第21話「古代の守護者」
遺跡の奥。
レオの前には、黒い鎧をまとったスケルトンが跪いていた。
「……本当に俺に従ってるのか?」
スケルトンはゆっくり顔を上げる。
青白い炎が、眼窩の奥で揺れていた。
『レオ、気をつけろ』
「分かってる」
レオは慎重に近づく。
「お前は……敵じゃないんだな?」
スケルトンは答えない。
ただ、握っていた大剣を地面に置いた。
「武器を置いた……」
『敵意はないようだ』
その瞬間。
遺跡の奥から、低い地鳴りが響いた。
ゴゴゴゴ……。
「何だ!?」
床が揺れる。
壁の一部が崩れ、その奥から大量のスケルトンが現れた。
「こんなに……!」
『レオ、下がれ!』
スケルトンたちが一斉に剣を構える。
「ガイア!」
『任せろ!』
ガイアが前へ出る。
しかし、数が多い。
一体を倒しても、すぐに別のスケルトンが襲いかかってくる。
「くっ……!」
レオは黒い鎖を放つ。
「止まれ!」
数体の足を拘束する。
だが、まだ残っている。
「多すぎる!」
その時だった。
黒い鎧のスケルトンが立ち上がった。
そして――
大剣を振り抜く。
一閃。
数体のスケルトンがまとめて吹き飛んだ。
「……強い」
ガイアが驚く。
『あの力……私より上かもしれない』
黒い鎧のスケルトンは、次々と襲いかかるスケルトンを倒していく。
レオはその姿を見つめた。
「お前……俺を守ってるのか?」
スケルトンは答えない。
最後の一体を倒すと、静かにレオの前へ戻ってきた。
そして再び跪く。
「……ありがとう」
レオがそう言うと、スケルトンの身体から淡い光が浮かび上がった。
「何だ……?」
光は壁へ吸い込まれていく。
すると、壁画の一部が輝き始めた。
そこに映し出されたのは――
一人のネクロマンサーだった。
黒いローブを身にまとい、数多くの死者を従えている。
「これが……昔のネクロマンサー?」
『そうだろう』
映像の中のネクロマンサーが、石碑の前に立つ。
その手には、レオが持つ金属片と同じ紋章が刻まれていた。
そして声が響く。
『死者を操る力は、死を支配する力ではない』
レオは息を呑む。
『死者と生者。その境界を越える者には、必ず代償がある』
映像が途切れる。
「代償……?」
レオが呟いた瞬間、黒い鎧のスケルトンがゆっくりと立ち上がった。
そして壁の石碑を指差す。
そこには、新たな文字が浮かんでいた。
「門を開く者、死界を知る者」
レオはその言葉を見つめる。
「俺のことなのか……?」
答えはない。
ただ、遺跡の奥から冷たい風が吹き抜けた。
そして――
遠くで、何かが動く音がした。
『レオ』
「うん」
『まだ、この遺跡には何かいる』
レオは黒い鎧のスケルトンを見る。
「お前も……来てくれるか?」
スケルトンは無言で大剣を握った。
「……頼りにしてる」
レオは初めて、そのスケルトンを仲間として受け入れるような気持ちになった。
しかし、その時。
遺跡の奥から、不気味な咆哮が響いた。
「……まだ終わってない」
レオはガイアと並んで構える。
新たな戦いが始まろうとしていた。
――第21話・完――




