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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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35/44

第35話

 ***


 事務所にて。

 美咲ちゃんはとんでもないことを言ってきた。


「もう、会見配信しましょ!!」

「......え?」

「男として、【天宮 光希】として会見するの。ジュナとの関係も、恋人とは言及せずに、"友人"として発表します。......アイドルとしてスキャンダルは避けたいからね」


 そして、美咲ちゃんは何かを思いついたようで、「ふふふ」と笑いだした。


「光希!! イイ事を思いついたわ!! 安心して会見をしましょう!! 大丈夫、私に任せて!!」

「う、うん......分かった」

「光希は会見することをジュナに話しておいて。......そうね。明日の正午に配信しましょうか!!」


 美咲ちゃんはそう言うと、「後は任せなさい」と言って去って行った。

 ――早く樹に電話をしなくては。




 ***


 ドラマ撮影も無事クランクアップした。

 これで、もう花恋と関わる事は無い。

 そう思うと、樹は気が楽になった。

 すると、スマホが着信を告げた。


「もしもし」

『もしもし、樹? 今大丈夫?』

「丁度クランクアップしたところ。どうかした?」

『あのね、美咲ちゃんが明日のお昼に会見配信するって言ってて、樹にも伝えておいてって』

「......男ってことを公表するってこと?」

『うん。それで、恋人ってことは隠しておこうってなったのと、何かイイ事思い付いたって』

「イイ事?」


 樹は疑問に思ったが、光希の話し方からして光希も把握はしていなさそうだと判断した。


『恋人って言うのは隠すことになるけど、オレは樹が......す、好きだから』

「......え?」

『何でもない! そういう事だから!!』

「あ! 光希!!」


 光希のいきなりの告白に対処できず、通話が切られてしまった。

 ......惜しい事をした。

 そう樹は感じた。


「不意打ちって.....ちゃんと聞きたかった......」




 ***


 そして翌日正午間近。

 とうとう会見の時間になろうとしていた。

 僕は、ワイシャツにジャケット、ウイッグはもちろんかぶってはない。

 これから行われる会見は【天宮 光希】として挑む。

 不安だが、配信用カメラの向こうにはめろでぃあのメンバーと樹が見守っていてくれている。

 動画サイトでは昨日の告知に対してあり得ないほどの人数が待機をしている。

 ――時計の針が正午を告げた。


「皆様。本日は突然の会見配信なのに集まっていただき、ありがとうございます」


 美咲ちゃんが挨拶をしている横で、オレはカチカチに固まっていた。

 ――カメラなんて慣れているのに。

 美咲ちゃんが挨拶を終えると、本題に入っていった。


「弊社所属アイドルHIKARIについてですが、報道通り男性であることに間違いありません」


 そう言うと、美咲ちゃんはマイクを僕に渡してきた。


「世間の皆さんやファンの方々を騙すような形になってしまい申し訳ありません。僕は、いや、オレは正真正銘男です。アイドルになるという夢を叶えるために性別を偽っていました。応援してくださった皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいです」

「また、弊社所属アイドル、ジュナとの関係ですが、彼らは育成所時代からの先輩後輩で、今は友好的な関係を築いているだけで、決して恋人関係ではありません」


 ――分かっている。

 これはアイドルを続けるための嘘だ。

 なのに恋人ではないと言うのが心苦しい。

 そして、美咲ちゃんは淡々と会見を進めていく。


「――世間の皆様をお騒がせしたこと、ここに謝罪いたします。誠に申し訳ありませんでした」


 僕は美咲ちゃんと共に頭を下げる。

 すると次の瞬間、美咲ちゃんはとんでもないことを言ってのけた。


「つきましては、今度ここにいる【HUIKARI】こと【天宮 光希】と【ジュナ】こと【瀬戸 樹】の新ユニット結成をここにて発表させていただきます!!」


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