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死界のネクロマンサー  作者: のんびり小僧
第5章「冥夜の旅団」
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第101話「黒い扉」

黒い森の中心。


巨大な黒い扉が、地面からゆっくりと姿を現していた。


ギギギギ……。


古びた金属が擦れるような音。


扉の表面には、三つの円と一本の線。


境界監視者の紋章。


しかし、その中央は黒く染まっている。


カイが剣を構えた。


「これ……地下遺跡にあった紋章と同じだよな」


「うん」


ミナも扉から目を離さない。


「でも、何か違う」


レオが一歩近づく。


守護者が突然、腕を伸ばした。


『……』


「止まれってことか?」


守護者は頷く。


レオは足を止めた。


「この扉……普通の門じゃない」


ガイアが低い声を出す。


『そうだ』


「何か分かるのか?」


『境界の力が濃すぎる』


ガイアは扉を睨む。


『開けば、向こう側とこちら側が繋がる可能性がある』


レオは拳を握った。


「死界への門と同じなのか?」


『似ている』


「同じじゃない?」


『ああ。これはもっと不安定だ』


その時。


扉の向こうから声が聞こえた。


『……レオ……』


レオの目が見開かれる。


「……俺の名前を?」


カイが振り返る。


「知ってるのか?」


「分からない」


再び声が響く。


『……鍵を……』


「またそれか」


レオが扉へ近づく。


「俺を鍵と呼ぶ奴が多すぎる」


『……開けろ……』


「断る」


即答だった。


カイが苦笑する。


「迷いねぇな」


「開けていい理由がない」


ミナも頷いた。


「そうだね」


しかし扉は止まらない。


ギギギギ……。


隙間から黒い霧が流れ出す。


守護者が前へ出た。


白い光が広がる。


黒い霧が白い光に触れた瞬間――


ジュッ!


霧が消滅した。


『……拒むか』


声が響く。


レオは扉を睨む。


「当たり前だ」


『……ならば……力ずくで……』


扉の隙間から黒い腕が飛び出した。


「来るぞ!」


カイが踏み込む。


《裂空斬》


ズバッ!


黒い腕を切断する。


だが、切断された腕は地面に落ちる前に再び形を変えた。


「まだ動くのか!」


ミナが手をかざす。


《フレイム・ランス》


炎の槍が黒い腕を貫く。


ドォン!


黒い腕が燃え上がる。


「今!」


レオが鎖を伸ばす。


《死者の鎖・拘束》


鎖が黒い腕を縛り上げる。


だが――


黒い腕から大量の黒い光が噴き出した。


「っ!」


レオの鎖が軋む。


『レオ!』


ガイアが叫ぶ。


『その腕、力を吸ってる!』


「またか!」


レオは鎖を解除する。


直後、黒い腕が地面を叩いた。


ドォン!


地面が大きく揺れる。


カイが踏ん張る。


「この扉……開けるだけじゃない」


ミナが扉を見る。


「こっち側の力まで吸ってる」


「だったら――」


レオは守護者を見る。


「守護者」


『……』


「閉じる力を貸してくれ」


守護者が前へ出る。


白い光が扉へ向かって伸びていく。


レオも鎖を展開する。


「俺もやる」


《死者の鎖・境界連結》


白い光と鎖が扉を包む。


ギギギギ……。


動いていた扉が、少しずつ閉じ始める。


「いける!」


カイが叫ぶ。


「このまま閉じろ!」


しかし――


扉の奥から巨大な黒い手が現れた。


「なっ……!」


手が扉の両側を掴む。


閉じようとしていた扉が止まる。


「そんな力が……!」


ミナが魔法を放つ。


《炎界》


炎が黒い手を包む。


しかし黒い手は炎ごと押し返した。


カイが走る。


「だったら俺が!」


《裂空斬・弐》


ズガァン!


黒い手に大きな傷が入る。


だが、傷口から黒い霧が噴き出し、瞬時に塞がる。


「再生までしやがるのか!」


レオは鎖を握り締める。


「……みんな」


「何だ?」


「俺があの手を止める」


カイが振り返る。


「一人でやる気か?」


「違う」


レオが笑う。


「全員でだ」


ミナが頷く。


「分かった」


カイも剣を構える。


「最初からそう言え」


守護者が白い光を放つ。


ガイアも力を貸す。


『行くぞ、冥夜の旅団』


レオが叫ぶ。


「今だ!」


四人と一体の力が一点へ集中する。


《裂空斬》


《フレイム・ランス》


《死者の鎖・境界連結》


そして守護者の白い境界の力。


全てが黒い手へ叩き込まれた。


ドォォォォン!


黒い手が大きく揺れる。


亀裂が走る。


だが――


完全には砕けない。


むしろ黒い手の奥から、さらに巨大な何かが動いた。


レオの表情が変わる。


「……まだ奥にいる」


扉の向こう。


暗闇の中から、二つの巨大な目が開いた。


そして――


『……久しいな……』


レオの身体が固まる。


この声。


何度も聞いた。


死界への門。


黒い森。


黒い空間。


その声と同じだった。


「……お前なのか」


扉の向こうから、低い笑い声が響く。


『……ようやく……ここまで来たか』


レオは鎖を握り締める。


「今度こそ聞くぞ」


扉を睨む。


「お前は、一体何者だ」


黒い扉の奥から答えが返ってくる。


『……まだ……その時ではない』


直後。


扉が激しく震え始めた。


――第101話・完――

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