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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第3章「死者を率いる者」
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第35話「死者を率いる力」

北へ向かう街道を、レオたちは歩いていた。


「さっきの黒い石……」


レオが手の中を見る。


「まだ気になる?」


ミナが尋ねる。


「ああ。あの石に触れた時、誰かの声が聞こえたんだ」


カイが振り返る。


「『死者を率いる者』ってやつか?」


「うん」


ガイアが考え込む。


『お前のネクロマンサーとしての力と関係している可能性は高い』


「でも、俺にはまだ何ができるのか分からない」


レオが手を握る。


「死者を率いるって……どういうことなんだろう」


その時だった。


道の先から、複数の人影が現れた。


「止まれ」


男たちが道を塞ぐ。


全員が武器を持っている。


カイが剣に手をかけた。


「何者だ?」


「それはこちらの台詞だ」


中央にいる男がレオを見る。


「ネクロマンサーだな?」


レオの表情が変わる。


「……俺に何の用?」


「お前たちを探していた」


男が剣を抜く。


「黒い紋章の連中じゃないのか?」


カイが尋ねる。


「俺たちはあんな奴らとは関係ない」


男は冷たく答えた。


「だが、お前のような危険な魔法使いを放っておくわけにはいかない」


「危険って……」


「死者を操る力は、いずれ多くの人間を脅かす」


レオは拳を握る。


「俺は誰も傷つけてない!」


「それでもだ」


男たちが一斉に武器を構える。


カイが前に出る。


「だったら、俺たちを通してからにしろ」


「カイ……」


「仲間だからな」


ミナも杖を構える。


「私も戦います」


ガイアが拳を握る。


『私もいる』


守護者も大剣を構えた。


「……みんな」


レオは仲間を見る。


そして――


自分の背後にある森へ目を向けた。


そこには、先ほど倒した魔物の死体がいくつか残っている。


「……待って」


レオはゆっくり手を伸ばした。


「もしかして……」


黒い魔力が指先から溢れ出す。


「レオ?」


「分からない。でも……呼べる気がする」


地面に倒れていた魔物の身体が、微かに動いた。


「なっ……!」


男たちが後退する。


魔物がゆっくり立ち上がる。


レオ自身も驚いていた。


「俺が……?」


黒い魔力が魔物を包む。


レオが手を下ろす。


「……来い」


魔物がレオの前へ歩いてくる。


カイが目を見開く。


「死体を……動かした?」


ガイアも驚いていた。


『これが……ネクロマンサーの力』


レオは自分の手を見る。


「俺は……死者を操れるのか」


魔物はレオの命令を待つように立っている。


レオは男たちを見る。


「俺は戦いたくない」


それでも男たちは武器を下ろさない。


「ならば、力を証明しろ!」


男が突っ込んでくる。


「レオ!」


カイが動こうとする。


しかしレオが手を上げた。


「大丈夫」


蘇った魔物が前へ出る。


男の剣を受け止めた。


「くっ……!」


魔物は男を押し返す。


しかし、レオは攻撃を命じなかった。


「止まれ」


魔物が動きを止める。


「俺は……この力を、人を傷つけるためには使わない」


男はしばらくレオを見つめた。


やがて剣を下ろす。


「……分かった」


「え?」


「少なくとも、今のお前は敵ではないようだ」


男たちは道を開けた。


「だが、その力を悪用する者もいる」


男はレオを見つめる。


「気をつけろ。ネクロマンサー」


男たちが去っていく。


静寂が戻る。


レオは蘇らせた魔物を見る。


「……ありがとう」


魔物は静かに立っている。


やがて黒い魔力が消え、再び地面へ倒れた。


レオは拳を握る。


「この力……もっと知らないといけない」


ガイアが頷く。


『力を恐れるだけではなく、理解することだ』


「うん」


レオは北を見た。


「俺は、この力の意味を知りたい」


仲間たちとともに、再び歩き始める。


その先には――


レオ自身もまだ知らない、ネクロマンサーの真実が待っていた。


――第35話・完――

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