第13話「初めての依頼」
街を出てしばらく歩くと、レオとガイアは依頼に書かれていた森へ到着した。
「ここか……」
森の中は妙に静かだった。
鳥の声すら聞こえない。
『警戒しろ、レオ』
「分かってる」
レオは周囲を見回す。
「魔物が増えてるって話だったけど……本当にいるのかな」
その時。
ガサッ。
茂みが揺れた。
「来る!」
一匹の魔狼が飛び出してきた。
「ガイア!」
『任せろ!』
ガイアが前へ出る。
魔狼が牙を剥いて飛びかかる。
ガイアは攻撃をかわし、その腕で魔狼を殴り飛ばした。
だが――
「まだいる!」
左右から、さらに二匹の魔狼が現れる。
「三匹……!」
一匹がレオへ向かってくる。
「うわっ!」
レオは慌てて横へ転がる。
魔狼の爪が地面をえぐった。
「危なかった……!」
レオは右手を掲げる。
「ガイア!」
黒い魔力がガイアへ流れ込む。
『ああ!』
ガイアの身体が黒い光に包まれる。
一気に踏み込み、魔狼の攻撃を受け止める。
そして――
ドンッ!
拳が魔狼の身体を吹き飛ばした。
残った一匹がガイアの背後へ回り込む。
「ガイア、後ろ!」
ガイアが振り向く。
だが、間に合わない。
その瞬間――
魔狼の身体が突然、黒い鎖に絡め取られた。
「……え?」
レオ自身も驚いた。
右手から伸びた黒い魔力が、魔狼を拘束している。
「ガイア今だ!!」
『分かった!』
ガイアが魔狼へ飛びかかる。
一撃。
魔狼は地面へ倒れ、動かなくなった。
「……俺が捕まえた?」
レオは自分の手を見る。
『新しい力が目覚めたようだな』
「死者と契約するだけじゃない……」
自分の中にある力が、少しずつ形を変えている。
その時だった。
森の奥から、低い唸り声が響いた。
「……まだいるのか?」
ガイアが構える。
『先ほどの魔狼とは違う』
木々の間から現れたのは、巨大な魔物だった。
普通の魔狼よりも遥かに大きい。
身体には黒い模様が浮かんでいる。
「……何だ、あれ」
魔物がこちらを睨む。
その目は赤く光っていた。
そして――
「グォォォォッ!」
森全体を震わせる咆哮が響く。
レオは恐怖で足がすくむ。
「……こんなの、依頼に書いてなかったぞ」
ガイアが前へ出る。
『下がれ、レオ』
「いや……」
レオは震える手を握りしめる。
「俺も戦う」
『……分かった』
レオの右手に黒い紋章が浮かぶ。
魔物が地面を蹴った。
「来る!」
ガイアが迎え撃つ。
しかし――
魔物の一撃で、ガイアが大きく吹き飛ばされた。
「ガイア!」
レオは初めて感じる。
今までの魔物とは、明らかに違う。
この森で起きている異変。
それは、ただ魔物が増えているだけではなかった。
――第13話・完――




