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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第6章「過去のネクロマンサー」
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第118話「生者の魂」

白い器の中で、淡い光が揺れていた。


ヴァルドが教会の男を睨む。


「今すぐ止めろ」


「門を閉じるためだ」


「だからって生者の魂を使うのか!」


アシュレイも前へ出る。


「死者を救うために、生者を犠牲にする。それのどこが救いだ」


教会の男は表情を変えない。


「このまま門が開けば、さらに多くの命が失われる」


「だから少数を犠牲にする?」


「必要な選択だ」


その言葉に――。


守護者が動いた。


白い器の前へ立つ。


「……」


「退け」


教会の者が命じる。


だが、守護者は動かない。


白い光が器を包んだ。


ガイアが記憶を見ながら呟く。


「これが……」


レオも頷く。


「黒い守護者が拒んだ理由に繋がるのかもしれない」


記憶の中では、門が再び動き始める。


ゴゴゴゴゴ……。


『……開け』


黒い霧が広がる。


「時間がない!」


教会側が白い器へ手を伸ばす。


その瞬間。


バァン!


守護者の光が弾き返した。


「何をする!」


ヴァルドが守護者の隣へ立つ。


「こいつが正しい」


アシュレイも続く。


「別の方法を探す」


「そんな時間はない!」


「それでもだ!」


残されたネクロマンサーたちも次々と並んだ。


だが全員ではない。


数人が迷っている。


「……もし失敗したら?」


一人が呟く。


「この村だけじゃ済まない」


「分かってる」


ヴァルドが答える。


「それでも、生きている人間を材料にはしない」


その時――。


門の奥から巨大な黒い腕が飛び出した。


「来るぞ!」


十二人のネクロマンサーが鎖を放つ。


黒い腕を拘束する。


守護者も白い光で押し返した。


だが、門は閉じない。


むしろ少しずつ開いていく。


「くそっ……!」


アシュレイが歯を食いしばる。


すると教会側から声が上がった。


「封印を実行する!」


「待て!」


白い器が輝く。


中にあった魂の光が門へ向かって飛び始めた。


守護者が振り返る。


白い光を放つ。


しかし――。


間に合わない。


一つの魂が門へ吸い込まれた。


その瞬間。


ドォン!


門が大きく閉じた。


レオの拳が震える。


「……本当に使ったのか」


ミナは何も言えなかった。


カイも険しい顔で見つめている。


教会の男が叫ぶ。


「効果がある! 続けろ!」


「やめろ!」


ヴァルドが教会側へ走る。


アシュレイも続いた。


だが――。


過去の守護者が二人より先に動いた。


白い光が爆発する。


白い器が吹き飛ばされた。


ガシャン!


器が砕ける。


残っていた魂たちが解放された。


教会の者たちが息を呑む。


守護者は彼らの前に立つ。


明確な拒絶。


「……そうか」


レオは守護者を見る。


「お前は、この時から拒んでたんだな」


記憶の中。


ヴァルドが解放された魂たちを見る。


「もう犠牲は出さない」


しかし門はまだ開いている。


アシュレイが問いかける。


「どうする?」


ヴァルドは死者たちを見る。


そして残された仲間たちを見る。


「俺たちの力で閉じる」


「できるのか?」


「やるしかない」


その時。


門を開いた男が残した魂の鎖が輝いた。


まるで――。


仲間たちへ力を貸すように。


ヴァルドがそれを握る。


「……最後まで手伝うつもりか」


アシュレイも鎖へ手を添えた。


「なら、借りるぞ」


残されたネクロマンサーたちが集まる。


死者の魂。


守護者の力。


ネクロマンサーたちの力。


三つが重なり始める。


レオの目が見開かれた。


「これ……」


現在の自分たちが使っている方法に近い。


ガイアも気づく。


「三百年前にも、犠牲を使わず閉じようとしていた者たちがいた」


だが――。


記憶の奥で、別の黒い影が動いていた。


黒い石を手にした一人のネクロマンサー。


研究に賛同していた二人目だった。


「……閉じさせない」


その腕にも、黒い紋章が浮かび始めていた。


――第118話・完――

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