第42話「地下深くの研究室」
レオたちは、地下へ続く階段をゆっくり下りていった。
「……長いな、この階段」
カイが呟く。
「かなり深いですね」
ミナも周囲を警戒している。
ガイアが足を止めた。
『この先から、強い魔力を感じる』
「研究室か……」
レオは前を見つめる。
しばらく進むと、巨大な鉄の扉が現れた。
扉には、黒い紋章が刻まれている。
「開けられる?」
カイが尋ねる。
レオは扉に手を触れた。
「……開く」
黒い魔力が扉へ流れ込む。
ギギギ……。
重い音を立てて扉が開いた。
その先には、広い部屋が広がっていた。
棚には大量の古い本。
机の上には瓶や魔道具。
そして部屋の中央には、大きな魔法陣が描かれている。
「ここで……何をしていたんだ?」
カイが辺りを見る。
ミナが一冊の本を手に取った。
「死者の魔力について書かれています」
レオが近づく。
「見せて」
本には、死者の魔力を利用する方法や、死体を動かすための研究記録が残されていた。
「……こんな研究が」
レオの表情が険しくなる。
「死者を兵士として使うつもりだったのか」
ガイアが机の上を見る。
『こちらにも記録がある』
そこには一枚の古い紙が置かれていた。
レオが手に取る。
そこには――
『ネクロマンサーは、死者を支配する存在ではない。死者の声を聞き、その力を借りる者である』
と書かれていた。
「……」
レオは黙り込む。
「俺が今まで考えていた力とは、違う」
ミナが頷く。
「支配するんじゃなくて……力を借りる?」
「そうなのかもしれない」
その時。
部屋の奥から、カタンという音がした。
「誰かいる!」
カイが剣を抜く。
全員が奥へ向かう。
そこには、古い装置が一つだけ残されていた。
装置の中には――
黒い魔石が入っている。
「これ……」
レオが近づいた瞬間、魔石が強く輝いた。
頭の中に声が響く。
『……ようやく来たか』
「誰だ!」
レオが周囲を見回す。
『お前が何者なのかを知りたければ、さらに北へ進め』
「待って!」
声は消えた。
魔石も光を失う。
カイがレオを見る。
「今の声、聞こえたか?」
「うん」
ミナも頷く。
「私にも聞こえました」
ガイアが魔石を見つめる。
『誰かが、この場所に意図的にメッセージを残していたようだ』
レオは北を思い浮かべる。
「北へ行けば、ネクロマンサーについてもっと分かる」
その時、研究室の奥から突然――
ドンッ!
大きな音が響いた。
「また何か来る!」
カイが構える。
レオも魔力を集中させた。
しかし、現れたのは魔物ではなかった。
古びた扉だった。
その扉が、ひとりでに開いていく。
その向こうには、さらに地下へ続く道がある。
レオは息を呑む。
「……まだ先がある」
そして、扉の横には小さく文字が刻まれていた。
『選ばれし者のみ進め』
レオはその文字を見つめる。
「俺が……選ばれたってことなのか?」
答える者はいなかった。
ただ、暗い地下道だけが、その先へ続いていた。
――第42話・完――




