第33話「北への街道」
北へ向かう街道を、レオたちは歩いていた。
「北って、かなり遠いんだな」
レオが地図を見る。
「次の街までは、まだ二日くらいかかる」
カイが答える。
『途中に森もある。夜になる前に、抜けられるといいな』
ガイアが周囲を見回す。
ミナも静かに歩いていた。
「……」
「ミナ?」
レオが振り返る。
「何か気になる?」
「いえ……」
ミナは森の奥を見る。
「ただ、さっきから誰かに見られている気がして」
「俺も少し感じてた」
カイが剣に手を添える。
その瞬間――
ガサッ!
茂みが揺れた。
「来る!」
魔物が飛び出してくる。
「一体じゃない!」
次々と木々の間から魔物が現れる。
「囲まれた!」
ガイアが拳を構える。
『数が多いな』
魔物たちが一斉に襲いかかる。
「《死縛》!」
レオが黒い鎖を放ち、先頭の魔物を拘束する。
「カイ!」
「任せろ!」
カイが走り、魔物を斬り伏せる。
ミナも手をかざす。
「《風刃》!」
風の刃が飛び、別の魔物を吹き飛ばす。
ガイアが拳を振るう。
『はあっ!』
一体を地面へ叩きつける。
守護者も大剣を振り回し、魔物を次々と倒していく。
しかし――
レオは違和感に気づいた。
「待って……」
「どうした?」
カイが振り返る。
「こいつら、逃げようとしない」
魔物たちは傷ついても、何度でも襲いかかってくる。
そして全員の額には――
黒い紋章。
「まさか……」
レオが紋章を見つめる。
「操られてる?」
『その可能性が高い』
ガイアが答える。
その瞬間、森の奥から声が響いた。
「その通りだ」
「!」
全員が振り返る。
木々の間から、一人の男が姿を現した。
黒いローブ。
胸元には、あの紋章。
「お前……!」
レオが構える。
男は笑った。
「初めまして、ネクロマンサー」
「俺を知ってるのか?」
「ああ。お前のことはよく知っている」
男が手を上げる。
すると、魔物たちが一斉にレオたちへ向き直った。
「まずは、こいつらで試させてもらおう」
カイが剣を構える。
「試すだと?」
男は答えない。
ただ静かに笑う。
レオは魔力を集中させる。
「お前たちの目的は何だ!」
男は背を向けた。
「それを知りたければ――」
森の奥へ歩きながら、振り返る。
「生き残れ」
「待て!」
レオが叫ぶ。
しかし男の姿は、闇の中へ消えていった。
残された魔物たちが再び咆哮する。
「……逃げたか」
カイが剣を握り直す。
レオも前を向く。
「だったら、こいつらを倒して追いつく!」
ミナが頷く。
「はい!」
ガイアが拳を構える。
『行くぞ!』
守護者も大剣を構えた。
魔物の群れが、一斉に襲いかかる。
北への街道は――
突然、戦場へと変わった。
――第33話・完――




