第16話「謎の紋章」
街へ戻ったレオとガイアは、冒険者ギルドへ向かった。
「まずは、この紋章について調べよう」
レオは森で拾った金属片を受付へ差し出す。
「これについて、何か分かりますか?」
受付の女性は金属片を確認する。
「……この紋章自体については、私には分かりません」
「そうですか……」
レオが金属片をしまおうとした時、受付の女性が続けた。
「ただ……少し気になることがあります」
「何ですか?」
「最近、各地の冒険者から、似たような紋章についての報告が出ているんです」
「各地で?」
「はい。まだ正体は分かっていません。ギルドでも情報を集めているところです」
レオは金属片を見る。
「じゃあ、この紋章も関係してるかもしれない」
「その可能性はあります」
その時、後ろから声がした。
「その紋章……どこで手に入れた?」
振り返ると、昨日ギルドで会った短剣を持つ男が立っていた。
「森で見つけたんだ」
「森で?」
男の表情が変わる。
「それ、誰にも見せない方がいい」
「どうして?」
「俺も詳しくは知らない。ただ、その紋章をつけた連中を見たことがある」
「どこで?」
男は少し迷った。
「数年前、俺が冒険者になったばかりの頃だ。依頼で山奥の村へ行った」
男は金属片を見つめる。
「その村では、突然人がいなくなっていた」
「……人が?」
「ああ。家が荒らされた様子もない。争った跡もない。ただ、村人だけが消えていた」
レオは黙って聞く。
「調べている途中で、同じ紋章をつけた連中を見た」
「そいつらは何をしてたんだ?」
「分からない。俺は見つからないように逃げたからな」
男は拳を握る。
「ただ、一つだけ覚えている」
「何を?」
「奴らが言っていた言葉だ」
男はレオを見る。
「『死者は門を開く』」
「……死者は、門を開く?」
レオの頭に、父親の残した本が浮かぶ。
死界。
ガイアも金属片を見つめる。
『死者と門……何か繋がりがあるのかもしれない』
「でも、まだ何も分からない」
レオは金属片をしまった。
その時、ギルドの入口が開いた。
「レオ!」
カイルが入ってくる。
「探してたんだ。依頼の報告、まだだろ?」
「あっ……そうだった」
レオたちは受付へ向かい、魔物の討伐と森の異変について報告した。
「異常な魔物の件は、こちらでも調査します」
受付の女性が記録を書き込む。
「森で何か変わったものは見ませんでしたか?」
レオは一瞬迷った。
そして金属片を見る。
「……これを見つけました」
受付の女性は頷いた。
「先ほどの紋章ですね」
「はい」
「こちらでも、同じ紋章についての報告を集めています。何か分かれば、こちらからもお知らせします」
「分かりました」
レオはギルドを出る。
「少しずつだけど、何か分かってきたな」
『ああ』
「死者……門……死界」
レオは空を見上げる。
「全部、父さんの残した本と繋がってるのかな」
ガイアは答えなかった。
まだ何も確かなことは分からない。
その夜。
街の外では、一人の男が立っていた。
「……紋章を見つけたか」
別の男が答える。
「はい。ネクロマンサーの少年が持っています」
「そうか」
男は夜空を見上げた。
「ならば、もうすぐだ」
「何がです?」
男は静かに答えた。
「門が開く時がな」
二人の姿が闇へ消えていった。
――第16話・完――




