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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第6章「過去のネクロマンサー」
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113/181

第113話「三人の裏切り者」

地下の壁に刻まれた十三本の印。


そのうち三つだけが、黒く染まっていた。


レオは死者の男を見る。


「この三人が裏切ったのか?」


『……そうだ』


「何をした?」


死者が手を伸ばす。


再び過去の記憶が広がった。


三百年前の魂導院。


十三人のネクロマンサーが集まっている。


机の中央には黒い石。


アシュレイが口を開く。


「これ以上の研究は危険だ」


「まだ何も分かっていない」


反論したのは、黒い石に触れた若い男だった。


「だから調べるんだ」


ヴァルドが二人の間に入る。


「研究を続けるとしても、石への接触は禁止する」


「……分かった」


男はそう答えた。


だが、その夜。


男は二人のネクロマンサーと密かに会っていた。


「石の中を見た」


「何があった?」


「死界だ」


二人の表情が変わる。


「本当に?」


「ああ」


男は腕に浮かぶ黒い模様を見る。


「俺たちは、死者の声を聞くだけで終わる必要はない」


「境界の向こうを知れば、もっと多くのことが分かる」


一人が尋ねる。


「ヴァルドには?」


「言わない」


もう一人は黙っていた。


その男だけは、二人と別れた後――。


聖王教会の人間と接触した。


「黒い石の研究が続けられています」


教会の男が尋ねる。


「ヴァルドの指示か?」


「違います」


「一部の者が勝手に動いている」


レオたちは記憶を見つめる。


カイが眉をひそめた。


「同じ三人でも、全員目的が違うのか」


ガイアが答える。


「一人は黒い石を研究したい」


「一人はそれに賛同した」


「もう一人は教会へ情報を流した」


ミナが呟く。


「単純な裏切りじゃないんだ……」


記憶が進む。


数日後。


魂導院の地下。


黒い石に触れた男と、研究に賛同した仲間が立っていた。


「始めるぞ」


「本当に大丈夫なのか?」


「少しだけ境界へ触れる」


黒い石が光る。


その瞬間――。


バキッ!


空間に小さな亀裂が生まれた。


『……見つけた』


あの声。


二人の顔が強張る。


「閉じろ!」


「分かってる!」


だが、亀裂が広がっていく。


そこへヴァルドとアシュレイが駆け込んだ。


「何をした!」


ヴァルドが叫ぶ。


「閉じるぞ!」


アシュレイが死者の力を集める。


だが――。


亀裂の奥から黒い腕が伸びた。


ドンッ!


全員が吹き飛ばされる。


『……もっと……開けろ』


黒い石に触れた男が、自分の腕を見る。


黒い模様がさらに広がっていた。


「俺は……」


「こんなものを呼ぶつもりじゃ……」


記憶が途切れた。


地下へ戻る。


死者の男が俯いている。


『これが最初の亀裂だった』


レオは三つの黒い印を見る。


「教会に情報を渡していた奴は?」


死者は顔を上げる。


『その者の行動が――』


『さらに大きな悲劇を生む』


突然。


三つ目の印が強く光った。


守護者がレオの前へ出る。


黒い霧が壁から漏れ出す。


そして――。


『……記録を……見るな……』


低い声が地下に響いた。


レオは死者の鎖を出す。


「また邪魔する気か」


黒い霧の奥で、何かが動いた。


三百年前の真実を隠そうとするように。


――第113話・完――

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