第18話「街道の襲撃者」
日が沈み始めた頃。
レオたちは街道の途中で野営の準備をしていた。
「今日はここで休むんですか?」
「次の街まではまだ距離があるからな」
ダリオが馬車を止める。
レオは焚き火のそばに座り、ガイアは少し離れた場所で周囲を警戒していた。
「ガイア、眠らなくていいの?」
『私は死者だ』
「そうだった」
レオが苦笑する。
その時だった。
ヒュッ――!
何かが飛んできた。
「危ない!」
レオが身をかがめる。
矢が馬車に突き刺さった。
「何だ!?」
ダリオが立ち上がる。
森の中から、複数の人影が現れた。
「全員、動くな!」
「人間……?」
レオは警戒する。
襲撃者たちは武器を構え、馬車を取り囲んだ。
「荷物を置いていけ」
「盗賊か?」
ダリオが震える声で尋ねる。
「黙って従え」
男が一歩前へ出る。
レオは相手を見つめる。
「……その紋章」
男の首元に、森で見つけた金属片と同じ紋章が刻まれていた。
「お前……!」
男がレオを見る。
「やはり持っているな」
「何を言ってる?」
「とぼけるな」
男の視線がレオの懐へ向く。
森で拾った金属片。
「それを渡せ」
レオは後ろへ下がる。
「嫌だ」
「ならば力ずくで奪う」
男が手を上げる。
襲撃者たちが一斉に動いた。
「ガイア!」
『任せろ!』
ガイアが飛び出す。
一人の襲撃者が剣を振り下ろす。
ガキンッ!
ガイアが腕で受け止める。
そのまま相手を押し返した。
「くっ……!」
別の男がガイアの背後へ回る。
「ガイア、後ろ!」
レオが右手を伸ばす。
黒い鎖が地面から伸び、男の足を絡め取った。
「なっ!」
男が黒い鎖に気を取られた。
「今だ!」
ガイアが振り向き、男を地面へ叩きつける。
しかし、襲撃者はまだ何人もいる。
「レオ!」
ダリオが叫ぶ。
一人が馬車へ向かっていた。
「させるか!」
レオが走る。
襲撃者が剣を振る。
レオは身をかわすが、腕を浅く切られた。
「くっ……!」
血が流れる。
「レオ!」
ガイアが駆けつけようとする。
だが、別の男が立ちはだかる。
「こいつを倒せ!」
レオは痛む腕を押さえながら立ち上がる。
怖い。
それでも――
「俺は……逃げない!」
右手の紋章が強く輝く。
地面から黒い鎖が何本も伸び、襲撃者たちの動きを止める。
「今だ、ガイア!」
『ああ!』
ガイアが一気に踏み込む。
次々と襲撃者を倒していく。
最後に残った男が後退する。
「くそっ……!」
「待て!」
レオが追おうとする。
しかし男は森の中へ逃げていった。
ガイアが追撃しようとするが、レオが止める。
「待って。追わなくていい」
『なぜだ?』
「今はダリオさんを守る方が大事だ」
ガイアは頷いた。
『分かった』
戦いが終わる。
ダリオは馬車を確認しながら、安堵の息を吐いた。
「助かった……本当にありがとう」
レオは腕の傷を見る。
「これくらいなら大丈夫です」
そして、襲撃者が逃げた森を見つめる。
「でも……やっぱりあの紋章は偶然じゃない」
ガイアも頷く。
『ああ。奴らは明らかに、お前の持つ金属片を狙っていた』
レオはそれを握りしめる。
「一体、何なんだ……」
答えはまだ分からない。
――第18話・完――




