第44話「死界への扉」
地下深く。
レオたちは、巨大な扉の前に立っていた。
「これが……死界への扉」
カイが扉を見上げる。
扉には、レオの魔力に反応する黒い紋様が刻まれていた。
「俺が触れた時だけ反応する」
レオが手を伸ばす。
ドクン――。
黒い紋様が輝いた。
「やっぱり……」
ミナが扉を見つめる。
「この扉は、レオさんの力を知っているみたいです」
ガイアが静かに口を開く。
『死界へ通じる扉ならば、慎重に扱うべきだ』
「分かってる」
レオは魔力を込める。
ゴゴゴゴゴ……。
扉がゆっくりと開いていく。
隙間から、冷たい風が吹き抜けた。
「……寒い」
カイが身構える。
扉の向こうには、果ての見えない暗闇が広がっていた。
その奥から、無数の気配が感じられる。
レオは一歩踏み出そうとする。
『待て』
ガイアが止めた。
「何かいる?」
『ああ。かなり強い』
レオも暗闇の奥を見る。
すると――
二つの赤い光が浮かび上がった。
「……目?」
次の瞬間。
ドクンッ!
強烈な魔力が扉の向こうから押し寄せる。
ミナが後退する。
「この魔力……!」
カイも剣を構える。
「敵なのか?」
レオは答えられなかった。
怖い。
だが、それ以上に――
その力を知りたいという気持ちが強かった。
「俺は……ここへ戻ってくる」
レオは扉を見つめる。
「もっと強くなってから」
すると、暗闇の奥から声が響いた。
『その時を待とう』
レオの身体が固まる。
「誰だ!」
返事はない。
赤い光だけが静かに消えていく。
そして扉も、ゆっくりと閉じ始めた。
「待って!」
レオが手を伸ばす。
だが、間に合わない。
ゴゴゴゴ……。
完全に扉が閉じた。
静寂が戻る。
カイが息を吐く。
「……今のは何だったんだ?」
「分からない」
レオは閉ざされた扉を見つめる。
「でも、あそこには何かがいる」
ガイアが頷く。
『そして、お前を待っている』
レオは拳を握った。
「だったら、必ず戻ってくる」
四人は地下墓地を後にする。
地上へ戻る途中、レオは一度だけ振り返った。
閉ざされた地下への入口。
その奥にある死界。
そして、自分を待つ何か。
まだ知らないことばかりだった。
だが――
レオは確かに感じていた。
自分の運命が、少しずつ動き始めていることを。
――第44話・完――




