↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第4章「聖王教会編」
PR
53/177

第53話「黒い紋章の襲撃」

 聖王教会本部。


 警報の鐘が鳴り響き、建物全体が騒然としていた。


「結界が破られた……?」


 レオはエレナを見つめる。


「はい。しかも、ただの侵入ではありません」


 エレナが杖を握り直した。


「黒い紋章を持つ者たちが、本部内部へ侵入しています」


「目的は……黒い石か?」


「おそらく」


 ローディンが剣を抜く。


「エレナ様。ここは危険です。地下区域への封鎖を――」


「待って」


 レオが口を挟んだ。


「地下?」


「……」


 エレナの表情が固まる。


「地下に何がある?」


「今は答えられません」


「またそれかよ」


 カイが苛立ったように吐き捨てる。


「俺たちをここまで呼んでおいて、何も教えないつもりか?」


「そういうわけではありません」


 エレナが答えようとした瞬間。


 ドンッ!!


 遠くで大きな爆発音が響いた。


 壁が揺れる。


「っ!」


 ミナが身をすくめる。


「近い……!」


 ローディンが扉へ走る。


「ここにいてください!」


「嫌だ」


 レオも立ち上がった。


「俺たちを狙っているなら、逃げても意味がない」


「レオ!」


 ガイアの声が頭の中に響く。


『気をつけろ。あの気配……前に会った連中より強いぞ』


「分かってる」


 レオは拳を握った。


 その瞬間。


 廊下の奥から、黒い影が現れた。


 黒いローブ。


 そして胸元に刻まれた、黒い紋章。


「来たか……」


 ローディンが剣を構える。


 黒い紋章の男は、ゆっくりと顔を上げた。


「ネクロマンサー、レオ」


「……俺を知ってるのか」


「当然だ」


 男の視線がレオへ向く。


「我々が求めているのは、お前自身ではない」


「じゃあ何だ?」


「お前の中にある力だ」


 レオの表情が険しくなる。


「死者の力……」


「そうだ」


 男が手を掲げる。


 すると、廊下の床から黒い魔力が噴き出した。


「下がれ!」


 ローディンがレオたちの前に出る。


 剣を振り下ろす。


 しかし――


 ガキンッ!


「なに……!」


 剣が黒い魔力に弾かれた。


 男は微動だにしない。


「聖王教会の騎士程度では、止められない」


「舐めるな!」


 ローディンが再び踏み込む。


 その横をレオが走り抜けた。


「レオ!」


「俺がやる!」


 レオの足元に黒い魔力が集まる。


「《死者の鎖》!」


 地面から黒い鎖が伸び、男の腕へ絡みつく。


「……!」


 男の動きが止まった。


「これが……死者を率いる力か」


 男の口元がわずかに笑う。


「やはり間違いない」


「何がだ!」


「お前は、あの男と同じだ」


「……あの男?」


 レオの脳裏に、地下礼拝堂で見た映像が蘇る。


 古い時代のネクロマンサー。


 死者たちを従わせるのではなく、その力を借りていた男。


「三百年前のネクロマンサー……」


 男は答えなかった。


 代わりに、鎖を握り潰す。


 バキッ!


「!」


 《死者の鎖》が砕け散った。


 ガイアが叫ぶ。


『レオ! こいつ、普通じゃない!』


 黒い魔力が膨れ上がる。


 その瞬間――


「そこまでだ」


 別の声が響いた。


 廊下の奥。


 一人の男が立っていた。


「……ゼルク」


 レオの目が細くなる。


 ゼルクは黒い紋章の男を見つめた。


「撤退しろ」


「ゼルク……なぜここに?」


「目的を変える必要はない。ここで戦えば、余計な連中まで動く」


「しかし――」


「命令だ」


 短い言葉だった。


 黒い紋章の男はしばらくゼルクを睨み、やがて魔力を消した。


「……分かった」


 男たちは一斉に後退する。


「待て!」


 ローディンが追おうとする。


 だが、ゼルクが振り返った。


「追うな」


「貴様に命令される筋合いはない!」


「なら死ぬだけだ」


 ローディンが足を止める。


 ゼルクの視線がレオへ移る。


「レオ」


「何だ」


「ここにいる限り、お前は真実に近づけない」


「どういう意味だ?」


「教会が隠しているものを、自分の目で確かめろ」


「……地下か?」


 ゼルクは答えなかった。


 ただ、背を向ける。


「近いうちに、教会そのものが動く」


「ゼルク!」


 レオが呼び止める。


「お前は何を知ってる?」


 ゼルクは一瞬だけ立ち止まった。


「……全部ではない」


 それだけ残して、闇の中へ消えていった。


 静寂が戻る。


 ローディンは剣を下ろさない。


「エレナ様」


「はい」


「説明してください」


 エレナはしばらく黙っていた。


 やがて、レオを見る。


「……分かりました」


「何を?」


「あなたたちに、地下聖堂よりさらに下にある場所を見せます」


 レオの目が見開かれる。


「さらに下……?」


「そこには、教会が長い間封印してきたものがあります」


 ガイアの声が低くなる。


『レオ……嫌な予感がする』


 レオは静かに頷いた。


「行こう」


 聖王教会本部の地下。


 そこには、まだ誰も知らない秘密が眠っていた。


――第53話・完――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。