第51話「教会からの通告」
北の街。
朝の光が街を照らしていた。
レオたちは宿の前に集まっていた。
「そろそろ出発するか」
カイが荷物を背負う。
「ああ。ここに長く留まる理由もない」
ミナも準備を終える。
「次はどこへ向かいますか?」
レオが答えようとした、その時。
「レオさん!」
街の向こうから、一人の教会関係者が走ってきた。
「どうした?」
男は息を整えながら、一通の封書を差し出す。
「聖王教会からの正式な通告です」
レオは封書を見る。
教会の紋章が刻まれている。
「俺に?」
「はい」
レオが封を開ける。
そこには簡潔な文章が書かれていた。
『ネクロマンサー・レオ。
地下礼拝堂で発生した事件について、聖王教会本部にて事情を確認する。
指定された場所へ来られたい。』
カイが覗き込む。
「……教会本部に来いってことか」
「そうみたいだ」
ミナが不安そうに尋ねる。
「行くんですか?」
レオはしばらく考えた。
「行く」
「本気か?」
カイが驚く。
「逃げたら、余計に疑われる」
ガイアが静かに口を開く。
『罠の可能性もある』
「分かってる」
レオは封書を握る。
「でも、俺も教会について知りたい」
その時、教会関係者が口を開いた。
「一つだけ、伝言があります」
「何?」
「あなたがネクロマンサーであることを、教会はすでに知っています」
レオは黙って聞く。
「しかし、今回の件で問題となっているのは、それだけではありません」
「……黒い紋章?」
男は頷いた。
「はい」
「教会は、あの勢力をかなり警戒しているんだな」
「長い間、追跡している勢力です」
カイが尋ねる。
「じゃあ、レオを捕まえるためだけに呼んでるわけじゃない?」
「少なくとも、今回の通告の目的は事情の確認です」
レオは封書を見る。
「分かった」
男が去っていく。
カイがレオを見る。
「本当に行くのか?」
「ああ」
「俺たちも一緒に行くぞ」
ミナも頷く。
「私も行きます」
ガイアが笑う。
『当然だ』
レオは仲間を見る。
「ありがとう」
その夜。
宿の部屋。
レオは一人、窓の外を見ていた。
すると――
窓の外に小さな黒い影が現れた。
「……?」
影は紙を一枚落とす。
レオが拾う。
そこには黒い紋章が描かれていた。
そして、その下に一言。
『教会を信用するな』
レオの表情が変わる。
「……ゼルク?」
返事はない。
街の闇へ目を向ける。
誰もいない。
レオは紙を握りしめた。
「教会と黒い紋章……」
二つの勢力。
そして、その間にいる自分。
翌朝。
レオたちは北の街を出発した。
目指すのは――
聖王教会の本部。
――第51話・完――




