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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第3章「死者を率いる者」
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第50話「死者を率いる者」

地下礼拝堂。


レオの背後には、黒い影となった死者たちが並んでいた。


聖騎士たちは、その光景を前に動けずにいる。


「……これが、ネクロマンサーの力」


ミナが呟く。


レオはゆっくりと死者たちを見渡した。


「俺の命令に従え、とは言わない」


一体の死者がレオを見る。


「お前たちが望むなら……力を貸してくれ」


死者たちが静かに頷いた。


その瞬間――


黒い魔力が地下礼拝堂を包み込んだ。


「来るぞ!」


聖騎士が叫ぶ。


死者たちが一斉に動き出す。


「迎え撃て!」


聖騎士たちも突撃する。


剣と死者の影がぶつかり合う。


ガキンッ!


「くっ……!」


カイが聖騎士の剣を受け止める。


「こいつら、強い!」


「カイ!」


「大丈夫だ!」


カイが剣を弾き返す。


その横では、ミナが魔法を放っていた。


「《風刃》!」


風の刃が聖騎士たちの足元を切り裂く。


「今です!」


ガイアが飛び出す。


『任せろ!』


拳が聖騎士の盾を打ち砕く。


その背後では、守護者が大剣を振るっていた。


しかし――


「そこまでだ!」


一人の聖騎士が叫ぶ。


周囲の騎士たちが一斉に距離を取った。


「何をする気だ?」


レオが構える。


聖騎士たちが剣を地面へ突き立てる。


「《聖域結界》!」


白い光が地下礼拝堂を包み込んだ。


死者たちの動きが止まる。


「……!」


レオの顔が険しくなる。


「みんな!」


死者たちが苦しそうに膝をつく。


「やめろ!」


レオが魔力を放つ。


だが、聖なる結界に阻まれる。


『レオ!』


ガイアが叫ぶ。


「分かってる!」


レオは黒い石を見る。


そこで気づいた。


死者たちは結界に苦しんでいるのではない。


黒い石そのものを守ろうとしている。


「……そういうことか」


レオは石へ手を伸ばす。


「お前たちが守ってるなら――」


黒い魔力がレオの腕へ集まる。


「俺も守る!」


ドンッ!


黒い魔力が爆発した。


白い結界に亀裂が入る。


「なっ……!」


聖騎士たちが驚く。


「《死者の鎖》!」


無数の黒い鎖が床から伸びる。


聖騎士たちの動きを封じる。


「今だ!」


死者たちが一斉に動く。


結界が完全に砕け散った。


「そんな……!」


聖騎士たちが後退する。


その時。


地下礼拝堂の入口から、別の気配が現れた。


「……遅かったか」


全員が振り返る。


黒いローブ。


胸元には黒い紋章。


黒い紋章を持つ勢力の男達が立っていた。


「お前たち……!」


レオが睨む。


男は黒い石を見る。


「その石を渡せ」


「嫌だ」


「ならば、ここで奪う」


男の周囲に黒い魔力が集まる。


だが――


「待て」


別の声が響いた。


男が振り返る。


暗闇からゼルクが現れた。


「ゼルク……」


レオが呟く。


ゼルクは黒い紋章の男を見る。


「今は戦う必要はない」


「なぜだ?」


「目的は果たした」


ゼルクがレオを見る。


「ネクロマンサーが、死者を率いることを確認できた」


レオの表情が変わる。


「……最初から、それが目的だったのか?」


ゼルクは答えない。


「いずれ分かる」


そう言い残すと、黒い紋章の者たちは撤退していく。


聖騎士たちも追おうとする。


だが、司祭が制止した。


「追うな!」


「しかし!」


「今は、この場所を守ることが先だ」


レオは黒い石を見る。


そして、背後にいる死者たちへ視線を向ける。


死者たちは、少しずつ消えていく。


「……ありがとう」


最後の一体が消える。


地下礼拝堂に静寂が戻った。


カイがレオの肩を叩く。


「終わったな」


「うん」


ミナが微笑む。


「レオさん、少し変わりましたね」


「そうかな?」


「はい」


ガイアが静かに笑う。


『お前はもう、ただ力を持つだけのネクロマンサーではない』


レオは黒い石を見つめる。


『死者の意思を受け入れ、その力を借りる者となった』


レオは頷いた。


「……もっと強くならないと」


死界。


黒い紋章。


そして聖王教会。


まだ何も終わっていない。


むしろ――


ここからが本当の始まりだった。


――第50話・完――

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