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美少女アイドルは100匹の猫かぶり!  作者: 朱音小夏


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33/44

第33話

 ***


 事務所にやって来ると、もう既にめろでぃあとNOIRのメンバーが集められていた。

 皆、どこか重い表情をしている。


「王子......おはよう。あのね、私達は何があっても二人の味方だから!!」

「......HANA?」

「HIKARI、ジュナ。来たみたいね。こっちに来てもらえるかしら」


 そう言うと、美咲ちゃんは僕らを会議室へと連れて行く。

 ......その顔はとても険しいものであった。


「まずはこれを見て頂戴」


 そう言って差し出された一枚の紙。

 そこには――


『人気アイドル同士の熱愛?! HIKARIとジュナ、深夜の密会!!』


 そうでかでかと書かれていた。

 僕は混乱した。頭が真っ白になった。

 昨日樹と一緒に過ごしただけ。

 ご飯を食べて、テレビを見て。

 そして僕が寝落ちしてしまっただけ。

 何もしていない。

 ――本当に何も。


「HIKARI、ジュナ。貴方達の交際は認めたわ。でもこうなってくると話が変わってくる」

「......別れろってことですか?」


 僕は震えた声で美咲ちゃんに問いかける。

 美咲ちゃんは首を横に振る。


「......突然こんな記事が上がるのがおかしいのよ。何か思い当たる事ない?」


 ――そう言えば昨日のジュナの様子がおかしかった。

 もしかして。


「ジュナ、もしかしてこれが昨日言ってたこと?」

「......うん」

「ここまで来たんだから話して? 美咲ちゃんもそれを望んでる。だよね、美咲ちゃん」

「......えぇ」

「......実は――」


 そこで話されたジュナの話に僕も美咲ちゃんも絶句した。

 要するに――


「ジュナが手に入らなかったから、パパのコネを使って脅しに来てるってわけ?」

「~~なんで! なんですぐ言わないの!! バカ樹!!」

「痛い! 痛いよ光希!!」


 僕は思わずジュナ、いや、樹を責めた。


「そんなに僕は、"オレ"は頼りない?! 樹とならどんなことでも一緒に戦うのに!!」

「!! 光希......」

「オレは守られるだけの"お姫様"じゃないよ......」


 すると、廊下から忙しない足音が複数聞こえてきた。

 会議室の扉が開かれ、社員さんとめろでぃあ、NOIRのメンバー達がバタバタと入って来た。


「社長!! 大変です!! これが!!」

「......まさか、もう上げられたの?!」

「ハイ......」


 そう言って見せてきたタブレットに映されたネット記事。

 そこには――


『HIKARIとジュナ、禁断の熱愛発覚!?』

『同じマンションから時間差で出入りする姿をキャッチ!!』

『二人の関係は以前から続いていた?』


「......」


 ――終わった。そう思った。

 今まで積み上げてきたものが全部壊れてしまう。


「......光希、あとはオレに任せて?」

「は?」

「オレが的になるから、だから......」

「ふざけんな!オレ達は"恋人"なんだろ?! 何一人で解決しようとしてるんだ!! こういう時だからこそ、"二人で"戦うべきだろう!!」


 そう言うと、樹は憑き物が落ちたかのように僕を見つめ返してきた。

 すると、めろでぃあとNOIRのメンバー達も、「そうだそうだ!!」と声を上げた。


「私達は二人を応援するって決めたんだから! こういう時も守らないと!!」

「そーそー!! 大船に乗ったつもりでドンと構えてろよ!!」

「......皆、ありがとう」

「よかったわね、二人とも。仲間想いのメンバーに恵まれて」


 僕と樹は顔を見合わせ笑い合った。




 ***


 けれど、その頃。別の場所では――


「フフッ。上手くいったわぁ」


 花恋はスマホに映るネット記事をうっとりと眺めながら、楽しそうに微笑む。


「でも、これで終わりじゃないですよぉ?」


 そういうと一枚の写真を手に取って指でピンッとはじく。

 そこに写っていたのは、ラフな格好で、メイクもせず、ウィッグもかぶってない一人の少年――


「次はぁ、これを出したらどうなるかしらねぇ♡」


 その写真に写っていたのは【アイドルHIKARI】ではなく、【天宮 光希】そのものだった。


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