第34話
数日後、とあるビッグニュースが世間を騒がせた。
その記事とは――
『人気美少女アイドル・HIKARIの正体は男性だった?!』
という衝撃的なもの。
ネットは一時期大混乱を起こしていた。
『え、待って! HIKARIって男だったの?!』
『うそでしょ......?』
『めろでぃあ、どうなっちゃうの?』
『ジュナと付き合ってるってマジ?!』
***
「やっぱりこうなるよね......」
数日後、再び美咲ちゃんに呼び出された僕はタブレットで問題のネット記事を見せられた。
最初見た時は、男とバレたことに、『なんで』『どうして』と心を乱したが、アイドル生命のピンチなのにどこか静観している自分もいた。
「......美咲ちゃん。オレどうすればいいのかな?」
「光希......」
「アイドル、もう続けられないのかな?」
僕は顔を上げることが出来ず、下を向いたままでいた。
美咲ちゃんの前だとは言え、猫をかぶって、"僕"と言うことを忘れてしまっていた。
「!! 光希!! コメント見て見なさい!!」
「? なに?」
「いいから!!」
美咲ちゃんに促されタブレットを覗き込むと、そこには信じられないコメントで溢れかえっていた。
『言われてみれば、HIKARIって昔からめちゃくちゃ紳士だったよね』
『ライブで女性スタッフに対する気遣いとかすごかったし』
『だから、男だからって騙されたとか言うの違くない?』
『HIKARIはHIKARIだよ!!』
『むしろ男の子なのにあんなに可愛い衣装着て努力するの凄くない?尊敬なんだけど』
「こ、これ......」
「失望する人はいないってことよ。自信持って! 貴方はまだ"HIKARI"でいられる!!」
そして、とあるコメントがバズる――
『HIKARIがオレ達の姫で、王子様だって事には変わりない!!』
***
「なんで......なんでなのよぅ!! 男だって分かれば皆引いていくものでしょう?!」
ドラマ撮影現場の待機中、花恋はスマホでネット記事をチェックしていたら、自分の思惑とは逆の方向に向かって行くコメント達に歯ぎしりをする。
その様子は到底アイドルとは思えないものであった。
「皆してHIKARI、HIKARIって......!! なんで思い通りに行かないのよぉ」
「やっぱり、あの記事流したの君だったんだね、花恋ちゃん」
「!......ジュナさん......」
「君が"パパの知り合いのカメラマン"とコネを使ってあの記事書かせたんでしょう?」
「~~それもこれも!! ジュナさんが花恋のものにならないのが悪いんじゃない!!」
花恋は思わずジュナにビンタをしようとする。
しかし、その手はジュナ自身によって阻まれる。
「どんなことをしようとも、オレが光希以外を好きになることは無いよ」
そう言うと、ジュナは花恋のそばからそっと離れていった。
「......こうなったら、もう、最後の手段よ。......同性愛者だって広めてやるんだから」




