第41話
それから、僕達は姉さんの話題も程々に、各自解散となった。
――もちろん、僕は樹と共に帰路につく。
「それにしても......光希の行動には驚かされたよ」
「え?」
「だって、報道陣の前で思いっきりキスでしょう? 普通交際中です! って発言だけでいいと思ったからさ」
「あ、あれは......その......」
僕がもごもごしていると、樹は僕の手を取り引き寄せ抱きしめた。
いきなりのことすぎて、僕は抵抗できなかった。
――ただ、伝わる鼓動が、熱が心地いい。
「驚きはしたよ? でも、それ以上に嬉しかった。ありがとう。オレを光希のものにしてくれて」
「......オレのもの?」
「え? そうでしょう? オレは光希のだし、光希はオレの」
そういうことなら、もう我慢しなくていいか。
僕は身体を離すと、背伸びをして樹にキスした。
樹は不意を突かれたと、一瞬身体を強張らせたが、すぐに受け入れてくれた。
「......こんな外で積極的だね」
「だって、もう世間公認なんでしょう? 僕はしたいときにする」
「ハハ。光希さんだいたーん」
「......言ってろ。......今日泊ってく?」
「もちろん、喜んで!!」
***
夕飯は、買い物に行けなかったので、備蓄用のカップ麺で済ませた。
樹はそれでも文句言わずに、「次来た時にご馳走作ってくれればいい」といって食べていた。
......無駄にプレッシャーなんだよな。
食事を食べている間に、湯船にお湯を張る。
今日は疲れたのでゆっくりとお湯につかりたい気分だった。
「樹―、風呂入ったけど先入って!!」
「えぇー、一緒に入ろうよ」
「......バカ!!」
「ちぇー......」
なんだか、こっちが悪い気分になってくる。
......仕方ない。
「少し待ってて」
「......え?」
「嫌ならいいけど?」
「待ちます!! いつまでも!!」
そういう樹の姿は、飼い主に構ってもらうのを待っている大型犬のようだ。
ないはずの尻尾がブンブン振っているような幻覚が見える。
僕はあまり待たせすぎるのも可哀そうかと思い、急いで片付けを済ませる。
......そう言えば、樹の着替えがないな。
「樹、着替えなくない?」
「大丈夫! レッスンで着る予定だったのがあるから!」
まるで用意周到のようだ。
しかし、これで問題はなくなった。
前来た時は着替えもせずにそのまま眠っていたから。
......まぁ、もともと泊る予定ではなかったが。
「よし! 樹ー、お待たせ」
「待ってない! 全然!!」
......嬉しそうだなぁ。
なんだか急に恥ずかしくなってきたので、一つ、条件を出した。
「は、恥ずかしいからオレが湯船につかるまで入ってこないで......!!」
「......分かった」
不服そうだがこれだけは譲れない。
僕はいそいそと服を脱ぎ浴室に入ると、樹に声をかけた。
「樹ー! いいよ!!」
「はーい!!」
......そこからの樹は早かった。
僕が声をかけて数秒で浴室に入って来たのだ。
なんていう行動力.....
樹は湯船に入ると、僕を背後から抱きしめるように浸かった。
「光希、どうする? 洗いっこする?」
「するわけないだろ!!」
調子に乗りすぎだ、バカ。




