第40話「旧地下墓地」
翌朝。
レオたちは、街の東側にある古い建物の前に立っていた。
「ここが、旧地下墓地への入口か」
カイが扉を見る。
扉には、古びた黒い紋章が刻まれていた。
「昨日の魔法陣と同じ……」
ミナが不安そうに呟く。
レオは扉に手を当てる。
「中から、死者の気配がする」
ガイアが頷く。
『間違いない。何かがいる』
守護者が大剣を構える。
「行こう」
扉を開ける。
中には地下へ続く長い階段があった。
一段、また一段と下りていく。
やがて、広い地下空間に出た。
「……ここは?」
壁には大量の古い棺が並んでいる。
その中央には、大きな黒い魔法陣。
ミナが息を呑む。
「これ……人を転移させる魔法陣です」
「じゃあ、失踪した人たちは――」
「ここを通った可能性があります」
レオは魔法陣へ近づく。
その瞬間。
カタッ。
奥の棺が動いた。
「全員、構えて!」
棺の蓋が次々と開いていく。
中から現れたのは、骨だけになった死者たちだった。
「スケルトン……!」
カイが剣を抜く。
「数が多い!」
スケルトンたちが一斉に襲いかかる。
「《死縛》!」
レオの黒い鎖が数体を拘束する。
カイが斬り込む。
「はあっ!」
ガイアも拳でスケルトンを吹き飛ばす。
『まだ来るぞ!』
ミナが魔法を放つ。
「《風刃》!」
風がスケルトンの群れを切り裂く。
守護者の大剣が最後の数体を叩き伏せた。
静寂が戻る。
「……終わった?」
カイが辺りを見る。
だが、レオは動かなかった。
「違う」
「え?」
「このスケルトンたち……」
レオが一体の頭蓋骨を見る。
「誰かに操られていたんじゃない」
ガイアが近づく。
『……お前の力と同じだ』
「俺の?」
『死者を動かす力だ』
レオは魔法陣を見る。
「誰かが、この場所で死者を蘇らせていた……」
その時。
地下の奥から、かすかな声が聞こえた。
「……助けて……」
「人の声!」
ミナが走り出す。
「待って!」
レオたちも後を追う。
奥の部屋。
そこには――
鎖につながれた数人の人間がいた。
「大丈夫ですか!」
ミナが駆け寄る。
一人の男が弱々しく顔を上げる。
「……誰だ……?」
「俺たちは助けに来た」
レオが鎖を壊す。
「ここで何をされていたんですか?」
男は震えながら答えた。
「俺たちは……街から連れてこられた」
「誰に?」
「黒い紋章を持った連中だ……」
レオの表情が変わる。
「目的は?」
男はゆっくり首を横に振る。
「分からない……ただ、何度も聞かれた」
「何を?」
男はレオを見る。
「死者を……どうやって蘇らせるのかって」
レオは言葉を失った。
自分と同じ力を、敵も求めている。
その時、地下墓地の奥から大きな音が響いた。
ドォン!
「何だ!?」
床が揺れる。
壁の向こうから、巨大な魔力が膨れ上がっていく。
ガイアが構える。
『まだ何かいる』
レオは黒い魔力を感じ取った。
「……来る」
暗闇の奥。
二つの赤い目が、ゆっくりと開いた。
――第40話・完――




