第45話「北の街へ」
地下墓地を後にしたレオたちは、北の街へ戻っていた。
「やっと戻ってきたな」
カイが街を見渡す。
「失踪した人たちも助けられたし、これで少しは落ち着くかな」
「そうだといいんだけど……」
レオは街の中央にある教会を見る。
「……あそこが気になる」
ミナも教会を見る。
「聖王教会ですね」
レオは頷く。
「俺たちが地下墓地にいる間も、何か動いていた気がする」
その時――
教会の前から、白い服を着た数人の男たちが歩いてきた。
胸元には聖王教会の紋章。
先頭の男がレオを見る。
「……見つけましたか」
レオたちの足が止まる。
男はゆっくり近づいてくる。
「久しぶりですね、レオ」
レオの表情が変わった。
「俺を知ってるのか?」
「当然です」
男は淡々と答える。
「あなたがネクロマンサーであることは、教会も把握しています」
カイが剣に手を添える。
「だったら何の用だ?」
「あなたを捕らえに来たわけではありません」
「じゃあ何だ?」
男はレオを見る。
「北の街で起きている失踪事件について、話を聞きたいのです」
レオは少し警戒を緩める。
「黒い紋章の連中について?」
「……やはり知っていますか」
男の目が鋭くなる。
「教会も、あの紋章を追っています」
レオは驚いた。
「聖王教会も?」
「ええ。あの者たちは、我々にとっても敵です」
ガイアが口を開く。
『ならば、なぜレオを警戒する?』
男はガイアを見る。
「ネクロマンサーの力は、教会にとって禁忌です」
「でも、俺はあいつらとは違う」
「それは理解しています」
男は少し間を置く。
「ですが、力そのものを恐れる者もいる」
レオは黙り込む。
男は続ける。
「今回の事件について、我々も調査を続けています」
「俺たちが地下墓地で見つけた人たちは、教会に任せてもいいのか?」
「もちろんです。保護します」
レオはカイたちを見る。
カイが頷く。
「任せてもいいんじゃないか?」
ミナも頷いた。
「助かった人たちのことを考えれば……」
レオは男を見る。
「分かった」
「ありがとうございます」
男が去ろうとする。
しかし、数歩進んだところで振り返った。
「レオ」
「何?」
「あなたの力を、教会は忘れてはいません」
レオは男を見つめる。
「……分かってる」
男はそのまま教会へ戻っていった。
カイが息を吐く。
「やっぱり、教会はお前を警戒してるな」
「ああ」
レオは空を見上げる。
「でも、今は黒い紋章の連中の方が気になる」
その瞬間。
遠くの建物の屋根。
一人の男がレオたちを見下ろしていた。
黒いローブ。
胸元には、黒い紋章。
「……聖王教会と接触したか」
男は静かに呟く。
「予定を少し早める必要があるな」
その姿は、すぐに街の闇へ消えていった。
レオたちは、それに気づかないまま宿へ向かって歩き始めた。
――第45話・完――




