第23話「古代遺跡の秘密」
魔獣を倒したレオたちは、遺跡を出る前に内部を調べていた。
「まだ何か残ってるかもしれない」
『ああ』
ガイアが周囲を見回す。
黒い鎧のスケルトンも、無言のまま後ろを歩いていた。
「そういえば……」
レオが振り返る。
「お前、本当にずっと喋らないな」
スケルトンは反応しない。
「まあ、いいか」
その時、壁の一部に小さな亀裂があることに気づいた。
「ここ……」
レオが触れる。
ゴゴゴ……。
壁が横へ動き、隠された部屋が現れた。
「隠し部屋?」
中には古い机と本棚が残されていた。
「本がある!」
レオが一冊を手に取る。
紙はかなり傷んでいるが、文字はまだ読めた。
「……ネクロマンサーについて書かれてる」
ガイアが近づく。
『何と書いてある?』
レオはページをめくる。
「『死者を従える者は、死を操る者ではない』……」
壁画と同じ言葉だった。
さらに読み進める。
「『死者と生者の境界に触れし者、その力は門を開く鍵となる』」
レオの手が止まった。
「門……」
本の最後のページには、一人の人物について書かれていた。
「最初のネクロマンサー」
「最初の……?」
その人物は、かつて死者と生者の境界を研究していたらしい。
そして――
「ここから先は読めない……」
ページが破られていた。
「誰かが持っていったのかな」
『そうかもしれない』
レオは本を閉じる。
その時、部屋の奥にあった石板が淡く光った。
「まただ」
近づくと、石板には一人の人物が描かれていた。
黒いローブ。
杖。
そして、その周囲に浮かぶ無数の死者。
「この人が……最初のネクロマンサー?」
石板の下には文字が刻まれている。
『彼は門を閉じた』
「門を……閉じた?」
その隣には、さらに続きがあった。
『だが、門は消えなかった』
レオの表情が険しくなる。
「じゃあ……今もどこかに門がある?」
『その可能性は高い』
「そして誰かが、それを開こうとしてる」
ガイアは答えなかった。
しかし、その可能性を否定することもできなかった。
レオは石板を見つめる。
「俺がネクロマンサーになったのも……偶然じゃないのかもしれない」
その時、後ろにいた黒い鎧のスケルトンが突然動いた。
「どうした?」
スケルトンは石板の一点を指差す。
そこには小さく、別の紋章が刻まれていた。
「この紋章……」
レオが金属片を取り出す。
同じ形だった。
「やっぱり繋がってる」
そしてスケルトンは、石板の奥にある壁を指差した。
「まだ何かあるのか?」
レオが壁へ近づく。
そこには古い文字が刻まれていた。
『門を開く者は、死者の王を呼び起こす』
レオは息を呑んだ。
「死者の王……?」
ガイアが静かに呟く。
『嫌な言葉だな』
「うん……」
レオは本を抱える。
「これ以上ここにいても、今は分からないことが多すぎる」
三人は隠し部屋を出る。
遺跡の出口へ向かいながら、レオは振り返った。
「この場所で見つけたことを、全部調べよう」
外へ出る。
夕暮れの空が広がっていた。
レオは空を見上げる。
「俺は……自分の力のことを知らなすぎる」
そして拳を握る。
「もっと強くならないと」
ガイアが頷く。
『そのためにも、まずは町へ戻ろう』
レオは頷いた。
その背後で、黒い鎧のスケルトンが遺跡を振り返る。
青白い炎が、ほんの一瞬だけ揺れた。
まるで――
何かを思い出したかのように。
――第23話・完――




