第20話「古代遺跡」
翌朝。
レオとガイアは、昨日受けた遺跡調査の依頼のため、町を出た。
「この先にあるんだよな?」
『依頼書ではそうなっている』
しばらく歩くと、木々の間から古びた石造りの建物が見えてきた。
「……これが遺跡」
崩れた壁。
苔に覆われた石柱。
そして、入口には大きな門が残されている。
レオが近づく。
「かなり古そうだな」
『気をつけろ。ここにも死の気配がある』
「死の気配……?」
レオが入口へ手を伸ばす。
その瞬間――
ゴゴゴゴッ。
重い音を立てて、石の門がゆっくり開いた。
「勝手に開いた……」
『お前の力に反応したのかもしれない』
「俺に?」
レオは警戒しながら中へ入る。
内部は暗く、壁には古い文字が刻まれていた。
「何て書いてあるんだ?」
『私には読めない』
「俺にも……」
しかし、奥へ進むにつれて、見覚えのある紋章が現れ始めた。
「これ……!」
壁に刻まれているのは、森で拾った金属片と同じ紋章だった。
「やっぱり、あの紋章は昔から存在してたんだ」
さらに進むと、一枚の大きな壁画が現れた。
そこには、一人の人間と数体の死者が描かれている。
人間の手から黒い光が伸び、死者たちと繋がっていた。
「これ……ネクロマンサー?」
『おそらく』
レオは壁画を見つめる。
その下には、父親の本に書かれていたものと似た文字が刻まれていた。
「……読めないけど、何か意味があるはずだ」
その時。
カタン。
奥から音がした。
「……今の音?」
ガイアが前へ出る。
『何かいる』
二人は慎重に進んだ。
すると、広い部屋の中央に石の棺が置かれていた。
「棺……?」
その表面には、あの紋章が刻まれている。
レオが近づいた瞬間――
ゴォン……。
棺の蓋がわずかに動いた。
「ガイア!」
『下がれ!』
レオが後ろへ下がる。
蓋がゆっくりと開く。
中から現れたのは――
一体の古びたスケルトンだった。
「スケルトン……!」
だが、普通のスケルトンとは違う。
その身体には黒い鎧がまとわれ、手には巨大な剣が握られている。
『レオ……こいつは危険だ』
「分かるのか?」
『強い魔力を感じる』
スケルトンがゆっくり立ち上がる。
そして、レオを見つめた。
「……」
攻撃してこない。
ただ、じっと見ている。
「何だ……?」
レオが一歩近づく。
その瞬間、スケルトンの目に青白い炎が灯った。
『……ネクロマンサー』
「今、喋った……?」
スケルトンは剣を地面に突き立てる。
そして、レオの前に跪いた。
「……え?」
ガイアも驚いている。
『これは……』
レオは目を見開く。
自分の右手の紋章が強く輝いていた。
「俺に……従うのか?」
スケルトンは答えない。
ただ、頭を下げ続けている。
レオは困惑しながら、その姿を見つめた。
「お前は……一体何者なんだ?」
その問いに答えるように、遺跡の奥から古い声が響いた。
『選ばれし者よ――』
レオが振り返る。
「誰だ!」
声はそれ以上続かなかった。
しかし、壁画の一部が突然崩れ落ちる。
その奥から、古い石板が現れる。
そこには一つの言葉が刻まれていた。
「死界への門」
レオは息を呑んだ。
「……死界」
父親の本に書かれていた言葉。
それが今、自分の目の前に現れた。
――第20話・完――




