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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第102話「扉を閉じる戦い」

黒い扉が激しく震えていた。


ギギギギギ……!


扉の隙間から漏れ出す黒い霧。


その向こうでは、巨大な二つの目がレオたちを見つめている。


「……あいつを絶対に出すな」


レオが鎖を握り直す。


カイが剣を構えた。


「分かってる」


ミナも魔力を集中させる。


「扉を閉じればいいんだよね」


「そうだ」


ガイアが周囲を見渡す。


『問題は、あの手だ』


扉を掴んでいる巨大な黒い腕。


切っても、焼いても再生する。


守護者が腕へ白い光を向ける。


『……』


白い光が黒い腕を包む。


ジュウウウ……。


黒い腕の表面が崩れ始めた。


「効いてる!」


だが、完全には消えない。


むしろ黒い腕から黒い霧が噴き出し、守護者へ絡みつく。


「守護者!」


レオが鎖を伸ばす。


《死者の鎖・拘束》


黒い霧を絡め取る。


しかし――


鎖が黒く染まり始めた。


『レオ! 離れろ!』


ガイアの警告。


「まだだ!」


『吸われるぞ!』


「分かってる!」


レオは鎖を握り締める。


「だからこそ――!」


鎖へ魂たちの光が集まる。


《魂連結》


黒く染まりかけた鎖が再び白く輝いた。


「これなら!」


鎖が黒い霧を引き剥がす。


守護者が自由になる。


『……』


「大丈夫か?」


守護者は頷いた。


「よし」


その瞬間。


黒い腕が振り下ろされた。


「危ない!」


カイが飛び込む。


《裂空斬》


ズガァン!


巨大な腕を横から斬りつける。


黒い腕が大きく揺れた。


「ミナ!」


「任せて!」


《フレイム・ランス》


炎の槍が傷口へ突き刺さる。


ドォン!


黒い腕が燃え上がる。


「今だ、レオ!」


レオは扉へ向かって走った。


「守護者!」


白い光が扉全体を包む。


レオも鎖を伸ばす。


《死者の鎖・境界連結》


鎖が扉の周囲へ絡みつく。


ギギギ……。


扉が動き始める。


少しずつ。


ほんの少しずつだが、閉じていく。


「いける!」


カイが叫ぶ。


しかし――


扉の奥から声が響く。


『……無駄だ』


「!」


黒い目がこちらを見た。


『……この扉は……お前たちが閉じるものではない』


レオが睨み返す。


「だったら何だ」


『……選ばれた者だけが……閉じる』


「誰に選ばれる?」


沈黙。


そして――


『……境界に』


レオの胸元の紋章が突然輝いた。


「っ!」


強烈な痛みが走る。


「ぐっ……!」


膝をつく。


カイが駆け寄る。


「レオ!」


「来るな!」


レオの胸から黒い光が漏れ始めた。


ガイアが叫ぶ。


『レオ! その力を受け入れるな!』


「分かってる!」


『違う! あいつは力を送り込んでるんじゃない!』


「じゃあ何だ!」


『お前の中にある力を――引き出そうとしてる!』


レオは息を呑む。


自分の中から、何かが引っ張られている。


死者たちとの繋がり。


守護者との繋がり。


そして――


境界そのものとの繋がり。


「……これが」


レオは胸を押さえる。


「俺の力の正体……?」


『……まだだ』


黒い目が笑う。


『……お前は……まだ知らない』


「何を!」


『……なぜ……お前が……選ばれたのか』


レオの目が鋭くなる。


「それを知りたいなら――」


鎖を強く握る。


「なおさら、お前の言う通りにはならない!」


魂たちの光が爆発的に広がる。


《死者の鎖・魂連結・極》


無数の魂が鎖を支える。


「俺が選ぶ!」


鎖が一気に扉を引く。


ギギギギギ……!


扉が大きく閉じていく。


黒い腕が必死に抵抗する。


カイが走った。


「押し込むぞ!」


ミナも続く。


「うん!」


二人が黒い腕へ攻撃を集中させる。


《裂空斬》


《炎界・圧縮》


ドォォン!


黒い腕が大きく揺れる。


守護者が白い光を放つ。


その瞬間。


黒い腕に大きな亀裂が入った。


「今だ!」


レオが叫ぶ。


「全員、力を貸してくれ!」


カイが剣を振り上げる。


「任せろ!」


ミナが魔力を集中させる。


「絶対に閉じる!」


ガイアが叫ぶ。


『やれ!』


守護者の白い光が最大まで強まる。


そして――


全員の力が一点に集まった。


ドォォォォォン!


黒い腕が砕け散る。


扉が一気に閉じる。


バタンッ!


完全な静寂。


森を覆っていた黒い霧も止まった。


「……終わった?」


ミナが息を切らしながら呟く。


レオは扉を見る。


「……いや」


カイが眉をひそめる。


「何だ?」


レオは扉の表面へ手を伸ばす。


触れない。


その直前で止める。


「まだ……向こうにいる」


扉の奥から、最後の声が聞こえた。


『……また……会おう』


そして黒い扉に、一筋の亀裂が残った。


完全には閉じていない。


レオは鎖を握る。


「……終わってないな」


ガイアが静かに答えた。


『ああ』


守護者も扉を見つめている。


森には再び静寂が戻った。


しかし――


地面の下。


閉じたはずの扉のさらに奥で。


何かがゆっくりと動いた。


――第102話・完――

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