第6話「襲撃」
「……ネクロマンサーの力が目覚めたのは、お前か」
玄関に立つ黒い外套の男を見て、レオは動けなくなった。
「誰だ、お前……」
男は答えない。
ただ、レオの右手に浮かぶ黒い紋章を見つめている。
「母さん。この人、知ってるの?」
「知らないわ」
母親はレオを庇うように前へ出た。
「レオ、下がって」
「でも……」
「早く!」
男が一歩踏み込む。
「聖王教会は、禁忌の力を持つ者を見逃さない」
「教会……?」
レオが呟く。
男の手に、白い光が集まり始めた。
「お前にはまだ何も分からないだろう。ならば、ここで終わらせる」
「レオ、逃げて!」
「母さんを置いていけるわけないだろ!」
男が手を向ける。
次の瞬間、光の刃が飛んできた。
「危ない!」
母親がレオを突き飛ばす。
光の刃が壁を切り裂いた。
「母さん!」
「大丈夫よ!」
「でも……!」
「レオ、右手を!」
「え?」
「その力を使って!」
レオは自分の右手を見る。
黒い紋章が強く輝いていた。
「俺に……何ができるんだよ!」
その瞬間、外から低い声が響いた。
『呼んだか、レオ』
「……ガイア?」
黒い霧が部屋へ流れ込む。
その中から、あのスケルトン――ガイアが姿を現した。
男が初めて表情を変える。
「死者……!」
ガイアがレオの前に立つ。
「ガイア、あいつを止められるか?」
『命令ならば』
「……頼む!」
ガイアが男へ向かって走り出す。
男も光の刃を放つ。
ガキンッ!
骨の腕で受け止める。
「こいつ……!」
ガイアが男へ迫る。
男は距離を取りながら、次々と光の魔法を放つ。
レオはその戦いを見つめていた。
「ガイア……!」
初めてだった。
自分の力で、誰かが戦っている。
怖い。
それでも――
「俺も……何かしないと」
右手の紋章が再び輝く。
すると、ガイアの動きが一気に速くなった。
「……力が流れてる?」
ガイアが男の攻撃をかわし、腕を振り抜く。
男は吹き飛び、壁に叩きつけられた。
「くっ……!」
男は立ち上がる。
そしてレオを睨んだ。
「覚えておけ、ネクロマンサー」
「……」
「お前を狙う者は、私だけではない」
男はそう言い残し、光に包まれて姿を消した。
静寂が戻る。
レオは呆然と立ち尽くしていた。
「……行った?」
『ああ』
ガイアがレオを見る。
『だが、また来るだろう』
母親も静かに頷いた。
「ええ……もう、この村にはいられない」
「母さん……?」
母親はレオを見つめる。
「あなたの力が知られてしまった以上、ここにいるのは危険よ」
レオは拳を握った。
「……俺、どうすればいいんだ?」
母親は答えなかった。
ただ、昨日渡した鍵をレオの手に握らせた。
「明日、森の奥へ行きなさい」
「父さんの残したものを探すために?」
「そうよ」
「分かった」
レオは鍵を見つめる。
自分の知らない過去。
ネクロマンサーの力。
そして、行方不明になった父。
すべてを知るために――
レオは動き始める。
――第6話・完――




