第48話「地下礼拝堂の秘密」
ゴゴゴゴ……。
鉄扉の向こうから、低い振動が伝わってくる。
レオたちは扉の前に立っていた。
「……本当に開けるのか?」
カイが剣を構える。
「うん」
レオは扉に手を置いた。
黒い魔力を流す。
ギギギ……。
鉄扉がゆっくりと開いた。
その先に広がっていたのは、巨大な地下礼拝堂だった。
「……こんな場所が」
ミナが息を呑む。
壁には無数の蝋燭。
中央には巨大な祭壇。
そして、その奥には――
大量の石棺が並んでいた。
カイが周囲を見る。
「教会が、こんな地下施設を持ってたのか?」
ガイアが低く呟く。
『何かがおかしい』
「何が?」
『ここには、生者のための礼拝堂とは異なる魔力が残っている』
レオは祭壇へ近づく。
祭壇には古い書物が置かれていた。
ミナがページを開く。
「……古い記録みたいです」
「何て書いてある?」
「『死者の力を封じ、世界の均衡を守る』……」
レオが眉をひそめる。
「死者の力を封じる?」
「はい。でも、まだ続きがあります」
ミナがページをめくる。
「『その力を利用しようとする者が現れた場合、聖王教会はこれを阻止する』」
カイが腕を組む。
「だったら、教会は黒い紋章の連中と敵対してるってことか」
レオは祭壇を見る。
「じゃあ、どうして二つの紋章が同じ扉に刻まれてたんだ?」
誰も答えられない。
その時――
カチッ。
祭壇の奥から音がした。
「……何?」
レオが近づく。
祭壇の裏に、隠し扉が開いていた。
「まだ奥がある」
カイが剣を構える。
「行くぞ」
五人は隠し扉の先へ進んだ。
そこには、小さな部屋があった。
中央に一つの黒い石が置かれている。
レオが近づいた瞬間――
石が輝いた。
ドクン。
頭の中に声が響く。
『死者を恐れる者よ』
レオが立ち止まる。
『お前たちは、何を守っている?』
「誰だ!」
返事はない。
代わりに、黒い石から映像が浮かび上がった。
そこに映っていたのは、昔の聖王教会だった。
そして――
教会の聖職者たちと、黒い紋章を持った者たちが向かい合っている。
「……昔の教会?」
ミナが呟く。
映像の中で、両者が何かを話している。
だが、音声は聞こえない。
やがて黒い紋章を持つ者たちが去っていく。
その直後――
一人の聖職者が祭壇へ黒い石を置いた。
レオの目が見開かれる。
「これ……」
カイも気づいた。
「黒い紋章の連中が置いていったのか?」
映像が消える。
部屋に静寂が戻る。
「教会と黒い紋章……」
レオは考え込む。
「昔は、完全に敵同士じゃなかったのかもしれない」
その時。
ドンッ!
地下礼拝堂全体が揺れた。
「またか!」
カイが振り返る。
遠くから、複数の足音が聞こえる。
一つではない。
「誰か来る!」
レオが魔力を集中させる。
階段の向こうから、聖王教会の騎士たちが現れた。
「そこから離れろ!」
先頭の騎士が叫ぶ。
「その石には触れるな!」
レオは黒い石を見る。
「これが何なのか知ってるのか?」
騎士は答えない。
ただ、剣を構えた。
「今すぐそこから離れろ!」
レオも構える。
「嫌だ」
カイが隣に立つ。
ミナも杖を握る。
ガイアと守護者が前へ出る。
地下礼拝堂に、緊張が走った。
――第48話・完――




