第49話「聖騎士との対峙」
地下礼拝堂。
レオたちと聖王教会の騎士たちは、互いに武器を構えたまま向かい合っていた。
「その石から離れろ!」
先頭の聖騎士が叫ぶ。
レオは黒い石から手を離さない。
「この石は何なんだ?」
「お前が知る必要はない」
「じゃあ、どうして俺が触れた瞬間に反応した?」
騎士が黙る。
カイが口を開く。
「答えられないってことは、何か隠してるんだろ?」
「黙れ!」
聖騎士たちが一斉に剣を構えた。
レオも魔力を集中させる。
「俺は、この石を持って帰る」
「それは許可できない!」
一人の聖騎士が突っ込んでくる。
カイが迎え撃つ。
ガキンッ!
「お前の相手は俺だ!」
二人の剣が激しくぶつかる。
「カイ!」
「レオは石を調べろ!」
別の聖騎士がミナへ向かう。
「《風壁》!」
ミナの魔法が攻撃を防ぐ。
「ありがとうございます!」
「礼は後だ!」
ガイアと守護者も騎士たちの前へ出る。
『レオ、急げ!』
「分かった!」
レオは黒い石へ手を伸ばす。
すると――
ドクン。
石が強く輝いた。
「……!」
頭の中に、また映像が流れ込んでくる。
暗い場所。
一人の若い男が立っている。
その男の身体には、黒い魔力が渦巻いていた。
「ネクロマンサー……」
レオが呟く。
その人物の周囲には、数え切れないほどの死者がいた。
だが、男は死者たちを支配しているのではない。
一人一人に語りかけていた。
『力を貸してくれ』
死者たちは男の言葉に応えるように立ち上がる。
レオは息を呑む。
「……これが、本当のネクロマンサー」
映像が切り替わる。
今度は聖王教会の騎士たちが映った。
彼らはネクロマンサーと戦っている。
しかし、その戦いの理由は――
ネクロマンサーが人々を襲ったからではなかった。
騎士たちの背後に、黒い紋章を持つ者たちがいる。
レオの目が見開かれる。
「……黒い紋章」
映像が消えた。
「レオ!」
カイの声で我に返る。
目の前では、カイが聖騎士と激しく戦っていた。
「大丈夫か?」
「うん!」
レオは黒い石を見つめる。
「この石は、過去を見せてくれた」
聖騎士が叫ぶ。
「その石を渡せ!」
レオは首を横に振る。
「嫌だ」
「ならば――」
聖騎士が剣を構える。
「力ずくで奪う!」
その瞬間。
地下礼拝堂の奥から、黒い魔力が吹き出した。
「……何だ!?」
全員が動きを止める。
黒い石が空中へ浮かび上がる。
そして――
石から無数の黒い影が現れた。
「死者……?」
ミナが震える。
レオには分かった。
この場所に残された死者たちの記憶。
「俺に……力を貸してくれるのか?」
影たちはレオの周囲に集まる。
聖騎士たちが後退する。
「ネクロマンサーが……!」
レオは死者たちを見つめる。
そして静かに告げた。
「俺は、お前たちを支配しない」
影たちがレオの後ろへ並ぶ。
「力を貸してくれるなら……一緒に戦ってほしい」
黒い影が一斉に動き出した。
聖騎士たちは驚いて身構える。
地下礼拝堂に、死者の軍勢が現れた。
――第49話・完――




