表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GRAND   作者: Cite
PR
2/4

第一話けっとブラット

死ぬて怖いよね

人は死ぬ瞬間に走馬灯を見るらしい。

本当かどうかは知らない。

少なくともその時の俺はそんな余裕はなかった。

一ヶ月前。

三月。

補習帰りだった。

春休みに補習がある意味は未だに理解できない。

休みなのに学校へ来る。

矛盾している。

夕方だった。

住宅街を歩いていた俺はコンビニへ向かっていた。

アイスでも買って帰ろうと思っていた。

それだけだった。

だから。

悲鳴が聞こえた時も。

最初は関わるつもりなんてなかった。

「助けっ―――」

声。

女の声。

若い。

俺は足を止めた。

路地裏だった。

少し迷う。

正直に言えば逃げたかった。

面倒事の匂いしかしなかった。

だが。

声が聞こえた。

「いや……」

震える声。

俺は舌打ちした。

そして路地へ入った。

そこにいたのは。

女子高生だった。

同じ制服。

同じ学校。

顔には見覚えがある。

確か。

千洋子。

クラスは同じだが話したことはほとんどない。

そして。

もう一人いた。

男。

異常なほど整った顔。

長い黒髪。

細い体。

だが。

人間じゃない。

直感だった。

人間じゃない。

そう思った。

男は千の首を掴んでいた。

まるで虫を見るような目。

感情がない。

「……」

男が俺を見る。

その瞬間。

本能が叫んだ。

逃げろ。

今すぐ。

全力で。

だが。

千が見えた。

苦しそうに首を押さえている。

泣きそうな顔。

助けを求める目。

俺は。

「くそっ!」

走っていた。

後から考えれば馬鹿だ。

無謀とかじゃない。

ただの馬鹿だ。

相手が人間じゃないと分かっていて飛び込んだ。

勝算なんてない。

それでも。

見捨てる方が嫌だった。

男へ体当たりする。

千を突き飛ばす。

地面へ転がる。

男が少しだけ驚いた顔をした。

「人間」

初めて男が喋った。

綺麗な声だった。

なのに。

寒気がした。

「邪魔をするのか」

「うるさい」

俺は震える足を無理やり立たせる。

怖い。

怖すぎる。

今すぐ逃げたい。

でも。

後ろには千がいる。

逃げられない。

男は少し考えるように首を傾げた。

「そうか」

次の瞬間。

視界が揺れた。

何が起きたのか分からなかった。

気付けば。

左腕が無かった。

「え」

理解が追い付かない。

腕が。

ない。

肩から先が消えている。

一拍遅れて。

激痛。

「がああああああああっ!!」

悲鳴。

血。

血。

血。

地面が赤く染まる。

俺は倒れた。

呼吸ができない。

痛い。

痛い。

痛い。

死ぬ。

これ死ぬやつじゃん。

そんなことを考えた。

変に冷静だった。

漫画みたいだなと思った。

腕が吹っ飛ぶなんて。

普通ないだろ。

「慎治!」

千の声。

だが立てない。

動けない。

男はゆっくり近付いてくる。

そして。

俺の胸を踏みつけた。

骨が軋む。

息が止まる。

「ぐっ……」

男は俺を見下ろした。

赤い瞳。

まるで血の色だった。

「この女は」

静かに言う。

「悪魔に逆らった」

意味が分からない。

何を言っている。

悪魔?

誰が?

男は続けた。

「故に罰を受ける」

「お前もだ」

俺は震える。

死ぬ。

本当に。

死ぬ。

その時だった。

「いやー」

場違いな声が響いた。

「若者いじめは感心しないなぁ」

男が振り返る。

そこには。

パーカー姿の男が立っていた。

コンビニ帰りみたいな格好。

片手には缶コーヒー。

緊張感がない。

全くない。

「誰だ」

男が聞く。

パーカーの男は笑った。

「秋山蓮斗」

「自称GRAND研究者」

そして。

「君はKETだね?」

男の目が細くなる。

初めて。

感情らしいものが見えた。

蓮斗は笑ったまま近付く。

「有名人に会えて光栄だよ」

そう言いながら。

一瞬で距離を詰めた。

KETの目が見開かれる。

蓮斗の手が触れる。

「悪魔式―――雷」

青白い光。

轟音。

KETの動きが止まる。

初めて。

KETの顔に驚きが浮かんだ。

蓮斗は千と俺を抱える。

「重っ」

失礼だな。

そして。

「悪魔式―――瞬」

世界が歪んだ。

視界が消える。

最後に見えたのは。

こちらを見つめるKETの赤い瞳だった。

そして。

俺の意識は闇へ沈んだ。

コメントお願いします高評価お願いします本当に

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ