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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第6章「過去のネクロマンサー」
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第119話「二人目の裏切り」

死界の門を前に、ヴァルドたちが力を集めていた。


死者の魂。


守護者の白い光。


ネクロマンサーたちの鎖。


三つの力が重なる。


「押せ!」


ヴァルドが叫ぶ。


巨大な門が少しずつ閉じていく。


「いける!」


アシュレイが声を上げる。


だが、その背後。


一人のネクロマンサーが黒い石を握っていた。


黒い石の研究に賛同していた男。


「……閉じるな」


その声にヴァルドが振り返る。


「何?」


男の腕には黒い紋章が浮かんでいた。


「まだ向こう側を何も知らない」


「今それを言ってる場合か!」


「今だからだ!」


男は黒い石を掲げる。


「この門を閉じたら、二度と死界を調べられないかもしれない!」


アシュレイが睨む。


「仲間が死んだんだぞ!」


「だからこそだ!」


「何のために死んだのか、知らなければ意味がない!」


ヴァルドが鎖を構える。


「石を置け」


「断る」


黒い石が光った。


ドクン!


門が再び動き始める。


「やめろ!」


ヴァルドが鎖を放つ。


男も黒い力を放った。


二つの鎖が激突する。


ガキィン!


「俺は死者を救いたい!」


男が叫ぶ。


「死界を理解できれば、死そのものを変えられるかもしれない!」


「それは救うことじゃない!」


ヴァルドが押し返す。


「死者の意思を無視して、自分の答えを押しつけてるだけだ!」


男の表情が歪む。


その瞬間――。


黒い石から声が響いた。


『……もっと……』


男の身体が止まる。


『……知りたいのだろう』


「……ああ」


『……ならば開け』


黒い紋章が腕から胸へ広がる。


アシュレイが叫ぶ。


「そいつの声を聞くな!」


だが遅かった。


男が門へ黒い力を放つ。


ドォン!


閉じかけていた門が止まった。


さらに――。


僅かに開く。


「くそっ!」


ヴァルドたちの力が押し戻される。


男自身も苦しみ始めた。


「ぐっ……!」


「お前、利用されてるぞ!」


「違う……!」


黒い霧が男の身体を包む。


『……こちらへ』


男の顔に恐怖が浮かぶ。


「待て……」


『……お前は知りたかったのだろう』


「違う!」


黒い腕が門から伸びる。


男の身体を掴んだ。


「助け――」


ヴァルドが鎖を伸ばす。


「掴まれ!」


男が手を伸ばす。


二人の手が届きかける。


だが――。


黒い腕が男を門の中へ引きずり込んだ。


「――っ!」


門の向こうへ消える。


黒い石だけが地面へ落ちた。


静寂。


アシュレイが拳を握る。


「……二人目」


最初の一人は、自らの魂を使って門を閉じようとした。


二人目は――。


死界の向こうへ連れ去られた。


レオはその光景を見つめる。


「死んだわけじゃない……?」


ガイアが答える。


「少なくとも、この記憶だけでは分からない」


その言葉にレオは門を見つめた。


三百年前に連れ去られたネクロマンサー。


もし魂すら戻っていないのなら――。


その行方は、まだ分からない。


記憶の中でヴァルドが黒い石を拾う。


「もう誰にも触らせない」


アシュレイが頷く。


「封印する」


だが、その時。


聖王教会の方から怒号が響いた。


「ネクロマンサーを拘束しろ!」


ヴァルドが振り返る。


教会の兵士たちが再び迫っていた。


その先頭には――。


三人目。


教会へ情報を流していたネクロマンサーが立っていた。


その顔には後悔が浮かんでいる。


「ヴァルド……」


「逃げろ」


ヴァルドの目が細くなる。


「何?」


「教会は……」


男が震える。


「お前たち全員を捕らえるつもりだ」


――第119話・完――

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