号が飛び交う。


 ローディンが剣を抜いた。


「エレナ様、ここからは俺たちが前に出ます!」


「お願いします」


 レオも前へ進む。


「俺も戦う」


 ローディンが一瞬、レオを見る。


「……頼む」


 以前とは違い、その目に迷いはなかった。


 その直後。


 正門が吹き飛んだ。


 ドォン!!


「来るぞ!」


 黒いローブをまとった者たちが一斉に侵入してくる。


 胸元には、黒い紋章。


「迎え撃て!」


 教会騎士たちが突撃する。


 剣と魔法がぶつかり合い、中庭が戦場へ変わった。


 レオは周囲を見回す。


「数が多い……」


『でも、妙だな』


 ガイアが呟く。


『あいつら、ここを制圧する気がない』


「……俺もそう思う」


 黒い紋章の者たちは、騎士たちと戦いながらも、建物の奥へ向かおうとしている。


「目的は別にある」


 レオは走り出した。


「ミナ、カイ!」


「分かってる!」


 三人が別々の敵を引き受ける。


 カイが一人の男へ斬りかかる。


「ここから先は通さねえ!」


 男が魔力を放つ。


 カイは横へ飛び、そのまま距離を詰める。


「くらえ!」


 剣が男の杖を弾き飛ばした。


「カイ、右!」


 ミナの声。


 別の敵が背後から迫っていた。


「危ねえ!」


 カイが振り返る。


 ミナの魔法が敵の足元を凍らせた。


「助かった!」


「前だけ見てないで!」


「分かった!」


 一方、レオの前には三人の敵が立ちはだかる。


「ネクロマンサー……」


「ここを通すわけにはいかない」


 レオが手を広げる。


「《死者の鎖》!」


 地面から鎖が伸び、三人の身体を拘束する。


「ぐっ!」


「今だ!」


 ローディンが駆け抜け、三人を一気に倒した。


「助かった」


「礼は後だ!」


 ローディンが叫ぶ。


「敵が奥へ向かっている!」


 レオは教会本部の奥を見る。


「地下聖域か?」


「いや」


 エレナが首を横に振った。


「地下ではありません」


「じゃあ、どこへ?」


「礼拝堂の奥にある、古い記録保管庫です」


 レオの表情が変わる。


「三百年前の記録……」


「おそらく、狙いはそれです」


 レオたちは急いで走る。


 廊下へ入った瞬間――


 ドンッ!


 奥の扉が破壊された。


「遅かった……!」


 黒いローブの男が記録保管庫へ入っていく。


 レオたちも続く。


 大量の古文書が並ぶ部屋。


 その中央で、男が一冊の本を手にしていた。


「それを返せ!」


 ローディンが剣を向ける。


「これだけあれば十分だ」


 男が本を開く。


 しかし――


「……?」


 男の表情が変わった。


「違う」


「何が?」


「記録が抜き取られている」


 エレナが息を呑む。


「そんな……」


 男がレオを見る。


「お前たちは、すでに読んだのか?」


 レオは答えない。


 男が本を閉じる。


「ならば、ここに用はない」


 黒い魔力が広がる。


「待て!」


 ローディンが斬りかかる。


 しかし男は煙のように姿を消した。


 残されたのは、床に落ちた一枚の紙。


 エレナが拾い上げる。


「……これは」


 レオが覗き込む。


 そこには短い文章が書かれていた。


『死界への門を閉じる鍵は、教会には存在しない』


 レオの目が険しくなる。


「じゃあ、どこにある?」


 紙の裏側に、もう一文があった。


『鍵は、死者を率いる者の中に宿る』


「……俺?」


 誰も答えられなかった。


 その瞬間。


 教会全体に鐘の音が鳴り響く。


 エレナが顔を上げる。


「……また地下です」


 レオはすぐに走り出した。


「黒い扉か!」


 地下聖域へ続く階段。


 その先から――


 黒い魔力が噴き上がっていた。


『レオ!』


 ガイアが叫ぶ。


『急げ!』


 レオは階段を駆け下りる。


 そして地下聖域へ辿り着いた瞬間――


 黒い扉の前に、一人の男が立っていた。


 胸元には黒い紋章。


 その手には――


 三百年前の記録から持ち出された、古びた黒い石の欠片。


「……これで準備は整った」


 男が笑う。


「死界への門を、再び開く」


 レオは拳を握った。


「絶対にさせない」


 黒い扉が、大きく震え始めた。


――第61話・完――

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