第33話
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事務所にやって来ると、もう既にめろでぃあとNOIRのメンバーが集められていた。
皆、どこか重い表情をしている。
「王子......おはよう。あのね、私達は何があっても二人の味方だから!!」
「......HANA?」
「HIKARI、ジュナ。来たみたいね。こっちに来てもらえるかしら」
そう言うと、美咲ちゃんは僕らを会議室へと連れて行く。
......その顔はとても険しいものであった。
「まずはこれを見て頂戴」
そう言って差し出された一枚の紙。
そこには――
『人気アイドル同士の熱愛?! HIKARIとジュナ、深夜の密会!!』
そうでかでかと書かれていた。
僕は混乱した。頭が真っ白になった。
昨日樹と一緒に過ごしただけ。
ご飯を食べて、テレビを見て。
そして僕が寝落ちしてしまっただけ。
何もしていない。
――本当に何も。
「HIKARI、ジュナ。貴方達の交際は認めたわ。でもこうなってくると話が変わってくる」
「......別れろってことですか?」
僕は震えた声で美咲ちゃんに問いかける。
美咲ちゃんは首を横に振る。
「......突然こんな記事が上がるのがおかしいのよ。何か思い当たる事ない?」
――そう言えば昨日のジュナの様子がおかしかった。
もしかして。
「ジュナ、もしかしてこれが昨日言ってたこと?」
「......うん」
「ここまで来たんだから話して? 美咲ちゃんもそれを望んでる。だよね、美咲ちゃん」
「......えぇ」
「......実は――」
そこで話されたジュナの話に僕も美咲ちゃんも絶句した。
要するに――
「ジュナが手に入らなかったから、パパのコネを使って脅しに来てるってわけ?」
「~~なんで! なんですぐ言わないの!! バカ樹!!」
「痛い! 痛いよ光希!!」
僕は思わずジュナ、いや、樹を責めた。
「そんなに僕は、"オレ"は頼りない?! 樹とならどんなことでも一緒に戦うのに!!」
「!! 光希......」
「オレは守られるだけの"お姫様"じゃないよ......」
すると、廊下から忙しない足音が複数聞こえてきた。
会議室の扉が開かれ、社員さんとめろでぃあ、NOIRのメンバー達がバタバタと入って来た。
「社長!! 大変です!! これが!!」
「......まさか、もう上げられたの?!」
「ハイ......」
そう言って見せてきたタブレットに映されたネット記事。
そこには――
『HIKARIとジュナ、禁断の熱愛発覚!?』
『同じマンションから時間差で出入りする姿をキャッチ!!』
『二人の関係は以前から続いていた?』
「......」
――終わった。そう思った。
今まで積み上げてきたものが全部壊れてしまう。
「......光希、あとはオレに任せて?」
「は?」
「オレが的になるから、だから......」
「ふざけんな!オレ達は"恋人"なんだろ?! 何一人で解決しようとしてるんだ!! こういう時だからこそ、"二人で"戦うべきだろう!!」
そう言うと、樹は憑き物が落ちたかのように僕を見つめ返してきた。
すると、めろでぃあとNOIRのメンバー達も、「そうだそうだ!!」と声を上げた。
「私達は二人を応援するって決めたんだから! こういう時も守らないと!!」
「そーそー!! 大船に乗ったつもりでドンと構えてろよ!!」
「......皆、ありがとう」
「よかったわね、二人とも。仲間想いのメンバーに恵まれて」
僕と樹は顔を見合わせ笑い合った。
***
けれど、その頃。別の場所では――
「フフッ。上手くいったわぁ」
花恋はスマホに映るネット記事をうっとりと眺めながら、楽しそうに微笑む。
「でも、これで終わりじゃないですよぉ?」
そういうと一枚の写真を手に取って指でピンッとはじく。
そこに写っていたのは、ラフな格好で、メイクもせず、ウィッグもかぶってない一人の少年――
「次はぁ、これを出したらどうなるかしらねぇ♡」
その写真に写っていたのは【アイドルHIKARI】ではなく、【天宮 光希】そのものだった。




