第43話「選ばれし者」
地下道を進むレオたちは、やがて一つの部屋へ辿り着いた。
「ここは……」
壁一面に、古い文字が刻まれている。
ミナが文字を読み取る。
「ネクロマンサーについて書かれています」
レオが近づく。
「何て?」
「……『死者を率いる者は、死者の声を聞く』」
カイが首を傾げる。
「それ、さっきの研究記録と同じじゃないか?」
「待ってください」
ミナが続きを読む。
「その下に、別の文章があります」
そこには――
『死界への扉を開く者は、選ばれしネクロマンサーのみ』
と刻まれていた。
「死界……」
レオが呟く。
「俺が探している場所なのか?」
ガイアが壁を見る。
『死界が何なのか、まだ分からない』
「でも、この先に何かある」
レオは部屋の中央にある石碑へ近づいた。
石碑には、手の形をした窪みがある。
「これ……」
「触れてみる?」
ミナが尋ねる。
レオは少し迷った。
「……やってみる」
手を置いた瞬間――
ドクン。
石碑が黒く光った。
「!」
部屋全体に魔力が広がる。
そして、壁に一つの光景が浮かび上がった。
広大な荒野。
無数の死者。
その中心に、一人の人物が立っている。
「これ……誰?」
カイが息を呑む。
人物の姿は見えない。
ただ、その人物の周囲には大量の死者が従っていた。
レオは映像を見つめる。
「俺……なのか?」
すると、映像の中の人物が振り返った。
顔は見えない。
だが――
その手から、レオと同じ黒い魔力が放たれた。
映像が消える。
「……」
しばらく誰も言葉を発しなかった。
ガイアが口を開く。
『お前と同じ力を持つ者が、過去にも存在したのかもしれない』
「じゃあ、俺だけじゃない」
レオは石碑を見る。
「ネクロマンサーは、昔からいたんだ」
ミナが石碑の下を指差す。
「まだ文字があります」
レオが読む。
『選ばれし者よ。死者を支配するな。彼らの声を聞け。』
レオはゆっくり拳を握る。
「……分かった」
その時。
石碑の奥から、低い音が響いた。
ゴゴゴゴ……。
「何だ!?」
床が震える。
石碑の後ろの壁がゆっくり開いていく。
その先には、地下へ続く階段が現れた。
「まだ下があるのか……」
カイが苦笑する。
「どこまで続いてるんだよ」
レオは階段の先を見つめる。
微かな黒い光が見える。
「行こう」
「大丈夫?」
ミナが尋ねる。
レオは頷いた。
「ここまで来たんだ。最後まで確かめたい」
四人は階段を下りていく。
その頃――
遠く離れた場所。
ゼルクは一枚の紙を見つめていた。
「石碑が反応したか」
黒い紋章が刻まれた紙を握りつぶす。
「やはり、あいつは選ばれた者だ」
ゼルクは静かに笑った。
――第43話・完――




