第34話「操られた魔物」
魔物の群れが一斉に襲いかかってくる。
「来るぞ!」
カイが剣を構えた。
レオは黒い鎖を放つ。
「《死縛》!」
数体の魔物を拘束する。
「今だ!」
カイとガイアが同時に飛び込んだ。
「はあっ!」
『おおっ!』
魔物を次々と倒していく。
しかし――
倒れた魔物が、ゆっくりと立ち上がった。
「……嘘だろ」
カイが目を見開く。
「まだ動くのか?」
魔物の額にある黒い紋章が輝いている。
レオは気づいた。
「やっぱり……あの紋章だ」
ミナが魔物を見つめる。
「待ってください」
「どうした?」
「魔物そのものじゃありません」
ミナは魔物の額を指差した。
「紋章が光っている時だけ、傷が治っています」
レオが目を凝らす。
「じゃあ、あの紋章を壊せば……」
『試してみる価値はある』
レオは鎖を伸ばした。
「《死縛》!」
魔物を拘束する。
「カイ!」
「任せろ!」
カイが走り出す。
「はあああっ!」
剣が魔物の額を狙う。
ガキンッ!
紋章が大きく砕けた。
魔物の身体から黒い魔力が噴き出す。
「グオオオッ!」
そして、魔物はその場に崩れ落ちた。
「……動かない」
カイが確認する。
『今度こそ倒れたな』
レオは息を吐く。
「紋章を壊せば、操られていた魔物を止められる」
ミナが頷く。
「でも、あの人はどうして魔物を操れるんでしょう?」
「分からない」
レオは森の奥を見る。
「だけど、あいつを追えば分かるかもしれない」
その時――
守護者が突然、森の奥を指差した。
「どうした?」
レオが見る。
木の根元に、小さな黒い石が落ちている。
レオが拾い上げる。
「これ……魔力が残ってる」
ガイアが近づく。
『先ほどの紋章と同じ気配だ』
カイが周囲を見回す。
「じゃあ、あの男が落としていったのか?」
「たぶん」
レオは石を握る。
すると――
頭の中に一瞬だけ映像が浮かんだ。
暗い部屋。
何体もの魔物。
そして、黒いローブの男。
『死者を率いる者が現れた』
「……!」
レオは思わず石を落とした。
「どうした?」
カイが駆け寄る。
「今……誰かの声が聞こえた」
「何て?」
レオは答えようとする。
しかし、言葉が出てこない。
その時、ガイアが石を見つめた。
『死者を率いる者……』
レオが顔を上げる。
「それが、俺のことなのか?」
ガイアはしばらく黙っていた。
『まだ分からない』
レオは石を拾い直す。
「だったら、確かめる」
北へ続く道を見る。
「この先に、答えがあるはずだ」
カイが頷く。
「行こう」
ミナも続く。
「はい」
守護者が最後に歩き出す。
四人は再び北へ向かった。
その頃。
森のさらに奥では、先ほどの男が立っていた。
「もう気づいたか」
男は小さく笑う。
「だが……まだ早い」
その手には、レオが拾ったものと同じ黒い石が握られていた。
「死者を率いる力が、どこまで成長するのか」
男は北の方角を見る。
「楽しみだな」
――第34話・完――




